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Bee Concierge

主要品種の栽培スケジュール

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カラスザンショウ

Farmer Profile

齊藤 雄紀
(さいとう ゆうき)

齊藤 雄紀

1988年、埼玉県川越市生まれ。東京農業大学の蜜蜂研究会にて4年間、養蜂に携わる。大学卒業後、食品関係の会社に就職し、養蜂を担当するも1年後に養蜂家として独立。千葉県君津市を中心に定置養蜂を行なっている。2015年にはNHKの人気番組「U-29」にて、養蜂家として取り上げられている。

蜂を愛する若き養蜂家

 高齢化の進む養蜂業界にて、君津市の山奥でこだわりのハチミツ作りを行なう若き養蜂家、齊藤さん。大学時代、世話をすればするほど一生懸命働くミツバチの姿に感動して以来、ブレることなく養蜂家を志して活動をされてきました。他にはない、様々な蜜源の単花蜜(ハチミツ)を作られる齊藤さんに、養蜂家というお仕事についてお話を伺ってきました。

上村 聖季

担当:上村

ーーハチミツの出来方について教えて頂けますか?

 ミツバチの中でも巣の外で花蜜を吸ってくる役割りの蜂を外勤蜂といいます。ミツバチはミツ胃と呼ばれるミツをためる専用の胃を持っていて、外勤蜂が集めた花ミツはまずこのミツ胃にためられます。

 一般的に約30~40mgもの花ミツを貯めて持ち帰ると言われていて、ミツバチの体重が約80gであることを考えると凄い量だということが解るかと思います。

 外勤蜂は、体内に貯めた花蜜を、内勤蜂と言って、巣の内部で働く蜂たちに口移しで・・・

引き渡します。さらに、内勤蜂同士でも何度か蜜の受け渡しが行なわれ、その後に蜜が巣の中に貯められます。

 外勤蜂から内勤蜂へ、さらには内勤蜂同士で花蜜が何度か移動を繰り返すのですが、これらの移動や吐き戻しの都度、蜂の唾液による分解酵素が分泌されます。このことで花蜜に酵素反応による化学変化が起こり、花蜜がハチミツに変化していきます。

 同時に花蜜に含まれる水分も、ミツバチの羽を使った扇風などによって飛ばされ(除去され)、糖度も上がってゆきます。最終的に水分が約20%(糖度は80%)くらいまで濃縮されると、保管場所を移すんですよね。巣の上のほうに熟成した蜂蜜を貯めて、表面にロウで蓋をして一般に言われるハチミツの完成となります。

ーー花蜜からハチミツになるまでに、そのようなプロセスが行なわれているのですね!

 基本的には、ハチミツを採取する場合は、よく熟成された証であるこの蓋掛けされた蜜を採るのが原則とされていますが、様々な事情で、熟成前のハチミツを採取してしまったというときは、糖度が76、77%のハチミツが採れてしまうこともありますね。

ーーそれはミツバチ達による羽を使った乾燥作業が十分に行なわれていない状態のハチミツということでしょうか。

 そうですね。巣の中で乾燥途中のケースもありますし、あとはハチミツを採取するタイミングもあります。通常、ハチミツを絞るのは早朝になります。例えば、ハチミツの採取時期なんかは、大体午前2時に起きて、3時には現場に出発して、3時半頃から蜜を絞る作業を行ないます。

ーーそれだけ朝早くからハチミツを採取される理由はなぜでしょうか?

 採取する時間が遅れてしまうと、蜂が新しい蜜を取りに行ってしまうんですよ。ミツバチが花から採取する花蜜は糖度が十数%なので、それらが混ざってしまうと糖度が80%だったものが薄まってしまい、全体として76%といったようなハチミツになってしまうんですよ。

 従って、巣の中の蜜の熟成が十分に済んだなという段階で、尚且つ、早朝に採取を行なわないと、良いハチミツを採ることができなくなります。

ーーなるほど。養蜂家の1週間の仕事のサイクルはどのようなものなのでしょうか?

