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自然農園「もと屋」

主要品種の栽培スケジュール

1月2月 3月4月 5月6月 7月8月 9月10月 11月12月
コシヒカリ
紫黒もち米

Farmer Profile

元屋 和則
(もとや かずのり)

元屋 和則

石川県生まれ。大学を卒業後、東京にある大手環境器機メーカーへ就職。農業、特に自然農法に興味を持ち、自然農法センターや安曇野自然農塾で学びながら、地元石川県羽咋郡で新規就農。奥さんと共に農薬も肥料にも頼らないお米や果樹栽培を行う。息子さんと娘さんの4人家族。

自然と向き合い、自然を活かす職人農家

 石川県羽咋郡の豊かな自然に囲まれた山の中で、農薬も肥料にも一切使用しない自然農法による米づくりに励む元屋さんご夫妻。自然が本来もつ力を最大限に引き出し、効率だけではない、農業の魅力を追求する営農スタイルでこだわりのお米づくりを行われています。とても気さくで親切で元屋ご夫妻に、営農、さらには自然栽培にかける想いを伺ってきました。

上村 聖季

担当:上村

ーー新規就農される以前はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?

和則:自分はもともとこの辺りの出身なのですが、大学卒業後、東京にあるポンプや水処理など環境器機を手掛けている大手メーカーで働いていました。

ーー農業とはまたかなり異なるお仕事ですね。メーカーでのお仕事から新規就農をしようと考えたきっかけは何だったのでしょう?

和則:当時、環境問題に関心があり同社へ入社し、省エネルギー装置や省エネ型発電装置などの設計等に従事していたのですが、最後に配属されたのが石油化学に関連する部門でした。石油化学の事業では、原油ありきの仕事なので・・・

全然省エネではないなという違和感を感じていました。

 当時、9.11(米国同時多発テロ)が起きたのですが、事件の背景や詳細を自分で調べて行ったときに、テロ組織がニューヨークのど真ん中でただテロ行為を行ったという単純なものではなく、様々な利権の話が複雑に絡み合ってああいった事件が起きたことを知ったんですよ。

ーーまさに石油にからむ利権ですね。

和則:そうなんですよ。そうした中で、自分の会社を考えたときに、やはり大手企業なので、色々と海外で石油の利権を持つような外国企業もいくつかあって。そうした企業が良いのか悪いのかは分からないんですけど、それから何となく自分の中で引っかかってしまって。

 自分の性格上、どうせ生きるなら一切の利権に絡まない、そんな生き方がしたいと思い、会社を辞めて地元の石川に帰り就農しました。

ーー現在やられている田んぼはどのように見つけられたのでしょうか?

和則:今耕している田んぼは、一応先祖代々の田んぼなんですよ。

ーーご実家が元々農家さんだったんですね。

和則:おじいちゃんの代まで田んぼやっていて。親父は農業を継がなかったので、その間の空白期間が10年くらいあるんですよ。なので、元々あった農業機械なども全部売り払ってしまっていたので、農地はあったんですが、その他はすべて結局新規就農みたいな形で農業を始めました。

ーー小さい頃からおじいさんの姿をみながら、農業をやりたいと考えたりされていたのでしょうか?

和則:小さい頃は考えていなかったですね。農作業を手伝うより、田んぼの脇の水路で水生昆虫を捕まえて遊ぶ少年でした。やっぱり田舎にいるとね、東京に対する憧れみたいなものはあって、田舎にいると分からないことってあるんですよね。

 でも東京で生活してみて10年くらい経つとやっぱりね、仕事も含めて色んなものが見えてくるんだよね。特に自分の関心があった環境問題なんかについては、一企業が環境、環境って言ったところで結局社会全体が変わらないと中々難しい。

 例えば、省エネとなるすごく良い装置を会社が開発して販売しても、社会の意識や仕組みがついてきてないから中々売れないみたいな、そういうジレンマもあったりして。そういう風に色々自分の中で考えている中で、たまたま食べものもすごく大事だねってことに気づき始めて。

ーーそのことに気がついたきっかけのようなものがあったのでしょうか?

