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Orchard Yamashita

Orchard Yamashitaのイチオシキウイフルーツ

無肥料・無農薬の自然栽培キウイフルーツです。

リンゴのようにまん丸な形のイエロー系キウイや、グリーン系(ヘイワード)を中心として、その時に旬となる他品種のキウイフルーツがあります。

主要品目の栽培スケジュール

1月2月 3月4月 5月6月 7月8月 9月10月 11月12月
アップルキウイ
ハッピーキウイ
ヘイワード

Farmer Profile

山下 貴史・陽子

山下 貴史・陽子

埼玉県飯能市生まれ。中学校の教師となるも、代々受け継がれてきた実家の畑を守るため、30歳の節目に新規就農。父の代から続くぶどうや梨の栽培を行いながらも、2013年から農薬や肥料を使わない自然栽培によるキウイフルーツの栽培をスタート。奥さんと共に、あくまでも味にこだわったこだわりのキウイづくりに挑戦している。

農業の高みを目指して

 「農業を時代の最先端にしたい!」。真剣な眼差しでそう語る果樹農家の山下さん。理念はもちろんのこと、実際に若者や女性などが憧れる農業を目指して、自然栽培によるこだわりのキウイフルーツづくりをご夫婦でストイックに行なわれています。そんなおふたりの農業にかける熱い想いについて、お話を伺ってきました。

高島 勇志

担当:高島

ーー山下さんがご実家の果樹園を継ごうと思われた理由は何ですか?

貴史:元々うちの家は祖父が野菜を栽培していて、それを父が途中で果樹に切り替えました。以来、果樹農家として30年以上、梨やぶどうの栽培を中心に行なっているのですが、その長い年月の中で、お客さんに喜んでもらえるような、そんな質の高い果樹園をずっとつくり続けてきたことは、昔から僕自身も理解していました。

 最近、農業の世界でも後継者不足が叫ばれていますが・・・

そんな高い品質の果実をつくる技術や知名度もあるうちの果樹園を、僕が継ぐと言わなければ、いつか無くなってしまうと考えたときに、それはすごくもったいないことだなと思ったんですよ。

ーー特に農業の中でも果樹なんかは長い年月の積み重ねが大切なので、尚更、歴史のある果樹農家さんは貴重ですよね。

貴史:父親も僕に継いでほしいという雰囲気は昔から醸し出していたので、小さい頃から自分の中でもいつかはやるんだろうなと思ってはいましたね。

ーー農家になられる前はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?

貴史:中学校の教師をやっていました。当時、3年生を卒業させて、ずっといた学校も転勤になるかならないかというくらいの年で、年齢的にもちょうどいい区切りであったので、農家に転向するなら今が一番よい節目かなと思ったのが、就農を最終的に決めたきっかけではありますね。

ーー先生のお仕事を辞められる上で心残りなどはありましたか?

貴史:先生の仕事を離れることはもったいないと言われたりもしましたが、自分にとっては美味しい果実ができて、たくさんの人に喜んでもらえるうちの畑が草むらになってしまう方がもったいない、という想いが強かったです。

ーー現在キウイフルーツをつくられているこの圃場は何年目になりますか?

貴史:無農薬・無肥料の自然栽培に切り替えてからは3年目になりますね。この圃場自体は、元々は別の方がやっていたのですが、管理が大変になってきたみたいで、私たちのところに声を掛けてもらったことがきっかけです。

 他の畑はまだ父がメインでやっているので、父の方針ややり方でぶどうや梨の栽培を行なっているのですが、この畑は自分達の管理の元に自由に栽培ができるため、自然栽培という肥料も農薬も使わない新しい栽培方法で、大切にキウイフルーツを栽培しています。

ーー自然栽培に興味を持たれたきっかけは何ですか?

