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佐倉きのこ園

主要品種の栽培スケジュール

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椎茸
その他野菜
しいたけ茶

Farmer Profile

齋藤 勇人
(さいとう はやと)

齋藤 勇人

千葉県佐倉市生まれ。大学卒業後、大手人材会社へ就職。父親の事業を手伝う中で、椎茸の菌床栽培と出会い、その楽しさに魅了され、1994年に佐倉きのこ園を創業。以来、20年以上、無農薬の椎茸づくりを行なう椎茸栽培のベテラン。農園では販売だけでなく、椎茸狩りなども楽しむことができる。奥さんと息子3人の5人家族。趣味は椎茸の試食販売。

椎茸に情熱を注ぐ職人

 椎茸一筋、営農歴20年を越える椎茸職人。小さい頃は椎茸が大嫌いだったという齋藤さん。そんな椎茸嫌いだったご自身でさえも虜にしてしう美味しい菌種を、数百を越える種類の中から厳選し、良質な地下水とこだわりの菌床、防カビ剤や成長剤を一切使用しない無農薬栽培で栽培。一般的な椎茸の概念を打ち壊す、肉厚で甘い椎茸を栽培する齋藤さんにこだわりの椎茸づくりについてお話を伺ってきました。

奥田

担当:奥田

ーー齋藤さんのご実家は代々農家の家系とのことなのですが、昔から農業をやろうと思われていたのでしょうか。

 うちの家系は代々農家の家系で、私が8代目にあたります。ただ、昔は実家の農業を継ぐという選択肢は自分の中にありませんでしたね。私が生まれた頃は、父親もまだ専業農家だったのですが、当時、この辺りも宅地化や工業団地の建設がどんどん進んで、農地の数もその影響でずいぶん減ってしまって、専業農家として生活していくには非常に難しい状況になっていました。

 そうした背景もあり、私が小学校に入る頃には、父親も別の商売始めて、兼業農家として田んぼや畑をするというような状態でした。ですので、仮に田んぼや畑を継いだとしても、週末に米を作るくらいだったら考えられたのかもしれませんが・・・

農業一本で生活していく専業農家になるという選択肢は当時の自分の中にはなかったですね。

ーーそうした中で、齋藤さんが椎茸栽培を始められたきっかけについて教えてください。

 元々、父親が農業と兼業でやっていたのが、コンクリートブロックの製造販売業でした。その会社が今から約25年前くらいから時代的に不況業種になってしまって。会社の社員も減っていって、最終的には父親の仲間だった高齢の従業員の方や、受け入れを頼まれて働いてもらっていた養護学校の卒業生だけになってしまったんです。

 そうした人達の雇用を守るためにも、立ち居かなくなったブロック製造の仕事は廃業にして、違う事業を始めようと計画したのが高齢者向け福祉施設の運営事業でした。当時、私は不動産関係の会社で働いていたのですが、その片手間で福祉施設事業のサポートということで色々とアドバイスもしていました。

 その中で、高齢者にとって適度な運動となるような軽作業ができるものを探していたときに、「菌床栽培」という取組みを知り、非常に魅力を感じました。

 そこで椎茸の栽培作業を試しに皆やってみたら、あまりにも面白過ぎて。栽培だけでなく、直売で販売すると、お客さんが「美味しい、美味しい」って買いに来てくれて。その内、本業だった不動産の仕事よりも夢中になっていって、最終的に不動産の会社は後輩に任せて、自分は本格的に椎茸栽培を専業で始めることにしました。

ーー齋藤さんは元々椎茸が好きだったのでしょうか?

 実のところ、昔は椎茸が大嫌いでした(笑)うちは昔から農家だったので、よく裏庭で椎茸を作っていたんです。春と秋になるとその椎茸を焼く匂いや煮る匂いが家中に充満して、当時は本当に気が狂いそうになるくらい椎茸について拒絶心があったんですよ。

ーー意外な過去ですね!(笑)

 転機は今から約20年程前でした。椎茸の菌床栽培に興味を持ち、各地の椎茸農家や菌床メーカーを訪ね歩いていたところ、椎茸独特の苦味や臭みのない、椎茸嫌いのこの私でも「うまい!!」と食べられる程美味しい椎茸に出会いました。それが、現在このきのこ園で生産をしている「長生き椎茸」です。

ーー椎茸の栽培方法について教えてください。

 佐倉きのこ園では、椎茸の菌床をハウスに搬入してから、大体3週間程、浸水作業といって冷たい水に浸してあげる作業を行います。

 椎茸は80%くらいが水分なのですが、きのこが成長すると菌床に含まれる水分をどんどん吸い上げるため、こまめに菌床の水分補給をする必要があります。うちでは、雨水は一切使わず、全て地下からくみ上げた良質な地下水で菌床を冷やします。冷たい地下水で冷やした菌床を常温に戻すと、その温度差による刺激で新しいきのこのが出てきます。

ーーひとつの菌床からはどれくらいの期間椎茸の収穫が可能なのでしょうか?

