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マルマメン工房

主要品種の栽培スケジュール

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大豆
大豆ピクルス・ぽん菓子
きな粉
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Farmer Profile

増田 泰博
(ますだ やすひろ)

増田 泰博

27歳のときに日本全国を一人旅し、旅先の鹿児島県の霧島で農業と出会う。以来、霧島市の中間山地で農薬や化学肥料を使わず大豆や麦、その他品目を栽培。大豆の加工品なども製造し、地域を引っ張る若手生産者として農ある暮らしを実践している。家族は奥さんと0歳の息子の3人家族。趣味はバスケットボール。

全ての人をやさしく包み込む大豆職人

 霧島山で有名な鹿児島県霧島市で、無農薬・無化学肥料の有機栽培による国産大豆や麦の生産を行なっている増田さん。旅先で行き着いた霧島市でゼロから新規就農された苦労人で、とてもやさしい人柄が印象的な素晴らしい生産者さんです。そんな増田さんに、農業にかける想い、栽培に強いこだわりを持つ大豆についてお話を伺ってきました。

上村 聖季

担当:上村

ーーご実家が農家さんではないと伺ったのですが、増田さんが農家になられた理由を教えてください。

 元々建築関係の仕事をしていたのですが、20代の後半に違う世界を見てみたいなって、ひとり旅に出たのがきっかけですね。

ーー旅ですか!?その旅の中で鹿児島に来られたのでしょうか?

 そんな深い理由はないのですが、旅に出たのが5月とかでまだ寒かったので、単純にもっと南下してみようと思ったのが鹿児島に来た背景ですね(笑) 普通にJRに乗ったり、訪問した先々の地域を歩いて、行けるところまで行って、疲れたらバスに乗ったり、電車に乗ったりといった旅をしていました。携帯なんかも全部家に置いて来て、まさに放浪の旅という感じでしたね。

ーー旅の中ではどのような所に泊まられていたのでしょうか?

 お金もそんなになかったので、ネットカフェなんかで寝泊まりしていました。鹿児島に来て、この霧島に着いたときにちょうどお金が30円くらいになって・・・。無人駅でベンチを並べて寝たりしていたのですが、今考えるとあのときがどん底でしたね(笑)

 さすがにご飯も食べれなかったので、これはマズいなということで、この辺で仕事を見つけてお金が溜まったらまた旅に出ようと思って、役所へ仕事を探しにいったら、農業を教わっている今の大豆農家さんを紹介してもらって。そこで一年間、農業の研修をしながら生活したのが農業との出会いでした。

ーーギリギリまで追い込んでいたのですね(笑)それにしても、何だかすごい巡り合わせですね!

 おかげで、今は大抵のことは物怖じしなくなりました(笑)

 そうこうして農業をやりながら、この地域で生活していたのですが、ちょうど地域で子ども向けに食育をしているNPOを手伝う機会があって、最終的にはそこの理事も務めさせてもらいました。

ーー増田さんはこちらへ来られるまで、そうした食や農業に関して興味があったのでしょうか?

 こっちに来るまでは全然なかったですね(笑) どこにでもいる若者の男だったので。

ーーそこから研修先やNPOでそうしたことに関心を持ち出したのでしょうか。

 初めははっきりと言って衝撃でしたね。農業も食も、日頃ほとんど意識したことがなかったので。ただ、少しずつ活動や勉強をしていく中で、(農業や食って)すごく大事なことなんだなって思うようになりました。

ーーこの地域で農業をやろうと思われたのはなぜでしょうか?

 一言でいうと、この地域の人たちの温かさが一番の理由でした。

ーー具体的には、地域の方のどういう部分に温かさを感じたのでしょうか?