 ハチミツが採れるっていうタイミングは実はそうそうないんですよ。なので普段晴れてる日なんかは、巣になっている板を取り出して、ミツバチが病気になってないかとか蜂の巣を点検してあげたり、女王蜂が新しく女王蜂をつくって分蜂(ぶんぽう)しないように頻繁に確認を行なう必要があります。

ーー分蜂とは何でしょうか?

 日本ミツバチは、春に新しい女王が生まれて、古い女王(新しい女王のお母さん)が巣から働き蜂を連れて出て行きます。人間の世界では、娘が家を出て行くのですが、ミツバチの世界では母親が家を出て行くということになるんですよ。これを分蜂と言います。

 分蜂を行なうことによって、上手くいけば蜂の数を増やすことも出来るのですが、帰還率はそう高くはなくて、60〜70%くらいといったところでしょうか。

 分蜂が起きると、残された働き蜂と、新しい女王蜂だけになってしまって、この新しい女王蜂がちゃんと機能するかどうかが分からないというリスクもあります。また、古い女王蜂が交尾をしに外へ出たらツバメに食べられてしまうというようなこともあります。

 従って、基本的には、分蜂されると、ハチミツの生産量も落ちてしまうので、分蜂しないようにしなくちゃいけないんですよね。

ーー具体的にはどのような対策を取られるのでしょうか?

 古い女王蜂が、大分歳をとっていて、外へ出てもだめだというようなときには、その女王蜂を故意的に取り除いてしまったりだとか、人工分蜂といって、巣の板を3枚ぐらい取り出して、別の場所に持って行って、それで新しい群れを作ってまったりします。そうした細かいい管理をしっかりとしないと蜂の数がどんどん減っていくことになります。

ーー具体的にはどのような対策を取られるのでしょうか?

 女王蜂と働き蜂の違いは何でしょうか?

 基本的に、ミツバチは働くのはメスなんですけど、女王蜂もやはりメスです。女王蜂と、働き蜂の違いは、卵を産む能力が一番大きいですね。

 また、昆虫は、身体の部位が頭、胸、腹と大きく3つに分かれるんですが、女王蜂は胸や腹の部分が働き蜂よりも大きくなります。特に腹の部分に卵がめいっぱい詰まっているので、すごく大きくなります。

 女王蜂は、繁殖時期になると、王台って言って女王蜂専用の育成台ってのを各地に作るんですね。それが多い時だと、10とか20とかあって。それで大体3、4回くらい分蜂してしまうんですよ。古い女王がまず出て行って、最初に生まれた女王も分蜂してどこかへ行ってしまって。さらにその次もまた分蜂してってなると、もう巣の中はスカスカになります。

ーー女王蜂が不在になるようなことは起きないんでしょうか?

 なんらかの事情で女王蜂がいなくなると、巣は最終的に崩壊します。また、女王も何匹も生まれてそれぞれが分蜂していくと、最後の方の女王蜂は分蜂するにしても連れて行く働き蜂の数が少ないので、女王蜂同士で殺し合いをして、生き残った方がその巣を継ぐという感じです。

ーーミツバチの世界も、実はそんな恐ろしい家督争いが行なわれているのですね。

ーー現在、養蜂場は何か所でやられているのでしょうか?

 基本的に2カ所、時期によっては3、4カ所でやっています。

ーーどのくらいの数の蜂を飼われているのでしょうか?

 大体50群くらいですかね。群というのは養蜂家が蜂の数を数えるときに使う単位なのですが・・・

ひとつの巣箱には板(これを”巣脾枠”と呼びます)が約10枚収納可能で、1枚につく蜂の数は約2000匹。つまり10枚箱ひとつが蜂でいっぱいになると約2万匹となります。

 養蜂家は蜂が増えるにつれて巣箱を2段3段と重ねていき、最大で3段6万匹のグループをつくります。このグループひとつを”群”と呼びます。群は蜂の数にかかわらず女王1匹に率いられてるグループのことです。

 したがって、季節によっても変動しますが、現在は少なくとも50万匹以上は飼っているというイメージですね。

ーー齊藤さんが養蜂家を目指されたきっかけはなんでしょうか?