和則:特に大きなことはないんですけどね。たまたま色んな本を読んだりしていたときに、食品の問題とか結構深刻な問題がたくさんあることを知って。「ダメやんこれ」みたいなね(笑)。

 そこからまず自分がそういう無添加や有機食材を食べるようになって、それから農業の勉強をするようになって、有機栽培の中にも色んな栽培方法があるんやとどんどん農業に興味を持っていったんですよ。

ーー環境問題に関心があったというのはいつからなのでしょうか?

和則:大学の頃からぼんやりとですけど、環境問題に貢献できるような仕事がしたいなとは思っていて。当時は農業というよりは、省エネとか新エネルギーとかのことを考えてたのですが。

 実際に、農業をやってみて、一番利権に絡まない仕事で、最高な仕事やんこれみたいな(笑)

ーー何となく農業も利権はすごそうですが・・・(笑)

和則:農協とかに絡んじゃうとそういう風になるのかもしれないけど、自然農法はまず資材(農薬や肥料)に頼らないので。

ーー有機農業の中でも自然農法(栽培)を選ばれたのはなぜなのでしょうか?

和則:元々自然農法という言葉は知っていて、就農する前に自然農法センターという研修施設に入って無肥料で栽培する農業を学んでいたので、それを引き継いでいる形ですね。

 自然農法の魅力っていうのは、やっぱり資材が必要ないってところだと思うんですよ。そもそも、これだけ自然豊かな日本で、なんで肥料使わないと出来ないのかっていう。畑や田んぼも草が生えて、生えてもう困るくらいなわけだし(笑)

 自然は自ずから豊かになる方向性を持っていて、土と太陽と水。そうした自然の力を上手く引き出すことができれば・・・

本来、この無限にあるエネルギーで人は豊かに暮らしていけるはずなんですよ。そのことを忘れて、どこからか資材(農薬や肥料)を買って来て、それを前提で農業するっていうのは個人的にはいかがなものかなって思ったりするんですよ。自然や資源を搾取し、この世代だけで地球を食いつくしてしまうようなやり方はいつまでも続きませんし、また未来の世代に顔向けできないです。

 特にこんな山奥でやっているとやっぱり強く感じるんよね。なんでこんな自然豊かなところで、どこで作られたかわからないような(おそらく海外で作られたものがほとんどなんだけど)肥料や、防腐剤や抗生物質などをたくさん使って海外から持ち込まれた飼料で育てられた家畜の糞(堆肥)を使わなければいけないのかなって。

 やっぱり食べる側の健康面でも、環境面でも自然農法が自分はベストだと思うんですけど、一方で、栽培にも技術が必要で簡単ではない分、経営的にどれがベストなのかというのは、それぞれの生産者の判断に委ねられるんだと思います。

ーーもと屋さんでは、お米だけでなく、りんごや梨の自然農法にも取り組んでおられるという話を伺いました。

和則:やっていますよ。ただ、りんごの自然農法は本当に難しいね。特に、家のりんご畑も元は田んぼの跡地なんですよ。田んぼの跡地はやっぱりリンゴ栽培には向いていないね。りんごはやっぱり山で栽培しないといけない。

ーー自然農法とかでも、畑や田んぼ、果樹畑を混ぜたりせずに、しっかりと分けた方が良いとかいう考え方もありますよね。

和則:そうですね。田んぼは構造上、水を貯めるような構造になっていて、そういう場所で水はけが大事な作物は栽培しちゃいけない。というか、そこで栽培しよう思ったら土壌を変えるような大工事をしなきゃいけないし。家もそれをやったんだけど、それでもそう簡単には上手くいかないね。

ーー果樹は木を植えてから実が成るまで少なくとも3年とか4年かかるのでやっぱり大変ですよね。

和則:3年目くらいから実はなり出すんだけど、経営的には早くても5年以上はかかるね。特に自然農法の場合は、生育があんまり早くないからもっとかかると思います。僕ももう3年位前にりんごの苗植えたけれど、まだまだ全然で、今年10個くらいしか花が咲いてないですね。農薬を使わないので、病気にもやられるし、虫にもやられるし、なかなか育たないです。何とか木が大きくなったなぁと思ったら中に虫が入って枯れるみたいな感じで本当に大変です(笑)

ーー無農薬での果実の栽培は本当に大変そうですね。

和則:品目によっても大変さは変わるんですよ。りんごは特に難しいですね。今自分も育てている梨はりんご程ではないのですが、やっぱり難しいです。

ーーりんごと梨の栽培の違いってどこにあるんでしょうか?

