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良質な原料から作る、良質な植物油を食卓へ 西川農藝

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Farmer Profile

西川 真
(にしかわ まこと)

西川 真

鳥取県生まれ。長年、ホテル業界のレストラン部門で勤務。ホテル経営学を学ぶため、単身渡米。現地の大学にて修士号を取得。その後、コンサルティング会社でホテル経営に携わるも、地元の活性化と独立を目指して新規就農。“自家農園”、“自然栽培”、 “低温圧搾生搾り”を軸に質にこだわり抜いた良質で安全な植物油を生産している。

「植物油は生鮮品!」 原料から油づくりまでを一貫して行う職人農家

 「油は生鮮品」。そう言い切るのは、鳥取県倉吉市にて、こだわりの植物油をつくる西川農藝代表の西川さん。生産効率ではなく、安全で美味しく、健康にも良い良質な植物油づくりに注力する西川さんの油には、県内だけでなく、全国にたくさんのファンがいらっしゃいます。そんな植物油のスペシャリストである西川さんに、油へのこだわり、農業に掛ける想いについてお話を伺ってきました。

上村 聖季

担当:上村

西川農藝

ーー西川さんは以前は東京のホテル業界で働かれていたと伺いました。

 最初は、文京区の歴史ある名園椿山荘にあるフォーシーズンズホテル椿山荘東京(現椿山荘ホテル東京)のイタリアンレストランのサービスの仕事からスタートしました。その後は新宿にある外資系のホテルからお声掛け頂き、世界的にも有名なレストランでも働かせて頂きました。

 私は高校を卒業して、ホテルの専門学校に進学したのですが、実際にホテルで働くうちにアメリカで本格的にホテル経営について勉強したいと思うようになりまして、24歳のときにニューヨークへ渡って、ホテル経営学で有名な大学で勉強しました。

ーーアメリカに留学されたのですね!

 最終的には、ラスベガスにある大学でホテル経営学の学士を取得して日本へ・・・

帰国しました。帰国してからは大阪にあるザ・リッツ・カールトンのレストラン部門で勤務したのですが、その後、再び経営学を学びに渡米し、大学院で2年間ホテル経営学について学び修士号を取得しました。

 2回目の渡米でより経営全般について興味を持つようになって、帰国後はコンサルティング会社に入り、ホテルを専門とした経営のコンサルティング業務を7年ほど行なっていました。最後に、ル・コルドンブルーというフランス料理の学校で新規事業開発の責任者として働いた後に、地元鳥取へ戻り新規就農しました。

ーーすごいご経歴をお持ちですね・・・(笑)。そんな西川さんがホテル業界から農業の世界へ飛び込まれた理由について教えてください。

 2回目に米国へ留学した後に、コンサルティング会社へ入ったのですが、そこでそれまでとは全く違う世界を見たことが大きかったですね。それまでは、一生懸命現場でお客様へサービスを提供する側から、コンサルタントとして支援先の経営人と混ざって経営目線でより広い見方で議論をするにしたがって、少しずつ経営の世界に興味を持ち独立したいと考えたことが大きな理由の一つです。ただ、食の世界が好きでホテルのレストラン部門や最後は料理学校に勤務していたのでやっぱり食の世界に関わり続けたいと思いました。

西川農藝

 あと、私は地方(鳥取)で生まれた人間なので、毎年田舎には帰るんですが、やっぱり生まれ故郷がさびれていく状況を見ると地元のために何かしたいということをずっと考えていました。地元に戻ってじゃあ何をするって言った時に、やっぱりこちらの基幹産業は農業なんですよ。

 ただ、単純に農業をするのも面白くないなと思っていて、加工販売まで手掛けたいと思いました。ホテルや料理学校に勤務しフランス料理やイタリア料理の世界に関わってきましたが、良質なワイン、ハム、チーズ、オイル(油)等は農畜産業の原料生産から加工まで一生産者が一貫して手掛けることが当然の世界でした。ワインやオイルなどのラベルに“Produced(原料生産) and Bottled(加工瓶詰)by 生産者名”という表示がありますが、良質なワインやオイルの選択を見極める一つの方法とされています。良い加工品をつくろうと思ったら原料に遡ることは必然なので当然の流れであるように思います。

ーー独立し経営に携わってみたいという想いと、地元を盛り上げたいという想いの両方が、長くいらしたホテル業界を離れて、農業の世界に飛び込まれた理由ということですね。加工品の中でも油を選ばれた背景について教えてください。