 私は農大の出身なのですが、大学に入学したときにサークルはどこに入ろうと考えていて、ミツバチ研究会がかなり面白いっていう噂を色々なところから聞いていて。私は小さいころから虫を含め、生き物全般がとにかく好きだったこともあったので、ミツバチ研究会に入ったんですよ。

 それから4年間、大学生活はずっと蜂と向き合う日々でした。同研究会では、販売担当とか様々な役割りがあるのですが、3年生の時には最も重要な養蜂担当をさせてもらって、養蜂チームのリーダーも務めていました。

ーー元々、虫や生き物が好きだったというのは、育った環境等が関係しているのでしょうか?

 そうですね。両親の教育方針として、子どもの時は自然がある程度あるところで育てようという方針があったみたいで、埼玉の中でも、自然の豊かな地域で育ててもらったというのが関係しているのかもしれません。

ーー日本には養蜂家は現在何名くらいいらっしゃるのでしょうか?

 少し古い数字かもしれないのですが、登録しているプロの養蜂家で約3,000人くらいと言われています。最近では、養蜂家の高齢化や海外からの安価な輸入品の増加によって養蜂家の数は減ってきています。

ーー実際にプロの養蜂家の職業につく方はかなり少ないという話を伺ったのですが、卒業後、養蜂家になられたきっかけは何だったのでしょうか?

 大学3年生のときには普通に就職活動をしていたんですよ。ただ、あまり真面目にやっていなかったというのもあって、中々就職先が決まらなくて。そんな中、大学の就職支援課には、養蜂関係で仕事があれば教えて下さいって伝えていて。まがいなりにも4年間ずっとやってきたので、養蜂関係の仕事だったら結構できるんじゃないかなと思って。

 そしたら1社だけ求人の会社があって。そこで無事就職は決まったのですが、今で言うその会社がかなりのブラック企業だったんですよ・・・(笑)ここでは話せないような内容も色々とあって、一緒に入社した同期が全員退社する中で、会社の蜂の管理なども全て任されるようになり、1年間はなんとか続けたのですが、さすがにこの会社で養蜂を続けるのは嫌だなと思って退職しました。

ーー食品を扱う会社って本当に玉石混淆で、グレーなところはとことんグレーなことをやっていますからね。

 退職後、養蜂の関係で一度訪れていた千葉の自然や土地柄を結構気に入っていたので、千葉で養蜂家として独立すべく準備をしました。

ーー養蜂を行なうにあたって、何か免許のようなものは必要なのでしょうか?

 免許は必要です。各都道府県に申請し、養蜂場の許認可を取得する必要があります。実はこの許認可の取得というのが、都道府県によってはすごくしがらみが強くて。国の方針で、アカシアの木自体の数を減らしている中で、ハチミツの生産量も減ってきていて、地元の養蜂関係者もこれ以上、新規参入の養蜂家を増やしたくないという気持ちがあるんだと思います。

 そういう面では、千葉は他の県に比べても県内にそれほど養蜂家も多くなく、そうしたしがらみも強くないので、比較的スムーズに許認可を取得することができました。

ーーいつ頃から千葉県で養蜂家として活動を始められたのでしょうか?

 千葉で始めて4年になります。最初はちゃんとした収入があるわけではないので、アルバイトをしながら養蜂をやっていました。

ーー新規就農とかだと、就農給付金として自治体から毎年150万円が補助されたりすると思うのですが、養蜂の場合にはそうしたサポートは受けられなかったのでしょうか?

