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小林牧場

生育スケジュール

1月2月 3月4月 5月6月 7月8月 9月10月 11月12月
甲州ワインビーフ
豚肉

Farmer Profile

小林 英輝
(こばやし ひでき)

小林 英輝

果樹王国山梨で、ワインを搾って残ったブドウ粕を食べて育てる「甲州ワインビーフ」を生産する。標高1,100mの大自然の中で生育された同牧場のワインビーフは、きめ細かく柔らかな肉質を誇る。県内では初となる生産情報公開JASの認定牧場になるなど、食の安全を第一に考えた生産を徹底。生産者でありながら、県内に直売所を3店舗構え、消費者とのコミュニケーションを重視した牛肉の生産を行なう。

美味しさに安全をのせて食卓へ

 山梨県甲斐市の恵まれた自然の中で、食の安全と牛の健康を第一に考えた牧場運営に励む小林牧場さん。牧場だけでなく、地域の活性化を目指す代々の経営方針により、畜産の分野はもちろんのこと、地域の様々な分野で高い評価を誇る生産者さんです。誠実な牧場経営に尽力する小林さん親子に、甲州ワインビーフ、さらには畜産業界のお話などを伺ってきました。

奥田

担当:奥田

ーー甲州ワインビーフについて教えてください。

三代目(英輝):甲州ワインビーフは、平成3年に果樹及びワイン王国である山梨県が立ち上げたブランド牛です。

 甲州ワインビーフの特徴は、ワインを搾って残ったブドウ粕を資料の一部として与えている点です。ブドウの皮や種には良質な繊維がたくさん含まれており、その効果によって香りが高く、きめ細かな柔らかい赤身の牛肉に仕上がります。

ーーブドウ粕とはいえ、山梨県のブドウを飼料として食べているというのは何となく贅沢ですね。

三代目:ブドウ粕の飼料に加えて、ここ甲斐市では・・・

富士山、南アルプス、八ヶ岳といった山々に囲まれており、澄んだ空気と良質な水が質の高い牛肉を生み出す源となっています。

ーー小林牧場さんでは現在何頭の牛を飼われているのでしょうか?

三代目:現在は約5ヘクタールの敷地に14棟の牛舎で、約1,300頭の肉用牛を飼育しています。

ーー小林牧場さんでは美味しい牛肉だけでなく、持続的な畜産業、環境に配慮した牧場の運営を目指した取組みをされているとお伺いしました。

三代目:私達の牧場のこだわりについては、『食の安全を第一に考えて美味しい牛肉の生産をする』という考え方が根底にあります。

 その上で、まず当牧場で行っているのが、生産情報公開JAS※の認証を県内の牧場で初めて取得し、飼育情報の管理及び公表を行っています。

 ※ 消費者の安心と信頼を確保するため、食品の生産情報を生産者が正確に記録・保管・公表し、消費者がその製品を買い求める際にその生産情報を確認できる食品の基準です。

 飼料については、ワインを搾って残ったブドウ粕はもちろんですが、その他、トウモロコシやオカラ、麦など、牛も人も安心出来る飼料を与えています。

 また、牧場内で除草剤等の農薬等は使用しておらず、飼料以外の部分でも安全性を確保しています。雑草の処理については、牧場ないで飼っている羊と人力で対応しています。

ーーいずれの取組みも一般の牧場が嫌厭するような労力と費用がかかる取組みばかりで、小林牧場さんの安全に対する意識の高さが伝わってきます。

三代目:特に、JAS認定を取得している牧場というのは珍しくて、牧場運営に関する厳しい基準が決められていて、毎年JAS認証の審査を受ける必要があります。また、JAS認証を取得すると、JAS法という法律を遵守する必要があり、違反した場合には多額の罰金や最悪、牧場経営が破綻するリスクもあります。

ーーそうしたリスクをあえて取ってでもJAS認証を取得された理由はなぜでしょうか?

