有機野菜や自然栽培の産直宅配ならtoriii(トリー)

Home > カテゴリー検索 > 生産者一覧 > 生産者情報

たけもと農場

主要品種の栽培スケジュール

1月2月 3月4月 5月6月 7月8月 9月10月 11月12月
コシヒカリ
ひとめぼれ
ミルキークイーン
カルナローリ

Farmer Profile

竹本 彰吾
(たけもと しょうご)

竹本 彰吾

石川県能美市で先祖代々、お米づくりを継承。土づくりを米作りの原点として、親子でこだわりの米作りを行う。生産から出荷までを一貫して行い、環境保全型の農業を目指し、有機JASや特別栽培米の栽培も行っている。また、地域の活性化に向けた人づくりにも力を入れており、地域の小中学校向けの社会科見学受入れなど幅広く地域の活動にも取り組む。

お客様を笑顔にさせる瞬間を作るお米でありたい

 見晴らしの良い加賀平野のど真ん中で美味しい米作りに汗を流しているたけもと農場さん。過去には天皇杯の選賞を受けるなど先祖代々から引き継ぐこだわりのお米作りの腕は超一級。そんなたけもと農場で、次の代表を務める竹本さんにお米づくりについて、さらにはたけもと農場が大切にする地域との関わり方についてお話を伺ってきました。

高島 勇志

担当:高島

ーー竹本農場さんは、竹本(彰吾)さんで何代目なのでしょうか?

 農業は昔から代々ずっとやっていて、文書で遡れたのは9代前までなので、僕でちょうど10代目というところです。それ以前は、古過ぎてよく分かんなくなってしまったところがあって・・・

ーーそこまで遡れるだけでもすごいですね!9代前というと江戸時代とかでしょうか?

 はい、江戸時代の後期ですね。お寺(檀家)の記録で確認することができます。

ーー現在は何名ぐらいでやられているのでしょうか?

 今は6名でやっています。

ーーそれほど歴史のある農家さんとなると、竹本さんも小さい頃から家を継ぐことが決まっていたような感じだったのでしょうか?

 兄弟が姉2人なので、小さい頃からそういう感じではありましたね。特に祖母からは「ワレは跡を継ぐげぞ(継ぎなさいよ)」って口癖のように聞かされてきました(笑)

ーーそのあたりは、竹本さんご自身は昔から納得していたのでしょうか?

 その辺は、父が色々フォローをしてくれて。家を継いだから「伝統を守るためにあれをせんな、これをせんな。」と思わないで良いし、父や祖父など皆自分のしたいように代々して来たので、僕自身も自分の考える通りに新しいことに取り組んだら良いっていってくれて。

 私の祖父はお米で天皇杯を頂いていたこともあるのですが、そうした伝統ある家を継ぐ事に対するプラッシャーは父のおかげであまりなかったですね。

ーーすばらしいお父さんですね。小さい頃から家のお手伝いとかされていたと思うのですが、農業については、面白いなと思われていたのでしょうか?

 正直なところ、昔は、思っていなかったですね(笑)

 最初に農業が面白いなと思ったのが大学生の頃でした。家の仕事は小さい頃から手伝わされていたのですが、大学に入るまでは手伝いといっても、土日の休みの日に少し仕事を手伝うという感じだったのですが、大学は休みも多いのでかなりの頻度で手伝いをしていました。

 なので、それまでは、種蒔きの作業を手伝ってお終いだったのが、種を蒔いたものが3日後に芽が出てくるのを自分の目でみることができて、色白い芽がとても神秘的で、こんなに日々育つんだっていう一連のプロセスが良いもんやなってそのときに初めて思うようになりましたね。

ーーそういう意味では、竹本さんにとって農業の魅力や面白さはどのようなところでしょうか?

 お米農家って2つの喜びがあると思うんです。ひとつは、生き物であるイネが育つ姿を見守り、見届ける喜び。これはなんとも言えないです。そして、もうひとつは、食べて下さった方が笑顔になってくれる。それが分かる喜び。

 米づくりは春から秋と言われますけど、農家にすれば一年じゅう、米づくりに奮闘してるようなものなんですね。収穫が終わったときから、田んぼの土づくりに励んだり、翌年の計画を立てたり、どうすれば美味しいお米が出来るかを研究したり、雪が積もって田んぼに出れなくても、お米づくりしはしているんですよ。

 春に田んぼの土の高い部分を低い部分にスコップで移動する重労働も、ひと箱数キロある苗箱を延々と運ぶ作業も、朝から晩までトラクターや田植え機を操縦して神経をつかう作業も、真夏の太陽のなかを肥料まいて歩く作業も、畔道に生えた雑草を草刈り機でひたすら刈る作業も、田んぼに生えた雑草をひたすらひっこ抜く作業もどれもどれも楽なものじゃありません。