 養蜂の場合は畜産に分類されてしまうので、そうした補助金などは受けられなかったですね。そんな苦しいときに助けてくれたのが父でした。何とかバイトで食いつなぎながら1、2年くらいやっていた時期に、そこまで本気でやるのなら少し支援するからやってみろっていう風に言ってくれて。そこからバイトを辞めて、本格的に養蜂一本に絞って専念することができました。

ーー私も自分で会社を立ち上げて苦しかった時期に、やっぱり色々な面で助けてくれたのは両親だったので、そのありがたさが本当によく解ります。

ーー一般的に国内の量販店などで販売されているハチミツは輸入品だと思うのですが、輸入品と国産のハチミツの違いについて教えてください。

 まず、日本のハチミツは95%以上が輸入品で、その内、中国産のハチミツが85%以上、南米・オセニア・欧州産のもので約10%、 国産はちみつは僅か5%以下に過ぎません。そして、ハチミツの味もやはり異なります。

 海外のハチミツの特徴として、蜜源がアカシアやレンゲがほとんどであること。製法の過程で、高温過熱処理をしているはちみつが殆どで・・・

その結果、味が限られていたり、人工的に加熱をする分、天然のハチミツと比べて風味や旨味も飛んでしまいますし、少し焦げ臭い味になります。・・・

ーー人工的に加熱する理由はなぜなのでしょうか?

 中国産のハチミツなどは、水分の多い未熟な状態でハチミツを絞る(採取する)ため、人工的に熱を加えることで水分を飛ばして出荷されます。

ーーミツバチが時間をかけて行なう乾燥作業を、短時間で人工的に加熱処理して行なうという感じですかね。

 そうですね。熱を加えることでハチミツの味が変わってしまいます。

ーーハチミツを採取できる時期はいつ頃なのでしょうか?

 基本的には、蜜源となる花が咲く時期なので、春以降ですね。うちの場合は、山桜の咲く4月中旬頃から、カラスザンショウの8月後半くらいまでが採蜜の時期となります。人によっては、この後、10月中旬くらいから11月くらいの時期に咲くセイタカアワダチソウを菜蜜する方もいるかと思います。

ーー齊藤さんの養蜂場では何種類のハチミツをつくられているのでしょうか?

 今は、山桜、フジ、アカシア、ウツギ、シイ、カラスザンショウの6種類ですね。ハチミツというカラスザンショウが意外と人気ですね。

ーーやはり味はそれぞれ違うものなのでしょうか?

 食べ比べてみますか?

(それぞれを試食・・・)

ーーそれぞれ味が全然違いますね!!(笑)まさかハチミツにこんなに味の種類と深みがあるとは知りませんでした。

 そうなんですよ。ハチミツの蜜の源となる植物もそれぞれ異なるので、その分、蜜源によってハチミツの味や香りも全然異なるんですよ。

ーーミツバチの種類も、西洋ミツバチと日本ミツバチの2種類があると聞いたことがあるのですが、両者の違いについて教えて頂けますか?

 日本の野山に昔から生息しているのが日本ミツバチ、元々ヨーロッパやアフリカに生息していたのが西洋ミツバチです。大きな違いとしては、まずハチミツの生産性ですね。西洋ミツバチの方が、日本ミツバチよりも生産性という面では優れていて、約5倍の生産量があると言われています。

 生産性以上に日本ミツバチの養蜂が難しいのが、日本ミツバチは自分達が暮らしている巣箱の環境が少しでも悪くなると・・・

すぐに巣を離れてしまう性質があることです。少しでも巣の内部で病気が発生したり、巣箱が傷んで隙間風などが入ったりすると、とりあえず別の場所を探そうって逃げちゃうんですよ。

ーー日本ミツバチは、生産性が悪い上に、デリケートで取扱いも難しいのですね。

 はい。管理している中でちょっとでも誤って巣箱を蹴飛ばしちゃったりしようものなら、次の日には蜂たちが一匹もいなくなっていることもあります。あとは、日差しが強くて、巣箱が暑すぎるねってなっても、またいなくなったりします。だからこそ、この高温多湿な日本でも病気をせずに生きていくことが出来るのですが。

ーーそうなると養蜂家の方が飼われるのは、基本的に西洋ミツバチなのでしょうか?

 そうですね。一般的に日本で飼われている養蜂用の蜂の大部分が西洋ミツバチになりますね。

ーー西洋ミツバチと日本ミツバチでは、できるハチミツの味も異なったりするのでしょうか?