三代目:色々と大変ではあるのですが、JAS認証を取得することで、第三者(国)によって認められた客観的で正確な情報を消費者へ提供することができるのはとても大きなことだと認識しています。そういう意味でも、消費者の方に安心して食べて頂ける牛肉だと自信を持っていうことができます。

ーー飼料に関する詳細な情報や牛の飼育方法などは常に確認が可能なのでしょうか?

三代目:飼料情報と生産情報については弊社のウェブサイトで全て公開しています。生産情報については、お客様がご購入頂いた商品パッケージについている個体識別番号から、生産履歴情報のトレースが可能となっています(生産履歴情報→http://www.winebeef.co.jp/winebeef/seisan.html)

ーーすごい仕組みですね!そうした小林牧場さんのこだわりの牧場運営と質の高い牛肉の生産によって、過去に様々な賞を受賞されたと伺いました。

三代目:大きな賞としては、第36回の日本農業賞において、個別経営の部で全国で三人しか選ばれない大賞を頂きました。また、第46回の農林水産祭式典畜産部門においては、内閣総理大臣賞を受賞しました。

ーー健康な牛を育てるための、小林牧場こだわりについて教えてください?

二代目:いくつかあるのですが、うちの牧場がこだわっていて、他のところと決定に違うのはまず水ですね。牧場で使用する水は水道水ではなく、すべて山の良質な湧き水を使っています。

ーー東京に住む私達よりも質の高い水を飲んでいるということですね(笑)

二代目:東京の水よりも絶対良いと思います(笑)

 今、日本の和牛を海外で生産しようと、日本から遺伝子持ち出してオーストラリアで和牛の畜産なんかが行なわれていますが、日本の和牛と同じエサを与えて育てても・・・

やはり日本の和牛のように美味しく育たないんですよ。

 これには牛が飲む水が関係していると言われていて、山々から湧き出る良質な水というのは日本特有のものなんですよ。日本国内でもそれぞれの地域で水質というのは異なっていて、微妙な差なのですが、美味しい牛肉ができる水質というのはあるんですよ。

 そういう違いがあるので、国内の牛の産地でも、繁殖に適した産地やお肉を作るのに適した産地があったりします。そうした理由で、私達が作っている小林牧場の甲州ワインビーフの味を決める大きな要因の一つが水だと思ってます。

ーー生命の根幹を支えるものなだけに、その影響は絶対に大きいですね。

二代目:あとはこの周囲の環境。(牧場が)甲州の山奥にあるので、ここの澄んだ空気と、周囲に住宅とか無いので、騒音など牛にストレスを与える要因もありません。

 また、牛は寒さには比較的強いのですが、暑さには弱く、気温が30℃を超えてくると辛くなってくるのですが、ここは標高1,100mの位置にあるので、一番暑いときでも30℃程度です。

 空気、水、気温、環境、どれをとっても牛が育つ環境としては最高の場所だと思っています。

ーー牛を飼われる上で大変なのはどのようなことでしょうか?

二代目:やはり牛も生き物なので、人間と同じように風邪も引きますし、病気にもなります。そうした意味で、牛の体調を日々しっかりと管理してあげるということは大変なことではあります。当たり前ですが、牛たちが自分から「具合わるいです」なんて言ってはくれないので、重要なことは、牛が病気になったときに私達がそれをしっかりと察知できるかどうかですね。

ーーなるほど。牧場の皆さんは日々牛たちの様子を細かく観察されている訳ですね。

二代目:そうですね。牧場の仕事は、朝一番のエサの給仕から始まるのですが、エサを給餌する前に、牛たちの顔をみて、調子の悪そうな牛がいたらチェックをしておき、後でその牛を獣医に診てもらいます。

ーー調子の悪い牛というのはどのように見分けられるものなんでしょうか?