 ホントに典型的なんですが、近所の方が野菜くれたりだとか、ご飯でも食べに来いって言ってくれたりとかして、すごく気遣ってもらいました。

ーー私も初めは一人で会社を立ち上げたのですが、やっぱり一人で出来ることには限りがあるなと痛感しました。

 その通りですよね。誰かと協力しないと一人では難しいことがたくさんありますし、何よりも楽しくないと思います。

 例えば、地方のコミュニティとかだと、農作物をネットで販売してみようってなると、地域の皆で協力して作物を準備したり、サイトを作ったりしてちょっとやってみようかって感じになるんですよ。それを一人で全部ってなると、ちょっとこれ無理ですわってなるので。そういうところは、地方のコミュニティの面白いところだと思います。

ーー増田さんが有機栽培(無農薬・無化学肥料)をやろうと思った理由について教えてください。

 元々、研修先で農業を教えてくれたところが無農薬栽培でやっていたことは大きかったですね。自分でも農業や農薬などについて色々と調べたり、勉強していくうちに、食べるお客さんのことはもちろんなのですが、農薬や化学肥料を使用すると、そうしたものありきの農業を永遠にやっていかなければならなくて。

 特に農薬なんかは、病害虫側も年々(農薬に対して)耐性ができていくので、そうなるとより強力な農薬を使う必要が出てきます。所謂、イタチごっこというやつですね。あとは、生産者として、土の中の微生物の大切さをすごく感じていて・・・

農薬などを使うことで、そうした微生物を殺してしまうことに問題意識を持ったりもしました。これらのことが、有機栽培による農業を選択した理由です。

ーー所属されていたNPO団体などでも有機栽培の生産者さんがやられていたのでしょうか?

 そこも無農薬でやっていましたね。そのNPOというのは、栽培方法だけでなく、作物の植え方から食べ方までかなりしっかりと食育をやっていました。人の体というのは100%自分の口にする食べ物でできているので。作り手の自分が食べたくないと思うものを、お客さんにも食べさせたくないですからね。

ーーマルマメン工房という名前も面白いなと思ったのですが、名前の由来について教えてください。

 「◯豆ン工房」◯に小をいれたら小豆。大を入れたら大豆。納豆、豆腐、等の言葉遊びと、「◯=輪=平和」とし、PEACEなマインドで皆さんと繋がる事をイメージしてます。「メン」はmen & woman。工房は創る事なので、豆(大豆)を通じて老若男女色んな人が通じ、楽しめる物や場所を創る事が出来たらと思っています。

ーー増田さんの土作りに対するこだわりについて教えてください?

 まずは大前提として、土の中の微生物がより活動しやすいような環境を作ることが大切だと思っています。その手段として、鶏糞を使っているのですが、鶏糞については、知り合いのところのものを譲ってもらったり、有機JAS認証を受けたところで購入したりしています。ただ、量自体はそんなに蒔いていなくて、慣行基準(一般的な農家が使用する量)の3分の1くらいしか蒔いていません。

 あとは油粕、納豆菌や乳酸菌、酵母菌などの微生物資材を使っています。微生物を土の中に出来るだけたくさん増やして、作物が土の中の栄養を吸収しやすいような環境をつくっています。

ーー納豆菌や乳酸菌なども使われているのですね。

 鹿児島市に仲の良い納豆メーカーさんがいて、そこは納豆を全て自社で培養して生産しているこだわりの納豆メーカーなのですが、そこから納豆菌を譲ってもらっています。

ーー土の中の微生物が大切だという考えは、どのようなところから思われるようになったのでしょうか?

 僕の栽培している大豆というのは、成長するにあたって根粒菌※という微生物が大豆の根につくんですよ。その根粒菌が、土の中で、作物に栄養素を供給したりしていて、大豆の成長には欠かせない微生物となっています。

 大豆に限らず、例えば堆肥等有機物を畑に入れても、微生物がそれらを分解してくれないと、作物は栄養として取り入れることができません。そういう意味でも、やっぱり土の中の微生物が農業を行なう上で非常に重要な働きをしていると思っています。

ーーマルマメン工房の大豆のPRポイントはどこでしょうか?

 多分、国内で大豆を多品種つくっている生産者さんは少ないと思うんですよ。そういう意味では、それぞれが味の異なる色々な種類の大豆をご提供できます。あとは、化学肥料でも有機肥料でも、畑にたくさん入れて作ることもできるのですが、極力、土の力を引き出して、余計なものは畑に入れないことで、しっかりと味わいのある大豆を作っています。一粒、一粒が美味しいと言われるような大豆をつくることが僕の目標です。

 ご存知の通り、今日本は穀物の大半を海外から輸入していて、大豆にしても国産のものは本当にごくわずかな数量しか生産していません。さらに、そのわずかな国産大豆の中でも有機栽培の大豆はというと6%くらいしかないんですよ。

 このままいくと、有機栽培の大豆はもちろんですが、国産の大豆も食べられなくなる可能性があり、そうした自体はなんとしても食い止めたいと思っています。

ーー国産というだけでもそうですが、有機栽培となるとやはりそれなりにコストもかかってしまうのではないでしょうか?