 油を選んだ理由は様々な要因があるのですが、最初に働いていたレストランがイタリアンレストランで、そのときからオリーブオイルの世界に非常に興味があったんです。一方で、一般的なスーパーで売っているようなサラダ油に対してはずっと懐疑的な目線で見ていて、あれだけ安価で、長い期間置いておいても腐らない油というのは、そもそも体にとって大丈夫なのかなと。

 農業を始めるとなったときに、オリーブは鳥取の気候では育たないので、じゃぁ自分の好きなごま油やその他の植物油を作ってみようと思ったのが油づくりを選んだ背景です。

西川農藝

ーー西川農藝さんの植物油のこだわりについて教えてください?

 西川農藝のこだわりは、“自家農園”、“自然栽培”、“低温圧搾生搾り”の大きく3つです。本当に良い油とは何かを考えた時、それは原料由来の豊かな風味と栄養が含まれた安心安全な油だと考えました。

 そのため、搾油法(油の原料から油を絞り出す方法)は原料由来の風味と栄養価が残り、加熱による油の変性・劣化のない無添加・無着色・無調整の直圧式低温圧搾生搾りを採用しました。

 一方で、低温圧搾方式という搾油法を採用すると・・・

原料の品質がストレートにあらわれるだけに原料の良し悪しが一層問われることになります。

ーー加熱したり添加物を加えることで油の質を誤魔化せない分、原料そのものの品質が油の質に直結するというわけですね。

 その通りです。そう考えたときに、油に最も適した原料の作り方はどのようなものが良いのかということを考え抜き、良質な原料を生産するため農薬も化学または有機を問わず肥料も動物性(畜糞)堆肥すらも使用しない栽培法である自然栽培に辿り着きました。

 また、自然栽培という基準を守り安定した品質を確保するためには自分達の目の届く範囲でなければいけないと考え原料の栽培は全て自家農園に限定しました。

 因みに、西川農藝では油を色付き瓶に入れているのも光による劣化を防ぎ良質の油の状態を少しでも長く維持したいと考えているからです。

ーー製法だけでなく、原料にもとことんこだわられた油ということですね。

西川農藝

ーー西川さんが消費者さんへお伝えしたいことはありますか?

 最近は、油の人体における重要性についてもかなり一般の消費者さんの間でもそれなりに理解が広まっていて、サラダ油が身体には良くないということが大分知られるようになってきていますが、油の専門家として一番伝えたいことは、油は本来、「生鮮食品」だということです。

 油は搾った直後から少しづつ劣化(=酸化)していきます。油の劣化要因は主に空気(酸素)・光・高温です。ごくごく我々のまわりに普通に存在しているものです。一般で売られているようなプラスチックのボトルで日が当たるような場所に置かれて平気な食品では本来ないんですよ。

ーー油って、長い間ずっと置いておけるものだと思っていました・・・

 一般に売られているようなサラダ油は、大豆や菜種などが原料となっているはずなのですが、消費者の手元に届く際には原料由来の風味も栄養価もなくなってしまっています。原料はラベルには表記されていませんが遺伝子組換原料が大半ですし、製法でいうと、危険物にも分類されているヘキサンという溶剤を使い油分を抽出し、その他にも化学溶剤を用いて脱酸、脱臭、脱色等の精製をしていきます。とにかく長期保存ができることを目的としているので、油の栄養分なども抜けてしまっているのが実情です。

 更には精製の過程で高温処理がされるので海外では「狂った油」と呼ばれ禁止や含有量表示が義務付けられるようになってきているトランス脂肪が生成されます。日本では問題提起されることはありますが、海外のようなトランス脂肪酸の禁止や表示に関しては今のところ野放しです。因みに、サラダ油の原料には遺伝子組換原料が使われているといいましたが、日本では表示義務がありません。

 その理由は、遺伝子が残るタンパク質が油の中には無いから検査しようがないというのがその理由だそうです。検査できないから表示しないってなんだか変な理由だと思いませんか?もう一つ、面白い話を付け加えると、精製の過程で除去された油に含まれていたビタミンやレシチンなどの栄養分は、サプリや食品として販売されていたりするんですよ。精製という過程を経て除去されてしまう成分には、例えば、細胞を構成するリン脂質(レシチン)、天然の抗酸化成分であるビタミンE、サプリで良く知られるごまのセサミン等があります。シンプルな製法で搾られた油を摂取するということは単純に油を摂取するということではなくて、これらの原料由来の豊かな成分を摂取するということなんです。