 おおよそ3〜4ヶ月くらいですね。浸水作業については3週間に1回程行なうので、一つの菌床につき3~4回ほど浸水作業を繰り返して、トータルで800gくらいの椎茸が収穫出来ます。

ーー椎茸の菌床については、どのように調達されているのでしょうか?

 菌床栽培を行なう上で、椎茸の菌種と菌床は非常に重要なため、うちで栽培している菌床は、昔から馴染みのプロの専門メーカーさんへ生産を委託しています。

 菌床はブナ、ナラ、クヌギの木を粉砕してブレンドし、おがくず状にしてから、栄養分として米ぬかを加えて固めたこだわりの菌床を仕込んでもらっており、できた菌床をうちのハウスへ持ってきて手間暇をかけて丁寧に椎茸栽培を行なっています。こうしたこだわりの菌床と栽培から肉厚で甘みのある美味しい椎茸が育ちます。

ーー菌種や菌床についてはどのように選ばれているのでしょうか?

 菌種ってたくさん種類があって、それぞれ生産者の好みで生産量や味、見た目などを考慮しながら様々な菌種が使われているのですが、うちのように椎茸狩りや直売をやっているようなところは、やっぱり何と言っても味が最も重要なため、味の美味しい菌種を厳選して栽培しています。

ーー現在佐倉きのこ園さんが生産をお願いしている菌床メーカーさんはどのように見つけられたのでしょうか?

 まだきのこ農園を立ち上げる前に、父親の会社が高齢者向けの福祉施設をつくるという話になり、当時、自分の仕事をしながらその手伝いをしていて、利用して頂く高齢者の方々が日々身体を動かせるような、簡単な作業ができる場を作ろうといろいろとリサーチしていたんですよ。

 その中で、椎茸の菌床栽培というものがあることを知ったのですが、訪問させてもらったとある千葉県内の農園の椎茸がとにかくすごく美味しくて感動してしまったんですよ。そこで、その農園の方に、菌床の仕入先のメーカーさんを教えてもらって、そこが新潟にある菌床メーカーだったのですが、当時はそこから菌床を購入していました。

 ただ、残念なことにその菌床メーカーさんが倒産してしまって。すごく美味しい椎茸の菌種だったのですが、その影響で菌床の供給がストップしてしまいました。その後、いくつか他の菌床メーカーさんなども回ったのですが、やはり同じように美味しい椎茸の菌種がなくて。

 そんなときに、倒産した新潟の菌床メーカーさんで生産の責任者をしていた方が、新しく菌床の生産を始めたことを伺って。そこの菌床を使ってみたら昔の美味しかった椎茸と同じくらい美味しいと思える品質の椎茸を栽培する事が出来たんですよ。以来、現在まで長く付き合いをさせて頂いています。

ーー佐倉きのこ園さんの栽培する椎茸のこだわりについて教えてください。

 私達の「長生き椎茸」は、完全無農薬で栽培しています。生育期間を短縮できる成長促進剤なども一切使用せず、自然そのままの生育を大切にしています。

 よく「椎茸栽培は害虫とカビとの戦いである」と言われるのですが、一般の椎茸農家さんのように殺虫剤などの農薬は一切使用しないので、うちでは害虫やカビなどが発生する度に全て手作業で虫等を取り除いています。

 また、椎茸農家で一般的な、防カビ剤なども一切使用せず・・・

地下50mの良質な天然水を使って「長生き椎茸」を栽培しています。

ーー無農薬栽培の椎茸づくりを行なわれているのはなぜでしょうか?

 一番最初に、椎茸づくりについて教えて頂いた椎茸農家さんの栽培方針が、農薬・殺虫剤・添加物を一切使わないというものだったので、それが当たり前だという感じで、自然と自分も同じ方針で栽培を始めました。

 実はきのこって、農作物の中でもすごく特殊なもので、本来、山で生えているものだから有機JASの農薬規定もそもそも定められていないんですよ。普通、野菜や果物などは使って良い農薬と使ってはいけない農薬があるのですが、きのこはそうした規定が定められていません。極端な話をすると、生産者次第で何を使っても良いというのが実状です。

ーーそうだったんですね。となると特にきのこについては、信頼のできる誠実な生産者さんから直接購入することが重要になりますね。

ーー椎茸栽培の面白さ、魅力について教えてください。

 まず、菌種を選定して、品質の良い菌床と美味しい水と空気、そして温度という条件が揃うと、本当に美味しい椎茸が出来るというところですね。

 そうして栽培した椎茸をうちはスーパーや飲食店、学校給食に直接卸しているのですが、例えばスーパーなど試食販売をしたりすると・・・

お客さんが、とても美味しいって言ってくれて、「この椎茸以外は食べられない」と毎日来てくれるお客さんもいるんですよ。

 それがやっぱり一番嬉しいし、楽しい。お客さんに喜んでもらって、自分もやっていてこんなに楽しい仕事があるんだという感じで、気がつけば椎茸の栽培を初めてから20年以上経ちましたね。

ーー逆にこれまでで苦労されたことはどんなことでしょうか?