貴史:先ほども言いましたが、このキウイ畑はそれまでの栽培面積に追加する形で借りたものなので、植えてある品種も樹の仕立て方も、うちの方式は大きく異なっていました。

 そこで、どうせならこの園ではこれまでとは違った栽培方法をしてみようと思い、以前から興味があった自然栽培に取り組み始めました。肥料や農薬を使わなくてもよくなるなら、これからの時代に求められるより質の高い果物が作れると考えたからです。

陽子:近所にもそのような農業をやっている方が何人かいらっしゃるので、そういう方との繋がりの影響もありますね。

貴史:肥料も農薬も使わないとまともなものができないと言われたりもしますが、仕立て方次第で樹を元気にすることができ、薬などの化学資材に頼らなくても、病気に負けずにしっかりとした果実ができる、という手法なども随分確立されてきています。これなら自然栽培の方向でやってみても充分いけそうだ、という確信を得たのが取組みを始める大きなきっかけとなりました。

 しっかりとした味の良いものが出来て、食べる人の健康にも、環境にもとっても良いものができればそれに越したことはないんじゃないかなという気持ちです。

陽子:自然栽培でもしっかりと適切な管理をしてあげることで、"味にこだわって勝負していきたい"と思っていますね。

ーー一般的な栽培(慣行栽培)と自然栽培における木の仕立て方(剪定)の違いはどのような所なのでしょうか?

貴史:慣行栽培では、果樹などは枝が伸びすぎると葉っぱ同士が重なって光合成の妨げになるので、適度なところで枝を切りましょうだとか、葉っぱを広げてまんべんなく太陽の光が当たるように枝を伸ばしていきましょうといった考え方が一般的です。

 例えば梨などのように棚を使って栽培する果樹があります。枝を水平に寝かせて棚に縛りつけることで手入れや管理をしやすくしたり、台風への対策という目的があります。

 ですが普通の樹は上に伸びようとする性質がありますよね。何かの弾みで倒れると、木はまた起き上がろうっていう力が働き常に上に向かおうとする。ですから棚に縛るのは樹の成長には好ましくありません。

 上に伸びる性質の樹は、上に向けてあげれば樹は無駄なところに力を使わずに済み、結果、木が元気に育ちます。

 そうした、理論の1つ1つが「なるほど」と感銘を受けるものばかりで。今まで人間都合で枝が重なるから切ってしまおうという具合でやっていたことは、実は植物の立場からしてみると良くないことをしていたということに気がつきました。

 品種改良により野生から離れてしまった果樹でも、伸びたい方向に枝をスムーズに伸ばしてあげるなど本来が持つ性質に従うようにちょっと手を入れるだけで、肥料や農薬がなくても病気に負けない元気な木が育ちますし、そこにいい実が成るというのが自然栽培の考え方です。

 ただ、こうした考え方や剪定を含めた栽培の仕方は、これまで一般的とされた果樹の栽培方法とは大きく異なるため、取り組むにはそれなりのリスクと周囲からの厳しい目にさらされることも覚悟しなければなりませんでした。

ーー農業の世界では、新しい考え方や栽培方法に対して特異な目で見られることは多いですからね。

陽子:ここ飯能市は、全国の他の地域と比べると自然栽培など新しい考え方に対しても比較的寛容な地域で、近くに自然栽培の農家さんも何人かいらっしゃるのですが、やっぱり地元の慣行栽培の農家さんからは、「あそこは本当に大丈夫なの?」という感じで、良い目では見られていないことが多いですね。

貴史:実際に僕の家族も地域の果樹農家さんも自然栽培には懐疑的です。そこで先日ちょっと強引に、全国で自然栽培を指導されている先生を広島からお招きしてセミナーを開催し、理論立てされた方法であることを説明してもらったのですが、やはりまだ完全には理解されなかったですね。

 農業に限らず、新しい考え方や技術を取り入れるとなると何でもそうだと思うのですが、まずは小さな規模でも実際に自分でやってみて、しっかりとした実績を積み重ねることで、周囲の人も巻き込んでいきながら地道に活動を広げていきたいと思っています。そのような姿をみてもらうことで自然栽培というあり方を理解していってもらいたいです。

ーー周囲の理解もありますが、新しい栽培方法を試すということは、山下さんご自身の経営(収入)にとっても大きなリスクとなるように思うのですが、その辺は如何でしょうか?