 でも、ウチのお米を食べて頂いたお客様の「うまい!」、「お米ありがとう。」の一言で、すべて救われます。本当にそのおかげでいろんな苦労があっても頑張ることが出来るんですよ。

ーーたけもと農場さんの栽培のこだわりについて教えてください。

 米農家としての自分達の原点は土にあると思っています。例えば、水や空気の通りを良くするための土を出来るだけ深く耕します。手間はかかりますが、その分、稲は広く深く根を張り、健康的で丈夫な稲が育ちます。また、椎茸農家から頂く使用済みの菌床や、牧場からでる馬糞を堆肥として活用し、微生物の豊かな土壌づくりを心掛けています。

 収穫は人の都合ではなく、稲穂の完熟をじっくりと待ちます。完熟させると刈り取る際に穂がこぼれやすいのですが、食味や歯ごたえを優先させるようにしています。また、乾燥も、ゆっくりと時間をかけて乾燥させることで・・・

天然の風味を大切に仕上げるなど、収穫後の作業にも最後までこだわっています。

ーー竹本農場さんでは、一部有機JAS認証や特別栽培農作物の認証も取得されているとお伺いしました。

 有機JAS認証に取組み出したのはかなり古くて、最初のきっかけは、竹本牧場の目指す方向性を示していくという意味があったみたいで、今もその方向性は全然変わっていないのですが、その他に、生態系をしっかりと残すことや、食べる人の安全に配慮してということもありますが、農薬ってやっぱり農作業を行う生産者自身の健康への負担が一番大きいんです。僕自身も農薬を浴びるような田んぼで出来れば働きたくないと思っているので、そうした様々な面から、出来るだけ農薬や化学肥料を使わない農業としてやっていきたいという想いがあります。

ーー無農薬や減農薬でやられるとなると田んぼの面積も広いので、草対策なども大変じゃないですか?

 大変です。究極は草が生えないようにただただ祈るばかりですね(笑)ウチの場合は、水管理をしっかりしていて、田んぼを干したりせずに常に水を張っているやり方を取り、草の発生を抑えるようにしています。

ーー消費者の方に伝えたいことはありますか?

 toriii(トリー)さんの取組みのコンセプトと同じように、僕たちも消費者の方と生産者の双方向のやり取りが出来るような関係がすごく大切だと思っています。生産者が「ウチの農作物は安全です!美味しいです!」というように、一方的に消費者へ自分達の主張を押し付けるのではなく、消費者さんの方から、食に関して日々の生活でこういう不便があってとか、もっとこういうものがあれば良いなということを生産者へ投げてもらって、ウチではこういうことをしていますよ、だとか、こういうことが出来ますよというような人間関係が、これからどんどん活発になっていければ良いなと思っています。

ーー農業だとやはり全てが思い通りには中々いかないですよね?

 いかないですね。思い通りにならないのは、大変なところは大変ですけど、きっとそれが良いというものなんでしょうね。

 以前、どこかのテレビで流れた「諦めることを覚える」というフレーズがすごく響いて。すごくネガティブに見せかけてとても深いと感じました(笑) その番組の内容は、確かなかなか結婚できない男性向けのアドバイスで「犬と猿を飼いなさい」というものでした。その理由が、「世の中、自分の思い通りにならないと分かるから」というような意味でした。

 この言葉が自分の中で響いた背景には、以前小学生から「お米があんまりとれなかった時はどんな気分ですか?」という質問されたことがありました。その時の回答は・・・

「がっくりきましたね~」みたいに答えたと思うんですけど、それ以来、すごく自分の中で胸につっかえていて。

 がっくりはしたけど、もう農業を辞めようとは思ったことはないし、それで農業がつらくなったわけでもないんですよね。要はそれはそれで、諦めたということなのかと思います。

 ただ、諦めるっていうと、なんかイメージが悪いなぁと考えていました。大好きなマンガ「スラムダンク」でも「諦めたら、そこで試合終了ですよ」という好きな名言ありますし(笑)。

 そういう風にずうっと思っていたときに「諦めることを覚える」って言葉を見て。なんたって、農業は「自分の思い通りにはならない」ことに定評がありますからね(笑)

 つまりそれは、「願いが叶わなかった」とか「挫折」あるいは「悔い」につながるような『諦め』ではなく、「ありのままを受け止める」とか「結果に納得する」につながるような『諦め』だったのではないかと。

 農業は自然相手なので、毎年が一年生なんです。思い通りにならないからって言い訳にばかりしても仕方がないし、無理して抗わないで出来るだけありのままでと思っていますね。