 一番最初の躓きは、最初に仕入れていた菌床メーカーが倒産したときですね。うちも初めの頃は生産した椎茸を卸業者へ販売するふつうの生産農園だったのですが、徐々に直売を増やしながら、椎茸狩りなどの取組みを始めたらとても反響があって。

 それから、椎茸狩りにも力を入れようと観光農園にするための設備投資を行ないました。そんな矢先に、菌床の仕入れ先だった生産メーカーが潰れてしまって。

 きのこの菌はかなり野生に近い原菌なので、ずっとそれを培養して増やしていくと8〜10年程で菌自体が劣化していくんですよ。そのメーカーはすごく美味しい菌種を作っていたのですが、継続的な菌種の開発が十分に行なえず、最終的に倒産してしまいました。菌種メーカーって、常に新しい菌種を開発していないといけなくて、菌種の開発が止まってしまうと脱落してしまうような厳しい事業なんですよ。

ーー菌床の供給がストップしてしまった期間はどうされたのでしょうか?

 他の菌種や菌床をいろいろ試してはみたのですが、味は良くても十分な生産量が採れなかったかったり、量が採れても味が美味しくないというような感じで、中々上手くいきませんでした。

 そんなときに、先程もお話したように、倒産した菌床メーカーで働いていた人から、別の所に移ってまた菌種を作りだしたのでぜひ使って欲しいと連絡が来ました。試しに使ってみたら、昔のあの美味しかった椎茸と同じ品質と量が採れ、自分でも心から納得のいく椎茸栽培をおこなうことが出来るようになりました。

ーー消費者の方々に伝えたいことは何ですか?

 一般的には知られていないのですが、椎茸ってすごく鮮度が重要な食べ物なんです。うちのしいたけも採りたてのものと一週間経ったものだと味が大きく変わります。一番良いのは、農場に来て、採れたてのものをバーベキューガーデンで焼いて食べてもらうことなんですが、遠方の方はぜひ産直の宅配でうちの椎茸を召し上がって頂きたいですね。

 椎茸に限らず、野菜や果物なども鮮度ってすごく重要なので、そういった体験をすることで・・・

恐らく消費者の方の農産物に対する考え方が変わると思うんです。椎茸ひとつでこれだけ違うんだということが分かると、他の農産物も違うじゃないかって。直売所に直接買いに行ったり、産直の宅配で買ってみるということに繋がると思うんです。

 そんな風に消費者の方々が色々な食材に興味を持って、スーパーのような既存の流通とはまた異なる方法で食材を購入するような行動を起こしてもらえると、皆さんの食がもっと豊かになるんじゃないかと思っています。

ーー椎茸の味の違いについて、具体的に教えてください。

 一言に椎茸といっても、椎茸の菌種は数百種類あって、それぞれ菌種によって苦みや臭み、甘み、香りがそれぞれ違うということを知らない人も多いのではないかと思います。うちのきのこ園では、長い栽培の中で、その中から選び抜いた約5種類を天候や気温に合わせて選択し、栽培しています。

ーー今は野菜などでも、スーパーでは基本的に同じ品種のものしか売っていないので、同じ野菜でも品種による味の違いを消費者の方が意識する機会がなくなってしまいましたからね。

 そうですね。椎茸はもちろんですが、農作物は全て様々な品種が存在するので、その中で自分の好みのものを探していくと良いと思いますし、個人的には、そのプロセスがとても楽しいと思っています。

ーー佐倉きのこ園さんの今後の目標について教えてください。

 うちはまだまだ卸し比率が高いのですが、それを今後はよりお客さんとの距離が近い、直売にシフトしていきたいなと思っています。最終的には生産量の全てを直売出来たら良いなと思っていますが、そう簡単な話でもないので、日々、色々な工夫を重ねることで目標に近づけるように地道に努力していきたいと思います。

ーー息子さんが三人いらっしゃると伺ったのですが、後は継いでもらえそうでしょうか?

 長男が農業大学を出て、今はうちの会社に入ってやってもらっています。あとは、大学2年生の三男が、野菜作りをしたいといって、夏休みにうちの両親のところへ毎日野菜作りの手伝いに行っていますね。これで次男の息子も会社をやってくれるとなれば、毛利家の三本の矢のように農園も安泰かなと思うんですけどね(笑)

ーー自分の子どもたちが農業に興味を持ってくれているのは嬉しいことですね。

 そうですね。やっぱりまずは自分が楽しんでやっている所を見せることは大事だなと思っています。今一緒にやってくれている長男も、大学1年生の頃は土日にずっとうちでバイトしてくれて。そのときから仕事が面白いと言ってくれてましたね。

 農業の仕事の面白さを見せながら、同時にしっかりと事業として成り立たせていくことがこれから若い子たちが農業を継いでいくためには重要になってくるんじゃないかなと思っています。後者については、まだまだ私もがんばらないといけないですが(笑)