貴史:そうですね。ですから、完全な自然栽培は新たに借りることができたキウイ畑だけで行っています。他の果樹については肥料や農薬はこれまで通りで、まず一本だけで枝を立てるなどの方式を試しています。

 一度に全ての畑のやり方を変えてしまうのではなく、まずは一部の畑から(自然栽培専用に栽培できる十分な面積の畑を確保した上で)始めて結果を出したうえで、徐々に広げていこうと思っています。

ーーリスクとチャレンジのバランスを取りなが上手くやられているのですね。

ーー山下さんにとっての農業の魅力や面白さはどのような所でしょうか?

貴史:中学校で子ども達を相手にしていると、同じことをしてもこの子にはすごいプラスになったけど、こっちの子にはマイナスになってしまったというような難しさがありました(それはそれで、教師という仕事の面白さでもあるのですが)。

 一方で、その点果物はすごく素直ですね。木にとって良いことをしてあげれば、しっかりと育ってくれるし、もちろんその反対もあって・・・

シンプルに、より素直に反応してくれる所なんかは果樹栽培の面白さかなと思っています。

 あとは、やはり自然を相手にしているというところですね。春先に、季節が変わってちょっと暖かくなってきたなとか、花が咲いたなとか、変な虫がいたなとか、そういう風に季節や自然を感じながら仕事ができる点は、他の仕事にはない農業の魅力だと思っています。

ーーオフィスで働いていると、一年中同じ環境で、中々身近に四季を感じることのできる機会は少ないですからね。

貴史:あとは、何と言っても自分で責任を持って果樹を管理して、その上で良いものをつくって、レストランの方やお客さんに喜んでもらえるということはすごく楽しいなって思います。

 毎年同じことの繰り返しではなくて、常に新しいやり方を模索して試してみる。そうして、前年のものよりも少しでも質の良いものを作るという試行錯誤の繰り返しが、僕にとってはすごく面白いですね。

ーー自然相手となると逆に大変なこともたくさんあるかと思いますが、その辺りは如何でしょうか?

貴史:たしかに自然環境は常に変化しているので、簡単なことばかりではないのですが、例えば、台風や雷雨が来るのであればそれに備えてしっかりと網を張ったり、天気予報を見て今年は曇天の日が多そうであれば、摘果を多めにして実の量を少なくすることで、少ない光でも均等に栄養が回るようにしようとか、色々と対策は打つことができます。

 あとは、木自体を十分に元気にすることを心掛ければ、少しくらい日光が少なかったり、逆に日照りが続いたとしても、周囲の環境に左右されることなく木はしっかりとした実をつけてくれます。

ーー就農されてこれまでで一番大変だったこと、苦労したことは何ですか?

貴史:この栽培(自然栽培)をやっていて一番難しいのは、やはり周囲の理解を得ることですね。「自然栽培(無農薬・無肥料栽培)というのは、自然栽培という名の放置でしょ」といったようなイメージも強く、難しいところではあります。でも僕からするとちゃんと理屈があって現実に則しているんですよね。

 今はイチから自然栽培を考慮して、枝の仕立て(剪定)をしていますし、キウイにかけている紙の傘なんかも、本来であればしない方が手間も資源も節約できます。ですが、自分達はやっぱり果物である限り、見栄えもある程度しっかりとした方が良いという考えを持っていて、病気や汚れ、日差し避けとして、一つずつ丁寧にかけるようにしています。

 本当の意味で難しいなと思うところはそれぐらいで、栽培については、以前は病気で表面が黒っぽくなり、実が落ちてしまうことなどもありましたが、それでもキウイは果実の中でも比較的、無農薬で栽培しやすいので、今では順調に育ってくれています。年を経るごとに質の高いキウイが成ってくれるので、毎年が楽しみです。

ーー自然栽培のキウイと一般のキウイではやはり味も異なるのでしょうか?

陽子:味は違いますね。その年の気候によって多少は変わりますが、自然栽培の果物についてはすっきりした甘味になる傾向があるようですね。りんごなども自然栽培で育てたものを食べてみると、すごく甘いりんごというよりは、すごくさっぱりとした味わいがあるんですよ。

 スーパーなどで売られている通常のキウイは、どちらかと言うと酸味がな少ないので食べやすい感じはありますし・・・

それが甘くて美味しいんですよっていう方もいらっしゃいます。

 一方で、やっぱり酸味と甘みのバランスが取れていて、コクのあるキウイが好きっていう人もたくさんいるので、好みで意見は分かれると思いますが、味はやっぱり違うという実感はありますね。

ーー一般のキウイは栽培の過程で成長剤が使われていると聞いたのですが、山下さんのところでは、そうした薬剤は使われないのでしょうか?