 味は違いますね。やっぱり日本ミツバチの方が、ハチミツの味にコクがあるというか、西洋ミツバチのハチミツよりも旨味があります。ただ、日本ミツバチは前述の通り、取扱いが難しいので、その分、日本ミツバチのハチミツはとても貴重なものとされています。

ーー消費者の方へ伝えたいことはありますか?

 ハチミツは、国内で流通しているもののほとんどが中国産のものなので、一般的にハチミツって皆さん全て同じ味だと思われていることが多くて。でもハチミツというのは、本来、蜜源となる花の種類によって味が全然違うということを知って頂きたいですね。

ーー私も本日初めて国産の、そしてアカシア以外のハチミツを食べさせて頂きましたが、こんなにもそれぞれ味が違っていて、一般の量販店で売られているものよりも味が深いとは知りませんでした。

 輸入品のハチミツは、一度熱を人工的に加えてしまうので、風味全部飛んでしまうんですよ。うちで作っているハチミツは、全て自然乾燥された完熟のハチミツだけを採取しているので、その部分が輸入品と比べたときの味の深みに繋がっているんだと思います。

 あとは、輸入品に多いレンゲやアカシアは、採取できる蜜の量が多いんですよ。海外からの輸入品はこの二つの蜜源がほとんどなので、他の蜜源をもとにしたハチミツがあまり出回っていません。木や草などの蜜源によってハチミツの味の違いを楽しむ方が増えれば、ハチミツの世界ももっと面白くなってくるように思っています。

ーー養蜂家という仕事の中で難しいなと思うことについて教えて頂けますか?

 常に繊細なミツバチに気を遣う必要のある仕事なのですが、その中でもミツバチの越冬(えっとう)が非常に難しいですね。通常、ミツバチは、群で巣に篭り、食糧である蜂蜜を消費しながら、厳しい冬を乗り切ります。しかし、厳しい寒さや餌不足などで越冬に失敗する群も非常に多いんですよ。

ーー難しい越冬に対して、どのような対策を取られるんでしょうか?

 巣に断熱材を使用したりと寒さに対する対策をしてあげるのですが、越冬を上手くさせてるための一番のポイントは実は越夏なんですよ。当たり前ではあるのですが、越冬が上手くいかないということは、越夏が上手くいっていないということでもあります。

 夏の間に、養蜂の一番のライバルであるダニ対策上手くやって、どれだけ蜂の数を落とさずに夏を元気に過ごして秋まで持っていけるかが勝負となります。

 例えば、千葉県は気温が比較的暖か過ぎるようで、ダニが繁殖しやすいんですよ。ダニの発生をどのようにして抑えるかが養蜂家にとっても一番の課題ですね。

 従って、越夏が上手くいっていないときは、秋から冬にかけて蜂の数もどんどん減っていくので、そん時は本当にキツいですね。精神的にも物理的にも・・・

ーー日々蜂の数が減っていることが目に見えて分かる訳ですものね。

 はい。そういう場合は高い確率で最終的には全滅するので。本当に何とも言えない気持ちになります・・・

ーーミツバチと言えど、蜂に刺されたりすることはないのですか?

 よく刺されますよ。手を見て頂くと分かると思うんですが、黒くなっているところが全部蜂に刺されたところですね(笑)

ーー刺され続けると慣れるものなんですか?(笑)

 慣れない人もいるみたいですが、私を含めて、大抵の養蜂家は慣れていると思いますよ。ただ、私の場合は、2回目に刺されたときは、アナフィラキシーショック※で、40度くらいの高熱が出ましたね。ミツバチって、普通はそんなにアナフィラキシーを起こさないんですけど、私は特別アナフィラキシー体質だったんですよね。ミツバチに対して(笑)。

※ アナフィラキシーは、発症後、極めて短い時間のうちに全身性にアレルギー症状が出る反応。アレルギー症状の多くは、体内に蜂毒に対する抗体ができた後、2回目以降に蜂毒が入ったとき、もともと身体の中に存在する主にヒスタミンという物質の作用によって、全身症状が引き起こされる。

ーーアナフィラキシーっていうと、最悪の場合ショック死することもあるんじゃないですか・・・?