二代目:毎日見ていると、この牛は今熱があるなとか、大体、顔を見れば分かるようになります。あとは、耳がいつもよりちょっと下がっているだとか、エサをちょっと残していたりと細かい観察は怠りません。

ーー牛の健康維持にかける小林牧場さんのこだわりが伝わってきますね。

二代目:自分達の牧場で飼っている牛なので、出来るだけ健康に育ってほしいというのと、人間と同じで病気にかかると、病気を治すために色々な薬も使わなければなりません。お肉を食べて頂く消費者のことを考えた場合、そうした薬に頼らずに育てた安全な牛肉をつくるためには、まずは牛たちを健康に育てるということが、一番大切なことだと思っています。

ーー小林牧場さんは、環境に配慮した循環型農業に古くから取り組まれてきたと伺いました。

三代目:今でこそ循環型農業という言葉が一般的になりましたが、私達の牧場でそうした取組みを始めた頃は、循環型農業を実践しているところは殆どありませんでした。

 私達が昔から実践している循環農業は、主に県内のワインメーカーさんから大量に出るブドウの搾り粕やおから等の産業廃棄物を飼料化します。それを牛の餌として供給し、牛の排せつする糞尿を堆肥センターで有機質堆肥へ資源化します。それを県内で果物や野菜を生産している生産者へ供給しています。

 上記の仕組みの中には、ぶどうの生産者、ワインメーカー、そして牧場と・・・

堆肥センターがあり、この一連の流れを循環型農業と呼び、地域の資源を少しもムダにすることなく、持続的な農業のサイクルを実現することができます。

ーー畜産ということでそうした取組みを行うことは、小林牧場さんにとってもある種のリスクの大きな取組みだったと思うのですが、それでも新しい取組みを推進されていった理由は何だったのでしょうか?

三代目:やはり第一に、畜産を含めた農業は、地域と環境の両方で成り立っています。地域の事業者が一体となって、環境の保全に取り組むことの重要性を父の代から大切にしています。

 また、リスクを恐れずに新しいことにチャレンジしていく気風は父親の代からずっと変わっていないような気がしています。甲州ワインビーフは組合が存在しており、いくつかの畜産農家が生産を行っていたのですが、小林牧場は、同じワインビーフの生産者の中でも常にナンバーワンの存在でありたいと思ってきました。

 そうしたことが、はるか昔から、循環型農業という取組みにチャレンジをした要因なのではないかと思っています。

ーー小林牧場の歴史について教えてください。

三代目:私の祖父が他県からここ山梨に移り住んできて、酪農を始めたのが一番最初ですね。その後、私の父が代表をしていたときに、乳牛から肉牛にシフトしていって現在の牧場に至ります。

ーー酪農から肉牛へ帰られた理由はなぜだったのでしょうか?

二代目:昭和の終わりから平成にかけて少しずつ肉牛に変えていったのですが、肉牛に変えた理由は、一つに家族経営による畜産の限界を感じていたことがあります。

 現在も含め、畜産というのは家族経営のところが多いのですが、一番の問題は家畜がいると365日一日たりとも家を空けることができないことです。毎日家族の誰かが・・・

世話をしなければならないので、もちろん家族で出かけるとということもなければ、お休みもほとんどありません。

 そうしたやり方を根本的に変える必要があると考えていたのですが、そのためには、やはり牧場の規模大きくして、家族経営から脱却する必要があったんですね。

 一方で、昭和から平成にかけて、乳牛の生産調整などもあり、酪農だけで規模を大きくするには難しかった時代背景もあり、 少しずつ肉牛にも取り組み出したのがきっかけです。

ーー仕事環境の改善が持続的な畜産業の発展に必要だと考えたってことですね。

二代目:そうですね。特に、休日の確保や労働時間など、若い人が働きやすい環境を作ってあげることが重要だと思います。その辺がしっかりと整ったら、一次産業をやってみたいって興味を持ってくれる若い人達は結構いたりするんですよ。

 牧場で働く人達が活き活きと働けるような職場を作ることを意識しているので、今では大学を卒業してからずっと働いてくれている社員がいるなど、離職率も非常に低くなっています。

ーー酪農から肉牛にシフトされていく際に、牧場を始めたおじいさんから反対の声などはなかったのでしょうか?

二代目:その頃はすでに牧場の経営を父から全て任せてもらっていたので、反対されることはなかったですね。その部分は今の自分にもあって、今は息子に経営のバトンを渡したので、今度は若い判断でやっていってもらおうと思っています。

ーー小林さんは小さい頃から牧場を継ぐことが決まっていたのでしょうか?