 一方で、油というのは本当に一つ一つそれぞれの個性があって、油の原料の質や製法によっても含まれる栄養素や合う料理なんかも変わって来ます。そういう意味でも油に対してこれまでの見方を変えてもらえると、消費者の方々の食の世界も今までとはガラッと違うものになるのではないかなと思っています。

西川農藝

ーー最近では、健康のために毎日油を飲む方々なども多くなってきたように思います。

 油は太る、体に悪いといったイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、油も種類や原料、製法によっては、実はとても美容や健康に良い食品なんです。例えば、健康維持に良い油は、αーリノレン酸(オメガ3)が含まれる油です。これは、亜麻仁 油やシソ、エゴマ油などが当てはまります。

 ただ、これらの油は酸化しやすいため、サラダのドレッシングにするなど生の状態での摂取が推奨されています。西川農藝では、原料にこだわり、これらの油を栄養を損なわないように低温生搾り製法で生産しています。

 「低温圧搾」とか「生搾り」とラベル等に表示があっても、熱が加えられているケースというのは実は結構多いんです。確かに、油を搾る瞬間だけをとらえれば確かに「低温」で「生搾り」なんだけれど、例えば、搾油前の原料を高温で乾燥させていたり、搾った油を高温で精製処理していたりといった具合で原料もしくは搾油後の油が熱に晒されている油が多いです。

 また、搾油機には2種類あって、昔ながらの玉締め原理で生産の効率は良くないけれども熱が発生しないタイプと、連続処理が出来て生産効率は良いけれども、人為的に熱を加えているわけではないけれども搾油機の構造上摩擦熱が発生するタイプがあります。西川農藝は持ちろん前者の搾油機を使用して丁寧に油を搾っています。つまり、西川農藝の油は搾油前にも搾油後にも30℃以上の熱を加えることにない正真正銘の低温圧搾生搾りの油というわけです。

ーー原料から徹底的にこだわる西川さんの油だと、生の状態でも安心して取り入れることができますね。

 もう一つ言えば、toriiiさんのようなお客さんと生産者が直接繋がれるような場で、新鮮な状態の油を直接お客さんへお届けしたいという想いがあります。

 一昔前は、私たちのような小さな油屋さんが日本全国に沢山あったんですよ。当時はやっぱりお客さんと作り手が顔の見える関係だったんですね。私は、油は生鮮品だと思っていて新鮮な油の方が断然美味しいし、だからこそ、こちらとしてはお客さんにできるだけ新鮮なものを届けたいという想いがあります。

 出来ればtoriiiさんのような仕組みを使って、油を通して消費者さんと作り手が結び付いたら良いなと思っています。油を使用しての感想とか直接聞いてみたいですし、お客様には油について正しい情報をお伝えしたり双方向でコミュニケーションできると良いなと思っています。

西川農藝

ーー現在、植物油の原料はどれくらいの面積の畑で作られているのでしょうか?

 今は3.6ヘクタールほどの広さの畑で作っています。

ーー3.6ヘクタールというと結構広いように思うのですが。

 そうですね。家族にも助けてもらいながら畑の方は行なっています。ただ、野菜の栽培などと比べると比較的管理は楽なのですが、それでも自然栽培で除草剤なども一切使用せずにやっているので、夏なんかはひたすら草との戦いですね。

ーーやはり一番大変なことは草取りでしょうか。

 そうですね。もうそれしか思い浮かばないですね(笑)

ーー西川さんが自然栽培出会われた背景について教えてください。

 元々無農薬で栽培したいという考え方が根本的にあったんです。無農薬というと有機栽培が思い浮かんだのですが、昔横浜に住んでいたときに近くのスーパーの有機野菜コーナーで有機野菜を買ったことがあったのですが、その野菜が美味しくなくて・・・。それは有機栽培がわるいというよりは、たまたまそのスーパーのバイヤーが悪かっただけなんですが、その経験から有機栽培に対しては何かネガティブなイメージを持ってしまって。

ーー最近は有機栽培という名のもとに、質はそっちのけで、ただ野菜の形だけを作る生産法人なども増えていると聞きます。

 一概に有機栽培と言っても、生産者によって作っている作物の質は様々ですからね。そういうこともあり、様々な農法を調べている時に、たまたま友人の家で「奇跡のリンゴ」※の本を読んで、自然栽培という農法があることを知りました。