 そうなんです。一般で出回っている海外産のものと比較するとどうしても価格は高くなってしまうのですが、少しでも実際に味わってもらって、他の大豆との違いを知って頂けるとありがたいなと思います。

ーー増田さんが数ある品目の中から、大豆を作ろうと思われた理由について教えてください。

 実は、鹿児島って大豆を生産しているところがほとんどなくて。どうせなら、鹿児島県産の大豆で、味噌や醤油などを作れるようにしたい、食べてみたいと思ったのが大きな理由です。数少なくなった鹿児島県の大豆栽培を残していきたいなと。味噌は自分で作っているのですが、醤油はまだですね。ゆくゆくは醤油も作って味見してみたいと思っています。

ーー大豆はどのような品種を栽培されているのでしょうか?

 栽培している大豆の品種は全部で8品種ですね。大きく、白系、黒系、茶系・・・

紅系、青系と分類されるのですが、味はそれぞれ違っています。

 白系が一番淡泊で、黒系は旨味と甘みがあります。茶系や緑系は甘みが強くて、紅系は白と黒の中間くらいといった感じですね。一般的に流通しているのは白系品種で、関東の方では青系品種なんかは幻とか言われているみたいです。

ーーすごく綺麗ですね。大豆にこんなに種類があるとは知りませんでした。

 大豆って品種によっても全然違いますし、結構女性なども豆好きな人は多いんですよ。今はひよこ豆など調理しやすい豆がピックアップされがちなんです、僕は大豆って面白いんじゃないかなと思っていますね。

ーー増田さんにとっての大豆栽培の面白さや魅力について教えてください。

 大豆ってご存知の通り、醤油や味噌、豆腐やきな粉など、結構色々な用途に使えたりして、可能性はすごく秘めていると思うんですよ。その無限に広がる可能性を自分で見つけていくことができるというのは、大豆の面白さだと思っています。

 栽培という意味では、大豆は排水設備さえしっかりすれば、どのような土壌でも育ってくれます。この地域でも、高齢化や後継者不足で田んぼを維持できない生産者さんたちが増えてきているので、将来的な栽培という意味でも、大豆の持つ可能性は大きいと思っています。

ーー就農されて最も苦労されたことは何でしょうか?

 最初はもう販売ですね、今は販売の方も安定してきていますが、当時は販売先やツテも全くないゼロからの就農だったので、販売先の開拓にはかなり苦労しました。色々なイベントへ行ったり、対面販売で手売りしたりしてみたのですが、全然売れなかったりして。

ーー大豆を販売するというのは、そのまま食べられる野菜やくだものに比べて大変そうですね。

 やはり大豆は、一度水につけて戻さなければいけないというイメージが強いので、調理が面倒くさいと思われているお客さんも多いんですよ。そこを払拭して、実際に食べて美味しさを知ってもらうにはどうすれば良いのかを考えるのが大変ではありましたが、大豆の美味しさを知って頂く上でとても重要な点だなと思いました。

ーーそうした食べ方などはどのように見つけられるものなのでしょうか?

 様々な種類の豆を取り寄せて、栽培したり、自分や地域の飲食店の方々にご協力を頂きながらより手軽で美味しい大豆の活用方法を日々探っています。

 例えば、うちで販売している数種類の大豆がミックスされた商品も、以前、いくつかの種類の大豆を知人がバラバラに蒔いてしまったことがあって。そうなると、当然収穫の際にも色んな品種の大豆が混ざって収穫されるので、どうしようかってなってたときに、とにかく一回食べてみようってことで、蒸して食べてみたんですよ。するとすごく美味しかったんですよね(笑)。色んな大豆の味がそれぞれ絡み合って、すごく良いハーモニーを奏でているというか。

ーーこのきれいな大豆のミックスセットはそのような背景から誕生したのですね!

 甘みもあって、うまみもある。味が面白いのでぜひ色んな方に食べてもらいたいですね。

ーー増田さんが、消費者の方へ伝えたいことはありますか?

