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富士山の恵みファーム

主要品種の栽培スケジュール

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Farmer Profile

横野雄一・知野幸一

横野 雄一

大手ゲーム会社で約20年間務めた後、有機農家を目指し、富士宮市での農業研修を経て2014年に新規就農。前職の同僚で、林業に従事していた知野が加わり、富士山の恵みファームとして、土作りにこだわり、農薬や化学肥料を一切しない有機農法で、年間約40品目の野菜を栽培している。

有機農業に賭ける熱きふたり

 自然豊かな富士山の麓で、自然の力を最大限に引き出した農業を営む、富士山の恵みファームさん。農薬や化学肥料を使わず、有機的なサイクルの中で育てたお野菜は、やわらかく、味が濃く、香りも強く、それぞれの個性がしっかりと感じられるお野菜として東京などの首都圏でも幅広い消費者から人気があります。そんな横野さんと知野さんのおふたりに営農に対するこだわりと農園のお野菜についてお話を伺ってきました。

上村 聖季

担当:上村

ーー横野さんはいつ頃から農業をやりたいと思われていたのでしょうか?

横野:僕は元々、大手ゲーム会社の社員だったのですが、社内の先輩のご実家が農家や漁師だったりして遊びに行ったときにお話を聞いたりお手伝いをしたり、また親戚にも有機農業者がいたので生産者の方々に触れ合う機会がありました。それがきっかけでもし会社員を辞めたらそういった仕事をしてみたいと30歳くらいの頃から考えるようになりました。当時はまだ有機農業についても・・・

詳しく知っている訳ではありませんでした。

 会社員として生きてきたので、自分の手で直接何かを生み出している感じっていう実感が薄かったのですが、あの方々(生産者さん達)は確実に自分の動きで、人の食べ物をつくっていて、その食べ物を皆が食べていて生活の支えになっているって考えると、やっぱり生産者の人ってすごいんだなって、ちょっとした憧れというか、そういうのが出てきたんですよね。

 そんな中で、30歳後半にこのままサラリーマンの人生を続けるのか、別の生き方を選択するのかっていうことを考えていたときに、有機農業をしていた親戚のところへ農業を学びに行く決心をしました。

ーーどのくらい研修をされていたのでしょうか?

横野:40歳で早期退職をして1年手伝いをして更に1年研修して新規就農しました。

ーー実際に就農されてみて、就農前のイメージとのギャップはありましたか?

横野:就農する前に有機の畑は県外も含めていろいろ見せてもらっていたのと、実作業も手伝いなどで行っていたので大きなギャップはありませんでした。ただ通常の畑とは違い農薬や化学肥料も使わず虫や草など生物多様性を尊重した中での野菜作りはコツが分かってくるまで時間がかかりました。

ーー就農されて一番大変なこと、辛いことはどんなことでしょうか?

横野:会社員時代のストレスなんかに比べたらほぼ無いのですが・・・

 強いて言うなら…最初のころめちゃくちゃ虫に刺されたことですかね。インタビュー記事にも載せられないと思いますけど (笑) 研修中なんかは、もう顔中刺されて、顔中、体中が腫れまくったりとかいうこともありました。

ーー私も畑にいるだけで既に相当な蚊に刺されています。これが毎日畑作業の際にと考えると冗談抜きで辛い気がします・・・

横野:露地栽培がほとんどなので何十メートルものキュウリやインゲンやミニトマトのアーチが強風で吹っ飛んで根っこごと抜けて全滅とかはしばらく呆然としちゃいますけど・・・

 取扱いに気を付けないといけないような薬品の類など科学的な物は一切使っていないので、食べてもらうお客さんや環境に対して何の後ろめたい気持ちも無いですし、有機栽培って、やればやるほど微生物のことだったり、化学的なものに頼らない工夫が分かってくる訳じゃないですか。踏み込み温床※など昔の日本人の知恵だったりするのですが、有機農家の先輩方に教わって実際に作って寒い時期に苗作りしてます。野菜の成長なども含めて辛いことより感心や感動の方が多いです。

 富士宮は環境も良いですし、精神的なストレスは少ないです。

※ 落ち葉や藁などと小糠などを混ぜ、水をかけて踏み固め、窒素分が発酵して発熱することを利用し、苗を育てる温床です。電気も石油もいらない自然にやさしい仕組みとして注目されている。

ーー知野さんが農業を始められた理由はなぜでしょうか?