 そこから、色々自然栽培について調べたり、実際に私も自然栽培のお米や野菜などの食材を取り寄せてみて食べてみたりしたんですよ。それらが美味しかったのはもちろんなのですが、自然栽培の考え方にも魅力を感じたのがきっかけですね。

 ※ 絶対に不可能と言われた無農薬りんごの栽培に成功し、大きな注目を集めた青森のリンゴ農家の木村秋則氏の実話を描いた書籍

西川農藝

ーー西川さんが魅力を感じられた自然栽培の考え方とはどのような考え方なのでしょうか?

 これはあくまでも個人的な意見なのですが、今の農業の仕方ってどこか人間が中心になっているような気がするんです。全て人間の都合に合わせて農作物や生態系や周辺環境をコントロールしているというか。もちろん、農業なので、ある程度人間の都合に合わせ部分があるのは仕方のないことなのですが。

 ただ、なんでもかんでも人間の都合に合わせて農業をやっていくと、将来必ず自然からの揺り戻しが来るんじゃないかなって思っていて。

ーー人間本位ではなく、できる限り自然本位の農業という考え方ですね。

 一方で、いくら自然に順応した農法で育てた作物であっても美味しくはないとか、安全ではないとかであれば、それは違うんじゃないかなと思っていて。そういう部分で、考え方や作物としての質(味や栄養価、安全性など)の二つを満たす農法が自然栽培だと考えています。

西川農藝

ーー西川さんにとって農業の魅力について教えてください。

 やっぱり作物がちゃんとね、種から始まって芽が出て育っていくっていう姿は、感動するんですよね。一回はダメになったものが、立ち上がってきたりね。変な話、作物だけじゃなくて、雑草も同じで、抜いて除草するんですけど、それでも根をはって立ち上がってくるわけですよね。すごいなと思います。

 雑草っていうと言葉としてはネガティブな感じになってしまうんですが、私にとってはある意味尊敬の対象です。そのしつこさというかしぶとさというか。でもそれを見てると自然と感動してくるというか、そういう意味でも農業には、命と触れ合っている楽しさがあるように思っています。

ーー西川農藝オススメの油の食べ方について教えてください。

 油は生鮮品とお伝えしましたが、どちらかというと火を入れてもらうよりは、できれば生の状態で食べてもらいたいですね。

 西川農藝の油の特徴として、低温圧搾生搾りという製法があって、本当に素材を生のままストレートに搾っているので、生の状態で繊細な料理に合わせて食べてもらうと良いかもしれません。例えば、サラダにドレッシングとして使用するとか、パンにつけて食べるのも美味しいですね。料理にコクやうま味を少し加えたいなという時にも良いと思います。でもね、封を開けたら一度は必ずお試しいただきたいのは油を直接口に含んでもらうことです。油の個性を感じていただきたいんです。油を飲むって気持ち悪いと思われるかもしれませんが、そんなことはないですよ。サラサとしていて飲める油です!

 一般的に販売されているようなごま油などは、油を搾る前にごまを焙煎(加熱)しています。ごま油の色が濃い茶色なのも、事前に加熱しているからなんです。一方で、うちの油は油本来の色合いで黄金色で、焙煎をしていないので油自体が繊細なんですよ。本当は皆さんに透明なビンに油を詰めて綺麗な黄金色の油を楽しんでいただきたいという思いもあるのですが、太陽の光だけでなく照明の光も油を劣化させてしまう怖い存在なので、ご購入後の保管中も良い状態を維持できるようあえて光の影響を排除できる色付きビンに油を詰めているんです。

 低温圧搾生搾りという製法が最も素材の栄養素を壊さない方法なのですが、特にうちの場合は自然栽培で栽培している良質な原料を使っているので、そうした素材をストレートに摂取してほしいと考えてこの製法にこだわっています。例えて言うならば、新鮮な魚があったら、やっぱり変に煮たり焼いたりするよりは、そのまま切り身にして刺身が一番美味しいという考え方ですね。