ーー非常に深い気づきですね。竹本さんの仰っていることは、農業に限らず、一般の会社など色々な状況の方に言えることなのではないかなと思います。

ーーこれまでやられて来た中で、竹本さんが一番嬉しかったエピソードについて教えてください。

 一番はイタリア米をつくったときですね。ことの発端は、金沢市でイタリアンレストランをやっているシェフの方と雑談みたいな形で、「イタリア料理では、イタリアのお米(カルナローリ)を使ってリゾットをつくる。なぜかと言うと、日本のお米だとどうしてもベチャっとした仕上がりになって、リゾットと言えんのよね。でもイタリアのお米を輸入すると、輸送費や関税ですごい高くなってしまうから悩みどころなんよ。」というような事を言われて。

 イタリア野菜などを国内で作っているケースもよく聞いていたので「多分お米も作れるんじゃないですかね」という話をしたら、「でもどこも作ってるところないよね」ということを言われました。じゃあ、自分で作ってみようかなと思って。

ーーイタリア米については何か知識などはお持ちになられていたのでしょうか?

 全然なかったですね(笑)なのでゼロから自分で情報を探して調べました。ふだんの苗づくりは、出芽器にセットし、温度を設定したら、あとは加湿のための水を切らさないようにすることと機械がちゃんと動いているかを半日おきにチェックするんですが、はじめて作る国産イタリア米カルナローリの場合は気になって気になって、時間もそれほど経っていないのに、カバーを開けて何度も中を覗いたり、仕事になりませんでしたね(笑)

 そんなことを繰り返しながら、二晩目の夜、いつものように機械作動の確認と水位の確認した後、カバーをめくってのぞいてみるとちょろっと芽が出ていたんですよ。

ーーそれはすごく嬉しいですね!

 「おぉ~~っ」と、思わず声がでましたね(笑)これまで当たり前のように感じていた芽というものがこんなに新鮮に感じれたのは初めてと言いたいほどインパクトがありました。やっぱり農業って最高と思える瞬間を、再認識できた良いきっかけですね。

 そうして、出来たイタリア米をシェフの元へ持って行ったら、「えっ、本当に出来たんけ!!」って言われて、それまでは中々自分がゼロから作ったものでそんなに誰かに喜んでもらえたり、驚いてもらう経験がなかったので、すごく嬉しかったのを覚えていますね。

ーー逆に営農をされていて大変なことはどのようなことでしょうか?

 大変なことは色々とあるのですが、現在の一番の課題は人材育成ですね。僕が竹本農場に入社したのが10年前で、当時は、両親と僕、季節アルバイトというような体制でやっていました。その後、奥さんや親戚、新しい社員が2人入ったという状況なので、法人になってからもう20年以上経つのですが、組織としての営農という意味では、まだまだ歴史が浅い状態です。

 なので、社員の人たちに「どうやりがいを持ってもらうか」「どう日々の課題意識を持ってもらうか」というところが、今非常に難しいところではあります。

ーー具体的に人材育成のどのような部分が難しいのでしょうか?

 どんな仕事も同じだと思いますが、特に農業は、言われた事だけをこなすというのだけではダメで、しっかりと作業の効率や作物の状況を常に意識しながら、現場ベースで日々改善をしていかなければならないと思っています。

 ただ、このことは、メンバーも理解はしてくれてはいるのですが、まだ身に付く(実際の行動に移る状態)まではいっていなくて、いかに自発的に日々の仕事を現場から改善していけるような組織にしていけるのかが今後の課題だと思っています。

ーーすごく良く分かります。言われたことをただこなすのではなく、それぞれが課題意識を持って常に仕事や業務を改善、進歩させていかなければ、組織として長く続いていかないと思っています。

 色々と試行はしていて、例えば、今石川県の数件の農家とトヨタさんが共同で、農業におけるトヨタ式の改善ネットワークという試みを行っています。この取組みは最初、トヨタさんから同社の営農管理システムを導入しませんか、という声かけから始まったもので、システムを導入してやっていくうちに、せっかくトヨタさんが入ってるのであれば、製造業のノウハウを農業にも取り入れるような試みをしていかないとダメだよねという話になって。今でも2ヶ月に1回程、トヨタさんから人が来て、各生産法人を周って色々指導して頂いています。

ーー農業版のトヨタ生産方式ということですね。

 問題や課題を発見して、理想(目標)と現実を比較し、本当はこうあって欲しいが現状はこうであるというギャップをまずしっかりと認識します。そしたら、次にその問題の真の原因はどこにあるのか、その原因に対してどのようなアプローチをすれば良いのかを考えることが製造業に限らず農業でも大切です。

 さらに、そうした話合いはトップだけで考えるのではなく、現場のメンバーなど皆を巻き込みながら議論することが大切です。問題解決のプロセスを全員が参加しながら進めることで「上の人はこういうことを考えてやっているんだ」ということを少しでも意識してもらえれば良いのかなと思っています。

ーーそうした試みやシステムは他の農家さんもかなり導入されているのでしょうか?