貴史:よくご存知ですね。ぶどうに使うジベレリンなどはよく知られていますが、キウイではフルメットと呼ばれる薬剤を用います。

 植物性の成長ホルモンと同じ働きをして、小さいうちに果実にかけると通常以上の大きさになりますが、成長剤も『農薬』の扱いになってしまうため、まずは樹の力を高めることで大きい実をつけることを第一に考えています。

陽子:成長剤を使うとサイズは大きくなりますが、半ば強制的に大きくさせるため、その分、味が分散してしまいます。

 ぶどうなどは果物として既に糖度が高いので、それでも基本的には味が大きく変わることはないのですが、キウイとかだと糖度が少しでも違うと味にも差が出やすくなります。

 自分達もスーパーのキウイを買って食べ比べたりするんですが、成長剤を使ったと思うものはやっぱり味が薄いように感じます。

ーーキウイの品種の違いについて教えて頂けますか?

貴史:代表的なキウイと言えばグリーン系のヘイワードという品種で、甘みと酸味のバランスの取れた味で定番の人気があります。イエロー系やレッド系は酸味が少ないので、キウイは酸っぱくて苦手という人にも向いていると思います。

陽子:昨年、知り合いのレストランでこのイエロー系キウイをデザートで使ってもらったところ、その味を気に入ってくれて、その後何度も直接買いに来てくれた方もいらっしゃいました。

 また、レッド系のレインボーレッドという、切り口の中心が赤くなっていて、彩りの良さと味の良さが人気の品種があります。こちらはまだ自然栽培の園ではあまり量は穫れませんが、今後は生産を増やしていきたいと考えています。

貴史:花がレッド系・イエロー系・グリーン系、と大体2週間ずつずれて咲くので、収穫時期もそれに伴って変わります。

 特にレインボーレッドやアップルキウイなどは収穫時ではまだ気温が高く、さらに酸味が少ないことからヘイワードに比べ日持ちしにくいという難点がありますが、それも無肥料で栽培することで、一般のものと比べて日持ちしやすいものに改善していくことが出来ると考えています。

ーー営農を行なう上で、山下さんが大切にされていることなどはありますか?

貴史:お客さんへ最高のものを提供するんだという生産者としての使命感はいつも持っています。そういう意味で、最近では、消費者の方が生産者のことを知れる「顔が見える野菜(果物)」といった売り方も出てきていますが、僕は逆に生産者もお客さんの顔を知っておく必要があるように思うんですよね。

 こういうお客さんが買ってくれているんだということを知ることで・・・

こんな方が応援してくれているんだ、この方達のために喜んでもらえるものを作ろうっていう風に生産者として考えるので。

 もっと言うと、お客さんに畑まで見に来てもらえるような、どんな人が作っているんだろうという興味を持ってもらえる生産者でありたいとも思っていますね。

ーー私達toriii(トリー)も生産者と消費者の双方が顔の見える食流通をつくりたいと思っています。

貴史:すごく良いと思います。生産者として、お客さんとしっかりとした信頼関係ができていれば変に誤魔化しもできないですからね(笑)

 ただの放置ではなく、『品質を高めるための自然栽培』という価値を認めてくれて、買いたいと思ってくださる消費者の方々と上手くやっていけたら良いなと思っています。

 うちの場合は、父がこれまで真摯に、誠実にやってきてくれたおかげで、固定客となってくれているお客さんがたくさんいらっしゃって、わざわざ園まで買いに来て下さるのですが、それは生産者としてすごくありがたいことだなと思います。

 一方で、時代も変わっていくので、自分達も同じ世代のお客さんを見つけて、信頼してもらえるような関係づくりをしっかりとやっていく必要があるように思っていますし、そうした点がこれからの課題だと考えています。

ーー消費者に伝えたいことはありますか?