ーーすごく分かりやすい例ですね。西川農藝さんの油に対するお客さんからの声を教えてください。

 例えば、エゴマ油を採られている方なんかは、寝起きが良くなった、毎日がスッキリするなど健康状態が改善したという声が多いですね。えごま油は少し特有のクセがあり人によっては摂取したいという気持ちはあるけど敬遠されるという方もいますが、ウチのはクセがなくて続けることが出来るというようなお声もいただいています。ごま油は慣れ親しんだ焙煎タイプとは風味が異なるので、口に含まれるとなんか違うぞということになることもあるようですが、じっくり味わううちにごまの凝縮された滋味深いうま味が感じられて美味しいと喜ばれますね。

 毎日、スプーン一杯ずつごま油とエゴマ油をとっていらっしゃるお客様なんかは、身体の調子が良くなって、健康診断の数値も良くなったと仰っていました。この方法は人体では生成できず必ず外部から摂りいれる必要のある必須脂肪酸のα-リノレン酸(えごま油)とリノール酸(ごま油)をバランスよく摂取するには凄く理にかなった方法だと思います。どちらか一方だけではダメ。両方のバランスを取ることが重要ですから。

 他には、菜種油や落花生油をサラダのドレッシングとして食べたお客さんからは、野菜がよく映えて美味しかったという声なんかも頂いたりしています。

西川農藝

ーー西川さんが今後目指す農業の形について教えてください?

 将来的には自然栽培(無農薬・無肥料栽培)を継続しながら、自然栽培という農法が科学的にもおかしな営農活動ではないということを証明していければと思っています。

ーー土壌の仕組み(微生物の生態系や機能)については、まだまだ科学では解明できていないことがたくさんあるので、自然栽培・農法を実践されている農家さんはその説明にまだまだ苦労をされている印象があります。

 そうですね。そういう状況なので自然栽培はときに宗教の延長線上に語られることがありますが、それは全然否定するつもりはないのですが、個人的には・・・

宗教で終わらせたくないなという想いがあって、できる限り科学的なアプローチで取り組んでいければと考えています。

 あとはやっぱり、営農の規模は少しずつ大きくしていきたいですね。元々こちらで農業をやろうと思ったのも、地元に恩返しをしたいという気持ちがキッカケとなっているので、無理のない範囲で規模を拡大して、地元でできるだけ多くの人を雇用することができるようになっていきたいと思っています。

ーー西川さんのような農業者の方々が、今後の地方創生を担う重要なキーマンになるように思います。

 あと、今は、ごま油、えごま油、菜種油、落花生油の四種類を作っていますが、今後、より一層油の種類を増やしていって、それぞれのシーンに合わせた多様な油をお客さんに提供できるようになりたいですね。この地域の気候風土に合った作物から作る油を一種類ずつでも増やしていければと思っています。

 私のいた洋食の世界では、ワインやオリーブオイルなどについて、テロワールという言葉をよく使っていました。

西川農藝

ーーテロワールという言葉は初めて伺いました。

 簡単に言うと、その土地の気候風土が作り出したものという、一つの考え方なんですが、農薬や化学肥料などの資材を使えば、ある程度農作物についても味や形などを人為的に方向付けられちゃうじゃないですか。

 だけど、そうした農薬や肥料も使わない自然栽培だと、ここ(鳥取県倉吉市)の風土っていうのが、どうしたって、そのまま作物に反映されるように思っていて。それに、自然栽培の原則である自家採種を続けるとDNAレベルでこの地域の風土に合った種子が選抜されていく。

 そういう意味で、テロワールという言葉、その地域だからこそこういうものになったというような地域独自の油を作るにあたって、自然栽培というやり方はとてもマッチしているし、そういう部分に個人的に面白さを感じていますね。そして、シンプルな低温圧搾生搾り製法にこだわるのも原料はテロワールが表現されているので、油になったらテロワールが感じられないなんてことにならないようにという理由があるんです。

ーー面白い考え方ですね。そんな西川さんのいらっしゃる倉吉市の風土について教えてください。

 土壌でいうと、この辺りは火山があった地域で、黒ボクの土になっています。人によっては山陰という言葉から暗くジメジメしたところという印象を持たれている方も多いのですが、山陰地域なのでもちろん全国平均より多少雨が多い地域なのですが、東京都比べても気温はそんなに低くなく、住みやすい気候ではあります。以前、週刊東洋経済でお年寄りが住みやすい町日本一に選ばれたこともあるようです。その他にも「移住したい田舎」ランキングでも上位に名前が出ていたりします。

ーーそんな素晴らしい倉吉市ならではの植物油を楽しみにしています。