三代目:生まれたときから決められてたんでしょうね(笑)兄弟も男は自分ひとりだけなので。そのことが良かったのかわるかったのかは別として、少なくとも今はそういう時代ではないのかなと思っています。

 僕も息子がいるんですけど、うちの息子に牧場を継いでもらおうとかは全く思っていないですね。もちろん、やりたいんだったらやっても良いしという感じで考えています。

ーー畜産業界も他の農業と同じように、後継者不足の問題は深刻なのでしょうか?

三代目:畜産業というのは経営も難しくて、今はどこも跡継ぎが中々いないんですよ。畜産業は30、40年も前はしっかりと利益もあがる産業で、酪農や肉業に携わる人達のモチベーションも高くて、皆プライドをもって畜産をやっていました。

 ところが、輸入牛肉の自由化だったり、政府の政策の影響で、国内の畜産業はどんどん衰退していって、今では3Kの仕事でありながら、利益がほとんど出ないような厳しい状況となっています。

ーー新規事業者などは参入してこないのでしょうか?

三代目:畜産業が他の農業と異なる点は、大きな初期投資がかかるという点なんですよ。最近、大手の小売企業や飲食チェーンが農業の分野に進出して、自社で野菜などを作ったりしていますが、畜産業にはまだどこも入ってきていません。

 というのは、牛舎を建てて、子牛を購入するための金額は大きな額となりますし、牛が育つまでの期間が3、4年とすごく長いんですよ。育てた牛を出荷して初めてお金になるので、それまでの期間の建設費や人件費、牛の購入費を全て自分達で賄わなければなりません。

ーー畑や田んぼがあればすぐに始められる農業とは事情が異なるということですね。

三代目:はい。そうした事情もあり、中々、新しく大規模に畜産を始める事業者が出てきていません。最近、TPPの動きもあり、環境が今後大幅に改善される見通しは見えていません。

ーー業界内の事業者が減る分、競争も少なくなるのではないでしょうか?

三代目:競争が減るという側面もありますが、それ以上に国内のマーケット規模が昔と比べてどんどん縮小しているので、そちらの影響の方が大きいというのが現状です。

 もちろん、畜産に力を入れている九州や東北の方の県なんかでは、県内で資金を持っている事業者が他の畜産業者を吸収して大きくなっているところもあるんですが、関東ではそうした動きはあまり起きていません。いずれの場合も、数百頭規模で経営している小規模の畜産業者さんはどんどん廃業していますね。

 あとは高齢化も進んでいて、山梨でいうと甲州牛という和牛のブランドがあるんですけど、事業者さんの平均年齢が70歳以上になっていて、このままいくと事業者が激減すると懸念されているのですが、跡継ぎがおらず、厳しい状況となっています。

ーーこれまでで一番大変だったことについて教えてください。

三代目:狂牛病(BSE)の問題が置きたときも大変だったのですが、やっぱり一番は東北大震災による原発事故ですね。

 BSEの問題については、牛肉価格と消費量が急落して大変ではあったのですが、生産者も努力してましたし、あれだけ牛肉の価格が急落すると国の方もトレーサビリティシステムなど消費者の信用を回復するために色々と対策を講じた結果、ある程度の期間で価格や消費も回復しました。

 ところが、震災、というよりも原発の問題は本当に何ともしがたかったですね。ここ最近やっと風評被害も落ち着いてきて、牛肉の相場も以前の水準にもどってきましたが・・・

長い間、風評被害という生産者としては如何ともしがたい状態が続いたときは非常に苦労しました。

 牧場の経営という意味でいうと、神奈川県や静岡県などの県については東京電力から金銭的に補償が行なわれたのですが、山梨ってどちらかというと、関東というよりは信越地域に近いからか、補償の対象にならなかったんですよ。

 一方で、消費者の感覚としては、山梨は関東という認識もあって、風評被害で関東の他県同様、山梨産の牛肉の価格も急落してしまったんですよ。他県の生産者は保償金をもらっているので、価格が急落しても実際のところはそれほどダメージはなかったのですが、補償金はもらえず、風評被害だけを受けた山梨の生産者は当時、本当に苦しみましたね。