知野:僕はもともと横野と同じ大手のゲーム会社で働いていて、横野よりも5年程早く辞めて林業の世界に入っていました。

ーー林業ですか!?

知野:僕は農林関係の学校で林業科を卒業していたので、もともと林業や農業に興味を持っていたんですよ。出身は新潟なのですが、周りが山や畑の中でで育ったというのも大きかったと思うのですが。なので、前の会社に入ったときも、いつかは山であったり畑であったり自然の中で働きたいという想いがずっとあったんです。

ーー林業から農業へ転向されたのはなぜでしょうか?

知野:林業というのは木によっても違いますが、今私達が伐採している木というのは、私達のおじいさんの代よりもさらに前の世代の方によって植林された木で、長い年月をかけて手塩にかけて育てられた木なんですね。とても歴史のある仕事ではあるのですが、反面、農業と違って、自分の代で仕事が完結するというものではありません。

 もちろん、私が働いているときにも植林をするのですが、それが成木になるのは50年先といったような、そんな時間の感覚です。その点、農業(畑作)は自分で蒔いた種の収穫までを長くても1年で見届けることが出来ます。個人的には、始まりから終わりまでの一連の作業に携わることのできる農業に魅力を感じたことがきっかけです。

ーーそんな中で、おふたりが再度出会われたのはどのような経緯があったのでしょうか?

横野:同じく前の会社の先輩から知野さんのことを聞いていて、一緒に飲みに行く機会を作ってくれてそれからです。その先輩も今、和歌山でミカン農家になっています。

知野:ちょうど横野が会社を辞めて農業を始めたということで、最初は半分遊びのつもりでこちらへ来て、体験農業みたいなものをさせてもらっていたんですけど、序々に農業に傾倒していったという感じです。

ーーおふたりにとっての農業の面白さや魅力について教えてください。

横野:これは農業、といっても、有機農業になるんですけど、 化学肥料や農薬など、人間が人工的に作ったものを使わないで、自然界に存在する物だけで安心で美味しい農作物を作っていくことが出来るというところは一番の魅力だと思っています。それを食べてくれるお客様が喜んでくれる事が嬉しいです。あとは、やりがいですね。

 有機農業は人にやさしいだけじゃなく、自然環境負荷への低減などにもつながるのですがやっている人はまだ少ないんですよ。それはすなわち、まだまだ広げられる余地がたくさんあるってことだと思っています。

 例えとして正しいかわかりませんが、電気自動車やハイブリット車を・・・

作っている人とかのことを考えたりします。エネルギーのことや自動車の排気ガスの問題とかがあって、それは良くないよねってことで、出来るだけ排気ガスを発生させない自動車を作ろうってことで始まって、今は段々とメジャーになってきています。要するに、社会や環境にとってより良いものへの挑戦というか、有機農家として、同じような気持ちを持ってやっているのでやりがいという部分ではすごく大きいですね。

ーー横野さんと知野さんからは、なにか大きな枠組みでの視野と志を持って有機農業に取り組まれていることが伝わってきます。

横野:ですので一般でいう苦労も、特段苦労だとは思わないのかもしれません。一次産業自体がそうだと思うのですが、やっぱり体を駆使したり、炎天下や寒さの中で作業を行なったりするので、そうした大変さはもちろんあるのですが、会社員時代と比べて、精神的な負荷はほとんどないですね。

知野:私も自分達が丹精込めて育てた野菜を、お客さんが食べて喜んでくれるのが一番うれしいですね。野菜嫌いだった人が、野菜を好きになったって言われたりするのはすごく嬉しいですし、お客さんの中には、身体の理由などから、農薬や化学肥料を使っていない野菜をほしいという人もいらっしゃって、そういう方からの問い合わせも多いのですが、そうやって人の役に立てているという実感は、仕事のやりがいにもつながりますね。

横野:お客様の中には、わざわざメールやハガキで感想をくれる方もいらっしゃいます。お子さんやお父さんの野菜嫌いが無くなりましたとか、海外でお仕事されて日本に戻ってこられた方からもっと日本も日常的に有機農産物が買えるようしてほしい、頑張ってと励ましをいただいたり、野菜毎週楽しみに待っていますとか、生産者として本当にありがたいことです。

ーーおふたりから消費者の方へ伝えたいことなどはありますか?