 豆って皆さん、意外とそのまま(淡白な感じで)食べられるので、豆が嫌いっていう子も結構いたりするんですよね。たしかに他の食材と比べると調理は面倒なところはあるのですが、一方で、ご存知の通り、大豆は味噌など色々な形で使える可能性を持っているので、ぜひご自宅などで大豆を使った加工品やお料理を試してもらった、豆って美味しいねって改めて思ってもらえるようになると嬉しいですね。

ーーこれまでに嬉しかったお客さんの声はありますか?

 純粋に、自分が育てた豆を食べてもらって、「美味しかった」って言われるのが、やっぱり一番嬉しいですね。イベントやマルシェなんかでも、前回買って食べて、美味しかったと言ってくれるお客さんなんかは、生産者としては本当にありがたいですね。野菜やくだものとは違って、豆という食材ですからね。 他には、豆の味が面白かったとか、蒸した豆を子どもに食べさせたら、子どもがずっと食べているとか、そんなお話を頂いたりもしますね。一番多いのは、豆ご飯で食べてもらったらいつもの豆とは味が全然違ったというケースです。

ーー増田さんが目指す営農の姿について教えてください。

 一つは、他の人が農業に参入する際のきっかけとなるような農業をしていきたいですね。地方で暮らすにはやっぱり農業というのは切っても切り離せないものなので、地方での農的な生き方でも、しっかりやれるんだよっていうのが証明できたら良いなと思っています。

 農業といってもやっぱり仕事として経済的にも自立させないといけないわけで、そこができていない農家さんもかなりいらっしゃるように思います。そうなると、好きだからやっているのか、それしか出来ないからやっているのか段々分からなくなってくると思うんですよ。そうなると、自分の子どもも継ごうとは思わなくなってしまいますし。

ーー農業や地方でもの暮らしに興味のある人が希望を持って入って来られるような、ロールモデルになりたいということですね。

 そういうことですね。僕がやっているのは、麦と大豆だけなんですけど、それらを加工する場所なんかも今後作って、そこに色々な人たちが関わって楽しくなれるような、そんな拠点に将来的にしていきたいと考えています。

ーー増田さんにとって、農業の仕事としてのおもしろさとか魅力はどのようなところでしょうか?

 自分のペースで仕事ができるということと、あとはやっぱり、場所にもよると思うんですが、海が見える場所とか、大きな山が見える場所だとか、そういう自然の景色や四季の移ろいを感じながら生活できるというのは、農業の大きな魅力だと思っています。

 今は本当にたくさんの野菜があって、スーパーには一年中同じ野菜が売られているので、旬も分からなければ、食材から四季を感じる機会が少なくなっていると思うんですよ。都市部は、冬であればヒーターを使って温かくして、夏はクーラーを使って・・・

冷たくするというように、出来るだけ四季の特徴を消して人間都合の生活になりやすいじゃないですか。

ーー私も昔東京で働いていたときは、オフィスの中に一日中いることが多かったので、四季の変化を今ほど感じることがなかったですね。

 そうですよね。熊本にいる知り合いの農家が、自分の野菜を通して消費者の生活の中に春夏秋冬の四季を作ることが一番楽しいと言っていたのですが、自分もそんな農家でありたいなと思っています。

 あとは農業をやっていると生産者としてお客さんや飲食店さんのところに行くと発見が多くて楽しいんですよ。そういうリアクションを受けて、自分も次はこんな大豆や野菜なんかを作ってみようとか考えたりして。

 農業は色々な意味で挑戦の連続なんですが、その挑戦の結果も自分自身に直接返ってくるわけです。失敗するのも自分の責任だし、売れなくても自分の責任であって、その逆も然りです。そうした点でも農業は面白い仕事だなと思いますね。

ーー最後に、増田さんにとって大豆とはどういう存在でしょうか?

 自分の生活にとっても、他の人の生活にとっても無くならない存在ですね。それを自分の手で作れるというのは、素晴らしいことだと思っています。

 たくさんの量を売ることが僕の営農の目的ではないのですが、やっぱりより多くの人たちに食べてもらいたいですし、食べてもらえなければ意味がないので、(美味しい大豆をたくさんの人に味わってもらった)その結果として販売が増えていけば良いのかなと思っています。