ーー風評被害は、具体的な問題や客観的な危険性が要因ではなく、どちらかというと消費者の間でのイメージの問題のため、生産者さんにとっては非常に厄介な問題ですね。

ーー小林牧場さんでは牛肉の生産だけでなく、自社で直接販売を行なっていると伺いました。

三代目:現在、県内にお店を3店舗構えて、自分達の牧場で育てた甲州ワインビーフをお客さんへ直売しています。

ーー直売所を作られた理由について教えてください。

三代目:覚えてらっしゃるかもしれませんが、直売所をつくった当時は、食肉の偽装問題が大きく取ざたされたときで、そうした偽装問題に流通業者が深く関わっていたんですよね。

 甲州ワインビーフという質の高いお肉を、自分達がせっかく一生懸命ブランド化して生産しても、お客さんのもとへ届くまでに第三者による不正でブランドが傷つけられたら、自分達の努力も全然意味がなくなってしまうという強い問題意識を持ちました。

 そうした問題意識から、生産を行なっている自分達が直接お客さんと接して販売する小売販売に取り組み出したのがきっかけです。

ーー私達も既存の食流通に携わることも多いのですが、流通業者の質は本当にピンキリで、可能な限り、生産者と消費者が相互の信頼関係のもとで直接食材の売買を行なうことが望ましいように思っています。

三代目:その通りだと思います。ただ、直売店を作った当初は全然売れなくて苦労しました。なぜかというと、小売店の経営だったり、戦略っていうのは牧場を経営するのとはまた別のもので、当時、小売りをするノウハウを自分達は全然持っていなかったですし、精肉店の運営も実は複雑で難しいんですよ。

ーー小売の取組みについては、小林さん(息子さん)が担当していたのでしょうか?

三代目:すべて僕がやっていました。初めは本当に全然売れなかったので、自分の無力さが恨めしいっていうか、この2年間は自分の中でほんとうに地獄のような期間で、その間は、心の底から笑うことが一切無かったですね(笑)

ーー非常に重い言葉ですね・・・

三代目:やっぱりそのときに初めて経営っていうものを自分でやってみて、利益がまったくでないので赤字になる。でも社員もいて、自分の給料が出せないというような状況で、今振り返ると経営者として一皮むけた経験だったのかもしれません。

ーーそうした大変な苦労を乗り越えて、現在3店舗のお店を構えられているのですね。

三代目:地道に、そして誠実にやり続けていると、少しずつ地元のお客さんもついてきてくれて。今ではたくさんのお客さんに支持されるようになって3店舗までお店を増やすことができています。

 自分達のブランドをしっかりと守るためにも、そしてお客さんの生の声を自分達で直接聞きながらより質の高い牛肉の生産を行なうためにも、これらの直売所は、小林牧場になくてはならない存在となっています。

ーー消費者の方に伝えたいことはありますか?

三代目:今は海外からたくさんの牛肉が入ってきていて、そうした輸入品全てではないのですが、海外の牛の飼育についてはホルモン剤や抗生物質などの問題もあるので、そのようにして育てられた牛肉の危険性というのは大きいように思っています。

 私は息子がいるのですが、特にこれからの時代を作っていく子ども達には、ちゃんとしたまともな食べ物を食べて育ってほしいという想いがあります。

 あとは、食の安全性という観点からいうと、牛乳をつくる国内の酪農農家の数が今すごい勢いで減っているんですよ。そのほとんどが家族経営のところばかりで・・・

中々規模を大きくして法人化しづらいんです。

 なぜかというと、牛乳の価格って昔からほとんど変わっていないんですよ。生産コストはどんどん上がっていく中で、牛乳の価格は買い手がすべて決めてしまうので、酪農農家は中々価格を上げることができない。その結果、酪農をする生産者がどんどんいなくなっている。

 するとどうなるかというと、例えば、バター。昨年、一昨年と国内のバターが足りないと大きな騒ぎになって政府が海外からの輸入を拡大して対応しましたが、これが例えば、赤ちゃんを育てるミルクが、乳牛を育てる生産者がいなくなって、国産のものがなくなったらどうでしょうか。