 実際のところ、まだまだ少ないですね。そこにはまだこの試みの本質が十分に理解されていないところがあって、今まで10分で10個作っていた物を、9分で同じ数だけ作ろうとした時に、ただ急かしてそれを達成するという考えではなくて、例えば農業であったら、置く・持ち上げるっていう動作をどうにかして短縮出来ないか、今は配置の問題で時間が余計にかかっている部分を改善することで作業効率を高められないか、といったことを、皆で知恵を出し合うことが大切なのですが、その辺は口で説明しても中々難しいところではあります。

ーーそうした点も含めて、竹本さんにとって現在の農業の課題はどのような点だと思いますか?

 やっぱりまだ日本は産業として農業が成り立ってないと言うか、日本全体で言っても圧倒的に兼業農家が多いんですよ。

ーー農業が産業として成り立っていない理由はどのような点にあると思いますか?

 もちろん、自然が相手というところがあるので、国や自治体のサポートが大切なときは必ずあると思うのですが、やはり、必要以上に補助金が出過ぎて、農業全体がぬるま湯に浸かっている感じがあるのは事実としてあると思いますね。

ーー人から貰ったお金というのは、案外何も考えずに遣ってしまうことが往々にしてありますからね。

 厳しい環境に置かれたときに、人も会社も強くなると思っているので、産業として農業を成り立たせるためには、健全な生産者同士の競争や不断の努力が必要だと考えています。

ーーたけもと農場さんは、子どもたちと農業の接点づくりにも力を入れていると伺いました。

 地域の子どもたちは将来この地域を担う大人になる可能性が高いじゃないですか。温かくて気の休まるコミュニティを守っていくために何か自分達ができることがあるように思っていて、毎年、地域の小中学生を学校の社会見学で招いています。

ーー子どもたちに対してはどのようなことをお話されるのでしょうか?

 一粒の籾が万倍となって稲穂が実るという意味で、「一粒万倍」という言葉があります。実際に一粒の種が万倍になることはないんですけど、五百粒くらいにはなります。その五百粒が次の年に、それぞれ五百粒を生むことになるのですが・・・

それが米作りの仕事であることを伝えます。

 そして、人間は皆、次に五百粒の命を生む米を食べて生きているわけで、そういう意味では”命を頂きます”と感謝しないといけないし、決して粗末にしてはいけない。そんなことを僕たち農家が語っていかなければならないと思っています。

ーー素晴らしい考え方ですね。竹本さんにとって、お米とはズバリどういう存在でしょうか?

 僕自身、お米だけに拘るつもりは実はあんまりないです。ただ、たけもと農場自体がお米作りと一体化しているので、お客さんとの繋がりだったり、地域からの信頼だとか、そういうのはお米のお陰で成り立っているという感覚があるので、自分の生活の中で非常に大切な存在ですね。

ーーたけもと農場さんからは地域との繋がりを大切にするという意識を強く感じます。

 農業はやっぱりそうあるべきなんじゃないでしょうか。人の命と健康は、その人が生きる郷土と深く関わっていると思います。

ーー学校教育以外にも地域のために活動されていることはありますか?

 今は石川県農業青年グループ連絡協議会の会長も務めさせて頂き、県内の農業青年125名のお世話をさせて頂いています。前会長であり、金沢でお米やレンコンを主に作られている農事組合法人Oneの副代表の宮野さんから「彰吾、次は頼んだぞ!」と会長を任されました。

ーーOneの宮野さんにはtoriiiもお世話になっており、よく存じ上げています。

 あのゴリラのような風貌の宮野さんからお願いされたら答えは、”YES” か ”はい”しか選択肢がありません(笑)でも、おかげさまで、石川県の代表として全国の志し高い生産者さん方にもお会いさせて頂く機会があるなど、自分自身にとってすごく刺激となっています。

ーーお子さんはにはやはりたけもと農場を継いでもらいたいという気持ちはありますか?

 娘と息子が一人ずついて、まだ子どもたちは小さいですが、やっぱり出来る事なら継いでほしいという気持ちはありますね。

 今とある農業用器機メーカーさんと次世代のコンバイン開発に携わらせてらっているんですが、そのメーカーさんからトラクターのチョロQを頂くのですが、それを息子に与えていますね(笑)

ーー地道な試みですが、じわりじわりと将来的に効果が出てきそうですね(笑)