和則:やっぱり病気に対する抵抗性ですね。日本の高温多湿な気候には、まだ梨のほうが適応できている気がします。無農薬で育てるとなると経営的には長野あたりが南限になるだろうとやっていて感じます。適地適作ではない状況で栽培して、りんご一玉1,000円くらいとかで売らないとやっていけなかったりでは意味がないと思います・・・

ーーそれでもリンゴ栽培を続けられる理由はなぜでしょうか?

和則:りんご畑については、近所の生産者さんから木を譲り受けたのが始めなんですよ。最初の一年はりんご栽培に関しては自分も全くの素人だったので、当時りんごの栽培を教えてくれる人の言うがままにやっていたのですが、自分の中で、農薬や肥料を少しずつ省くようになっていって、最終的には慣行栽培の3分の1の農(毒)薬で立派なリンゴを収穫することが出来た。

 2年目も、自分なりに極力減農薬でやっていて、虫を殺さないためにはこの農薬が良いなとか、そうこうこうしている内に農薬を9割くらい減らしても何とか栽培できたんですね。もちろん、生で売れるようなりんごはほんの少ししか出来なかったのですが、加工したりするとジャムなんかを作れるようになって。難しいというのは分かっているけど、そういう背景で毎年チャレンジをしているような感じですね。今は山の方にも少しずつですが苗を植えています。

ーー実際農業やられてて、元屋さんの考える農業の一番の魅力について教えてください。

和則:極論を言えば、何にもなくても出来るっていうところですね。鎌さえあればできるみたいな。実際にはまだそこまでやれてないけど究極のところはそういう仕事なんですよ、農業って。やっていてすごく自由だと感じるところは農業の大きな魅力なんじゃないかと思っています。

ーーこれまでお話した多くの生産者さんから、農業は決まった休みがない分、時間の融通は利くので、会社員などと比べて家族と過ごす時間などが比較的取れるところが魅力的だという話もよく聞くのですが、そうした点はいかがでしょうか?

由香:うちの場合、自宅と田んぼが少し離れてるので、この人は朝田んぼに行っちゃったら本当に夜までずっと畑仕事してるので。その辺は会社へ行くのとあんまり変わらないかもしれないですね(笑)

和則:たしかにその辺は会社員見たいやね(笑) 朝「いってきまーす」みたいな感じやしね。

由香:私は加工品をメインで作っているのですが、家で作業が出来るというのは本当にありがたいと思っていますね。共働きだったら子どもを学童に預けたりしなきゃいけないし、家で子どもが帰ってくるのを待っててあげることも出来なかったと思うので。それが出来るのは本当にうれしいなって思っていますし、たしかにその点は魅力かなと思います。

 あとは、この人が作ったもので、加工品を作って販売できるっていうことも私としては嬉しいことですね。

ーー現在どれくらいの面積で営農されているのでしょうか?

和則:田んぼの他に、果樹なんかも管理してる面積でいえば1町5反くらいですね。それに加えて、田んぼの斜面だとか草刈の面積を入れたらもっとありますね。多分、田んぼや畑の面積とその他で草刈りをしている面積は同じくらいあると思いますね。

ーー自然農法や有機栽培はやっぱり草との勝負でもありますからね。

和則:体力はいりますね。会社員のときはマラソンやトライアスロンなんかもやっていたので、スタミナだけは自信があったんですけど、それでもまぁキツいですよ。この年齢でこれだけの草刈れる人はそうおらんやろうという自負はありますね(笑)

ーーそこまで大変にも関わらず、自然農法を貫かれるのはなぜなのでしょうか?