 価格の安い輸入品のミルク(粉乳)で自分の子どもたちを育てられますか、という話になると思うんですよね。私はそうなったらすごく哀しいですね。

ーー中国から日本に来る旅行者がまず購入するのが、粉ミルクなどのベビーフード関係だと聞いたことがあります。中国の方でさえも、自国の商品を皆信用していないみたいで・・・。

三代目:そうした将来が来てもおかしくないような状況に、まさに今日本は向かっているんですよ。すでに修正が効かないところまできているので、何とか現状を維持することで精一杯な状況となっています。

ーーそうした部分では、ある程度消費者さんの理解も必要ですね。ただ、安い物だけを追い求めるとゆくゆくは自分達の首を自分で締めるようになるというか。

三代目:食という分野ついては、生産者の努力と消費者さんの理解が必要不可欠だと思っています。

ーー今後、小林牧場さんが新たに取り組んでいきたいことについて教えてください。

三代目:今小林牧場として取り組んでることがあって、お米を飼料の一部として使っていけるようにしたいと思っています。お米を飼料として使おうとしているのにはいくつか理由があるのですが、一番に国内の飼料原料の割合を高めていきたいという思いがあります。

 現状、牛肉の飼料のほとんどが海外からの輸入品なんですよ。一部国産の原料もあるのですが基本的には大部分が海外に頼っている状況です。そんな中で、国産飼料の自給率を上げることは、牛肉を安定供給するためにも、また、海外の飼料原料のマーケットに左右されない強い畜産業をつくる上でも、日本という国にとっても非常に重要なことだと考えています。

 お米の飼料化を行いたい別の理由としては、国内のお米農家さんを盛り上げたいという想いもあります。お米の産業も畜産業と同じく、今どんどん衰退していってるんですよ。

ーー一昔前と比べても、お米の価格は半分以下になっていますからね。

三代目:お米農家さんとして安定的に安定した利益をあげていくには厳しい時代になってきました。あとは、日本人の食文化の変化という大きな流れもあって、お米の消費量もどんどん減ってきています。今後、海外からの安いお米の流入の問題もあるので、お米農家さんにとっては今後も厳しい状況が続くような気がしています。

ーー今は政府も飼料米の生育をサポートしていますね。

三代目:はい。この山梨を含めて、飼料米を作る田んぼなどに補助金を出すといった取り組みが行われています。ただ、飼料米を作ったところで、それを使ってくれるところがないとダメで、足下、その部分が課題となっているような状況です。

ーー畜産農家さんたちが飼料米の使用を躊躇される理由は何でしょうか?

三代目:実は飼料米は牛にとってリスクのある飼料なんです。お米はそのまま飼料として牛に与えると、牛が消化不良を起してしまうんです。そのため、牛に飼料用米を与える場合、消化性を向上させるために破砕などの加工処理が必要になります。

 また、一時期、トウモロコシの価格が高騰した際に、飼料米も少し騒がれたことがあったのですが、正直なところ、飼料米を使用する経済的なメリットっていうのは今は実際もう殆どないんですよね。

 そのため、今年から私達も飼料米を積極的に使い始めてはいるのですが、すぐに大量の飼料米を使うということが中々難しくて。少しずつ量を多くしていって、将来的には全飼料の4分の1ほどを飼料米に変えていきたいですね。

ーー現在、飼料米のお米はどこの産地のものを使用されているのでしょうか?

三代目:今は他県から飼料米を取り寄せているのですが、ゆくゆくは山梨のお米農家さんが作った飼料米を使っていきたいと思っています。それによって、山梨県の宣伝だったり、県内のお米農家さんが生き残っていくための手助けになれば良いなと思っています。

ーー牧場だけでなく、地域全体を盛り上げていくという考え方ですね!

三代目:僕は自分の会社だけの利益だけじゃなくて、地域貢献をしながら会社をやっていきたいという想いがあって、まずはそれを地元である山梨からやっていこうということで取り組んでるところですね。