貴史:先日ラジオで、野菜が健康にいい理由について話していたのを聞いたのですが、最近では、病気などに対抗するために植物自身が体内で作る成分がいい作用をもたらすのではないか、という見方から研究されているとのことでした。

 森林の香りも元々は植物が自己防衛のために出している成分だそうですが、人間にはリラックスなどの効果として働くことを考えると、この見方には頷けるものがありますし、植物自身の力を高める自然栽培ではこれらの成分がより豊富に含まれているのではないかと思っています。

 もっとも、健康にいいから、という前に、美味しいからとか好きだからといったシンプルな理由で選んでもらえるのも嬉しいですね。自然の力がいっぱいの果物を是非召し上がっていただきたいです。

陽子:あとは、果物は主食ではないので、自分へのご褒美でも良いので、美味しいものを食べる時間を楽しんでもらいたいなって思いますね。美味しいものには人の心を動かす力があると思っています。尚かつ、フルーツは体にも美容にも良いのですからね。

ーー山下さんからは、とにかくお客さんへ美味しい果物を提供したいという想いがすごく伝わってきますね。

貴史:立派な信念みたいなものはないですけど、ただ単純に、お客さんが喜んでくださることが僕たちの楽しみに繋がっています。

 でも、さらにそれが自然栽培に近いものであれば、生産者も消費者も環境もみんな喜ぶ。そういう農業を模索していきたいと思っています。

ーー最近、農業の分野にも注目が集まってきていますが、山下さんは農業に対してはどのように考えられているのでしょうか?

貴史:農業に興味を持ってくれる人が増えているなという実感はあります。それも、ただの仕事というよりも、生き方として農業に価値を見てくれているように思います。

 このチャンスに、農業は楽しくてお洒落で、収入もしっかりあるよ、っていう実例をつくっていきたい。

 農業を通して、地球環境に良いことやっていくぞというような思想ももちろん必要ですが、やはり思想だけでは多くの人には響かないなって思っていて・・・

現実的なことも含めて若者や女性が興味を示してくれる仕事になったらもっともっと魅力的な仕事になるのではないでしょうか。

 これまでイメージがあまりよくなかった分、その伸びしろはかなりあると思っています(笑)。

陽子:生活の豊かさと心の(精神的な)豊かさというのは、両方なくてはならないものだと思います。生活が成り立っていかない、暮らしていけないというような農業では、心が豊かであっても憧れる人は少ないのではないかと思います。

 ですので、それぞれのこだわりとか考え方は、それぞれなので好きにしていけば良いと思うのですが、現在の農業のイメージを変えるには、自分達が魅力的な仕事としての農業をしっかりと示していかないと説得力はないなと思っています。

ーー今後、山下さんが農業を通して実現していきたいことはありますか?

貴史:これは広島の先生の受け売りでもありますが、肥料で植物が成長する、というのは坂本龍馬の時代に生まれた概念だそうです。どの分野でも10年経てば新しい発見や技術ができて進化していくのに、農業の分野は未だに150年前の理論のままでいます。

 肥料や農薬に頼らなくても、植物の力を高めてあげれば栽培は可能だということを示せれば農業の次の発展につながると思いますし、そこに関わる人になりたいと思っています。

 逆に言えば、もしここでいい結果とならなければ、自然栽培というあり方そのものが否定されてしまうことにもなりかねず、自分たちだけの問題ではないという責任も感じています。

 環境や人にもやさしい作物が出来れば、本当に良いことがいっぱいで、今の自分達の取組みは、その為の第一歩という感じがしています。まだ始まったばかりで、クリアすべき課題もたくさんありますが、フルーツというジャンルでしっかりと質の高い、美味しいものを作ることで一歩ずつ実現していきたいと思います。農業が時代の最先端と言われるようにしていきたいです。

 自分達のこれからの一歩が、どの世界に繋がっているかは分からないですが、そうした未来が、自分達が農業を続ける上での夢になっています。発展途上国なのか、若者なのか女性なのか。未だ見ぬ未来に可能性を残していくことに意義があるのかなって思っています。

ーー素晴らしい夢ですね。

陽子:また、最近はアレルギー体質の方なども昔と比べて増えましたが、これは若い方ほど自然を欲しているということなのではないかと感じています。ぜひ、こだわってつくられた食材を通して、自然と触れ合うきっかけになって欲しいなと思いますね。