和則:やっぱり最終的には食べてもらう人との信頼というか、自分自身にも嘘つきたくないので。自分の性格上、裏で違うことをやりながら、表で良いことを言うっていうのは出来ないんよね。そこの部分に対するこだわりというか、意志は強いですね。

由香:そうだよね。あとは、やっぱり本当に(化学物質過敏症の方とか)こういう自然の力だけで育てたものじゃないと食べられないって言う人がいるので。私達はそんなに量は作れないけど、そういう人たちが求めている期待にはしっかり応えたいなっていう気持ちも大きいですね。

ーー就農されてから一番大変だった時期とかってありますか?

和則:やっぱ一番最初の頃かな。こっち(石川)に来てから10年くらい経つんですけど、最初の5年くらいは農的暮らしを目指して自給自足的にやってたんですよ。まさに、自然農法で有名な福岡正信さん※みたいに。でも正直なところ、その時が一番つらかったかな。

ーー福岡正信さんというと「藁一本の革命」が有名ですが、半分仙人みたいな生活をされていた方ですよね。

和則:そうそう。本当にもう一切の利権とは縁を切るみたいな。エネルギーも全部自分でまかなうんだ、みたいな野望に燃えとったわけやけで、こんな世の中から俺は足を洗って仙人のように暮らすんだみたいな(笑)

ーー由香さんとしては好きにしてという感じだったんでしょうか?(笑)

由香:なんなんでしょうね。この人は一度決めたら何言っても聞かないんですよ、もう本当に(笑)

和則:当時は、とにかくどうやったら色んな利権に絡まないで生活できるかってところが強くあって、農作業も機械を一切使わずに、全て手で苗を植えたり、不耕起※でやっていました。

ーー本当に自給自足の生活だったんですね。

由香:それこそもう本当に大変だったんですよ(笑)

ーーそうした生活から少しずつ考え方を変えられたのはどのような背景があったのでしょうか?

和則:やっぱり子どもが出来たことが大きかったですね。夫婦ふたりならそれでも何とかそのままでもやれたんだろうけど、子どもができるとやっぱりこのままじゃ無理やなって。たまに、子どもを学校に行かせないで、親が自宅で勉強とか教えてって人もいますが、そこまで自分達は割り切れなかったですね。

由香:子どもの人生を親である自分達がはじめから決めてしまうのはどうかなって。子どももやっぱり友達と遊んだりしたいわけですし。

和則:そういうこともあって、ちょっとこのままの生活で行くのは無理かなって感じていたのと、大きな田んぼを1年やってみて、これは全て手作業でやるのはさすがに限界があるなって思って。

ーー逆に、色々と苦労されてやられる中で、やってて良かったなって思われるときはどんなときでしょうか?

和則:やっぱり人とのつながりですね。こういうやり方でやっているからこそ、同じようにこだわっている生産者さんやお客さんと出会えるというか、もうそれに尽きますね。

ーー結局はそこの部分ですよね。私も仕事をしていて、やっぱりやりがいというか、楽しいときは人と関わっているときですね。

ーー環境や生物を大切にしたいという考え方は、元屋さんのどのような経験から来ているのでしょうか?

和則:虫とか生き物はずっと子供の頃から好きでしたね。虫が友達みたいな。俺友達少なかったから(笑)

ーーそんなことはないんじゃないですか(笑)

和則:でも、そういった意味ではね、うちらの世代が子どもやった頃ってまだ、近所に自然もたくさん残っていて、生き物と遊んだり、自然の中で遊ぶことって結構多かったと思うんですよ。そういう所の影響はすごく受けているんじゃないかなと思います。

ーー消費者の方に伝えたいことはありますか?