知野:自然の中にあるものだけを使って育てた野菜をまずは食べてもらうことでその美味しさを知ってもらいたいですね。実際に食べて、美味しいとなればこういった農家が作っている野菜を選んでもらえると思います。それは消費者にとっても、担い手不足の農業にとっても自然環境にとっても良いんじゃないかなと思っています。

横野:あとは、消費者の方に有機農業について少しでも理解を深めてもらえると嬉しいですね。僕たちは、取引先の業者さんや個人のお客様にも、出来るだけ畑に来てもらってます。取引のある会社の社内のイベントでうちの畑に来て収穫体験とかをやってもらったりしています。

知野:お客さんの中には、一般の畑に比べて草も生えているので、「こんな畑で大丈夫なの?」とか、「ちゃんとお野菜が出来るの?」とかって心配して下さる方もいらっしゃるのですが、有機農業について一つずつ丁寧に説明をしていくと・・・

「それでこれだけ草が生えているんだ」とか「除草剤ってすごく強力な薬なのね」とか「生物多様性ってこうゆう事なんだ」といった話になって、有機農業について関心を持って頂けます。

ーー富士山の恵みファームのお野菜の特徴について教えてください。

横野:うちの野菜は、よく「やさしい味がする」「うまみがある」って言ってもらうことが多いです。あと柔らかいけど煮崩れし難いとかのご感想をいただきます。年間40約品目を生産していますが、葉物・カブ・ニンジン・大根・里芋・パクチーなどはお勧めです。

知野:僕も富士メグの畑に初めて来たときに、野菜を食べてみて、美味しいのと同時に、何かやさしい、子どもの頃に食べた味がしたんですよ。身体にすんなりと入って来るというか。私が食べていた野菜って、消費者の味覚がそうなってしまっているからかもしれないのですが、甘かったり、酸っぱかったり、味が単調で、はっきりしているものが多くなった気がしていて。昔はもっと、自然の調和というか、甘みと酸味のバランスが絶妙に取れていたりと、そんな野菜が多かったように思います。

ーー現在、堆肥として使われているのはどのようなものでしょうか?

横野:僕たちの畑で使っているのは、市内で付き合いのある牧場さんから頂く完熟牛糞堆肥がベースです。そこの牧場の方は、地域の有機農業を応援してくださっている方で、富士宮の有機農家さんの中にもお世話になっている人がたくさんいます。

知野:元肥として、牛糞堆肥を入れるのですが、完熟させているので臭いも殆どありませんし、堆肥の成分も役所へ届けてあるものなので安心して使用しています。完熟堆肥を畑へ入れて最低2週間ぐらいは土に馴染まして、あとはカキ殻や地元のお豆腐屋さんから頂く国産大豆で作られたおから、畑のサイクルで出る野菜の残渣や畑の草などを細かく粉砕して土の中にすき込みます。

ーーお豆腐屋さんのおからも使われているのですね。

知野:地元のお豆腐屋さんで有機農業を応援してくれる方がいらっしゃっておからを分けてもらってます。畑では、微生物の餌として非常に貴重な役割りを果たしてくれます。なので、イメージとしては、野菜にやっているという感覚よりは、土に食べさせている感覚ですね

ーーおふたりの目指されている農業や営農について教えて頂けますか?

横野:有機農業でもしっかりと持続的にやっていけることを示せるような「元会社員農家」になりたいと思っています。農産物の供給はもちろんですが、私たちは会社員や定年された方で有機農業をやりたいと考えている人を応援したいと思っています。実際、都市部の人から営農相談をうける事がありますが、今後、個人農家がどんどん増えていけばいいなと思っています。

 農村部(地方)の人が都市部の人へ見える関係で農産物を供給することから始まって・・・

更に都市部と農村がそれぞれ人材も物も経済的にも補完し合って行く。海外の例ですけど、都市部の人が週末などに自分が野菜を買っている農家さんを手伝いにいったりするんですよ。自分も農家さんを手伝うことで、都会から離れてリフレッシュしたり畑に実際に行くことで、作物の安全確認もできます。

ーーそういう形が日本でも増えて来ると面白いと思います。

知野:そうですね。この富士山の恵みファームも、自分達だけのものではなくて、ウチの野菜を買ってくれるお客さんがサポーターのような形で一緒にやってくれているように思っていて、消費者と生産者が繋がれるような、そんな貴重な場になっていけば様々な方にお役に立てるのではないかと考えています。