和則:農業はこうあるべきっていう明確な答えはないので、すごく難しくはあるんですが、一番思うのは、多分、消費者の方は自分や家族の身体のために良いものを食べたいって思われて、自然農法や有機栽培の食材とかを買って頂いたりすると思うんですね。それは当然だと思いますし、そこの部分に気づくことは最初の段階としてすごく大事なことだと思います。

 ただ、その次のステップとして、自分や自分の家族のためだけではなくて、そのことで自然環境や社会が良くなっていくんだっていう・・・

もう一回り大きな部分まで意識して頂けると本当に素晴らしいなって思いますし、うれしいですね。

 これは決して自分達のような農家を支援してほしいということではなくて、本当に純粋にそういう風に広く物事を考えられる人が増えたら環境も社会も良くなっていくんじゃないかって想いがあるので。

ーー仰られていることはすごく良くわかります。私達も、元屋さんのような生産者さん達が持つ他己的な価値観や考え方をこだわりの食材と同じだけ、都市部を中心とした消費者の方へ伝えていきたいという想いがあります。

和則:結局、消費者の方もそうした部分で自分が貢献している、環境や社会に対して良いことをしているという純粋な動機がないと中々続かないように思いますね。

由香:それに加えて、自分の体にも良い訳ですからね。あと何か感動するようなことがあると、そこでもう180度変わったりしますよね。うちなんかは、息子のアレルギーが大きなきっかけでした。食事を根本から見直すことが出来たという意味ではすごく貴重な経験ではありましたね。

ーー人間の体は、自分で口に入れたものでしか作られないですからね。

和則:あとこれは自分が自然農法でやっているのでそんな風に言うんでしょって思われるのを覚悟でいうと、例えば、自然農法と有機栽培の作物で言えば、おそらく消費者の方からすれば無農薬ならどっちでも良いんじゃないって話になると思うんですよ。

 でも物質循環の視点から考えても、やっぱり環境的には自然農法の方が持続的で環境に優しいんじゃないかって思っていて、そうした違いまで理解して頂けると嬉しいですし、僕も消費者さんに分かりやすく伝わるように努力していきたいと思っています。

ーー今後、こういう営農を目指したいというようなものはありますか?

和則:こういうやり方でやっていて、やっぱり夫婦2人で出来る面積にも限りがあるので、大きく拡大とかはそんなに考えていないですね。でも、田んぼはもう少し増やしたいなって思っていて。そうすれば、今は生産量の関係で食べて頂けないような方々にもお届けできるようになるので。

 あとは果物をなんとかしたいですね。野菜やお米と違って、果物は完全な無農薬のものがほとんどないような状況で、自分としては何とかしたいなっていう気持ちがあって、なんと言うかすごくもどかしいんですよ。

ーー果物はやはり栽培が難しいので、有機栽培といっても減農薬のものが多いですね。

和則:減農薬栽培とうたっているところでも、ネオニコチノイドのような毒性の農薬を平気で使っていたりしますからね。ネオニコチノイドなんかは、作物への残留が半年から1年、下手したら2年くらい残ったりするので本当に危険な物質だと思っています。大学などの研究機関でも、ネオニコチノイドの危険性を訴えていたり、欧州などではネオニコチノイドの使用が禁止されています。

 なので、減農薬という農家さんがあっても、そういう農薬の種類を確認しておくことは重要だと思っています。過去にりんごを減農薬で作っていたときに、お客さんの中には「ネオニコ(ネオニコチノイド)を使っていないのはあんたのところくらいなので、あんたのとこで買う」 というようなお客さんも結構いらっしゃいました。

ーー近年、安心・安全な食材に対する声が高まっていますが、消費者さんの方でも少しずつ、農業の現場(産地)で行われていることを理解していく必要はあるのかもしれないですね。

由香:中々、そこの部分の大切さに気づくのって大変なんですよね。実際に自分が身体を壊して初めてわかるみたいな、何かきっかけが必要なので。

ーーそうなんですよね。実際に自分で体験して気づくケースがほとんどかと思います。

和則:ネオニコチノイドの問題じゃないけど、農業の細かい部分を知っていけば、ふつうに考えが変わっていくと思うんですけどね。

ーー先ほど作業中にお話させて頂いた際に、収穫作業についても、大型のコンバインではなくて小さな収穫機械でやるのが醍醐味という風に言われてたんですけど、その部分について詳しく聞かせて頂けますか?

和則:特に深い意味はないんですけど、単純にそういうやり方の方が楽しいなって(笑)

由香:気持ちが良いよね。

和則:コンバインって音がホントにうるさいんですよ。音もそうなんですが、なんか暴力的というか。

由香:山の中で、この田んぼなんかは特になんですが、全部手刈りしたときなんかもすごく気持ちよかった。なんか楽しいなーって思いますよ。なんなんですかね、この気持ちよさって。

ーーそれは絶対ありますよね。私は農業好きだったんで、会社員時代は土日に農家さんのところへ行って、農作業をお手伝いさせてもらってましたが、本当に都会で遊んでも絶対にあり得ない爽快感というか、とてもリフレッシュできたんですよね。

由香:なんか浄化されるみたいなね。

和則:稲刈りっていうのは本当にもう醍醐味だよね。あとは、コンバインで刈るとね、刈りとられた稲はコンバインの中でぐるぐる回って、米粒は良いけど、稲に着いてた生き物たちも一緒に入っちゃって、カマキリなんかも死んじゃうわけですよね。

ーーそこまで考えられているのですね。元屋さんは何歳くらいまで農業を続けるつもりなのでしょうか?

由香:いくつまで出来るかね。

和則:80までやるよ。自分は。

由香:(笑)

和則:でもやっぱり80までやれないと、自然農法をやっていると心身ともに健康なんだっていう、証明にならないじゃない。自分はそうなりたいなって思ってるんですよ。実際、自然農法をやってる人で90歳くらいでもすごく元気な生産者さんがいて。自分もこんな風になりたいなーって思ってるんですよ。

ーー90歳までいかなくても、生産者さんの中には80歳で農業をやってる人とかいらっしゃったりするじゃないですか。都市部とかだと、その年齢で農業の出来る人なんかいないと思いますよ。

由香:そういう意味では、田舎で暮らすっていうことは、自然の中で、やることもたくさんあるし良いことだと思います。

 例えば、あそこにある稲のはざがけの光景って、私達の世代でも見てないんですよね。すでにコンバインが導入された後の時代だったので。私の実家(茨城)のすぐ目の前も田んぼだったけど、もうこんなことやってる生産者さんはいなかったですね。

ーー今は乾燥作業は全て乾燥機で人工的に行いますからね。

由香:それなのになぜかこの光景を見て、懐かしいなぁって私達でも思うんですよね。日本人としてのDNAなんですかね。

ーーあるかもしれないですね。

由香:それをこう伝えていくっていうのが、自分達の使命というか、意義があるのかなと思っていて。まぁほとんどこの人(旦那さん)がやっているんですけど(笑)

和則:うちでも全ての田んぼで天日干しによる自然乾燥をやってる訳じゃないんですけど、やっぱりこっちの方が楽しいっていうか、やりがいがあるんですよ。

ーー短時間でお米を加熱して乾かす乾燥機よりも、時間をかけてお米を乾燥させる天日干しの方が、お米の味も良くなると言いますからね。

和則:その通りなんですよ。味も全然ちがいますよ。

 そもそもなぜkikitori(弊社名)は、このtoriiiという事業を立ち上げようと思ったんですか?

ーー自分達は、既存流通を勉強させてもらったり、産地行かせてもらったりしたときに結構、食の世界ってグレーな所がたくさんあるんだなって感じて。

和則:たくさんあるでしょ(笑)生産の現場にいる自分でもそう思う。有機栽培も有機JAS認証や特別栽培農作物など色々と認証や仕組みはあるけど、結局のところ、本当に信じられるのは、認証制度じゃなくて、やっぱり生産者、すなわち、その人ですよね。

ーーもう本当にその通りだと思います。既存の流通とかを見てると、間に業者や人が入ることによるメリットももちろんあるんですけど、お互いが信頼できる相手を見つけることができて、消費者さんと生産者さんが直接繋がるのが一番良いんじゃないかと思ってるんですよ。ただ、それが事業としてどうなるのかっていうと、分からないですけど。そういう流通がもっと増えていっても良いんじゃないかなっていうのがありますね。

和則:結局その人のモラルだよね。食に関しては、口の中に入れるもんだからね。こればっかりはもう、信頼できる人を見つけるべきだと思っています。認証の制度や消費者さんが生産者を24時間管理することは現実問題むりな話なので。