 ミツバチの場合は、アナフィラキシー起こしちゃったとしても一般的にそこまで症状強くないので(2回目はかなり強かったんですが・・・)。ところが、3回目、4回目、5回目ってだんだん症状も弱くなっていったんですよ。

 10回目くらいから熱も出なくなって。これまで通算数百回とか刺されてると思いますけど、今では刺されたとしても何ともないですし、少し腫れたかなっていうくらいで、1時間もたたないうちに腫れも引いちゃうくらいにまでなりました。

ーー養蜂家とは本当にすごいお仕事ですね・・・

ーー齊藤さんにとっての養蜂の魅力について教えてください。

 蜂と一緒に仕事ができるっていうところですかね。豚とか牛などの家畜などは、全員が全員そうじゃないと思うのですが、基本的に出来るだけ人が食べるときに美味しいように、太らせてお肉にする訳じゃないですか。

 でも、蜂の場合は、如何に蜂を健康にさせるかで、蜂を働かせるというよりは、蜂と一緒に働くという感じなんですよ。例えば・・・

僕が飼っている西洋ミツバチは、人間のサポートなくして生きてはいけません。飼育者とミツバチが気持ちで通じ合い、一体となることで、初めて養蜂は成立する。僕はそう思っています。

 他の畜産業だと、家畜と一緒に働くという感覚は中々ないんじゃないかなと思うんですよ。そうした違いは養蜂業の魅力だと私は思っています。

ーーズバリ、齋藤さんにとってそんなミツバチとはどんな存在でしょうか?

 一言でいうなら、相棒ですかね。戦友とも言えるかもしれません(笑)。

 蜂に関する”こと”だけではなく、蜂の”ため”ならなんでもする。そうした想いがあって事業名も「Bee Concierge(ビーコンシェルジュ)」という名前にしています。ハチミツも好きですが、それ以上にミツバチ自体が好きなんです。

ーーBee Conciergeさんのこだわりや養蜂において齊藤さんが心掛けていることなどはありますか?

 Bee Conciergeでは、こまめにハチミツを絞っているので、色々な種類(花蜜)のハチミツを生産できるところは一つの特徴だと思います。うちは、ミツバチが様々な花(蜜源)から蜜を集めてきて出来る(色々な花蜜が混ざったハチミツ)百花蜜という種類のハチミツは作っていないんですよ。基本的には、単花蜜という、花源ごとにしっかりと分けてハチミツを生産しています。

 あとは、養蜂を行なう環境についても、うちは山奥過ぎて周囲で田んぼなどをやっている人もほとんどいないので、蜜源である草木にそうした田んぼに使用される農薬がかかってしまうということもほとんどありません。

ーー今後、齊藤さんの目指す養蜂について教えてください。

 将来的には、養蜂のための山作りをしてみたいと思っています。最近ではハチミツの元となる蜜源植物が少なくなってきているため、将来的には、自分で蜜源植物も育てられるようになりたいと思っています。山を買って、そこで様々な蜜源となる木を植えたりして、植物の所からこだわってハチミツ作りをやっていきたいですね。

 実は今巣箱なども全部自分で作っているんですが、そうした巣箱も全部自分の山の木々を材料にして作ったりできたら、なんか楽しく過ごせるんじゃないかなと思って。

 あとは、今は春以降のハチミツも6月後半あたりから7月末のカラスザンショウが咲くあたりまで、蜜源となる植物がなく採蜜ができないので、その期間を埋められるような植物も山を持てたら育ててみたいですね。

ーーその時期にはどのような蜜源があるのでしょうか?

 この時期を埋めるのがネズミモチやクロガネモチという植物になるのですが、うちの養蜂場の周りにはこれらの植物が少ないんですよね。こういうのをうまく育てられたら面白いとおもうんですけど。ただ、蜜を採るとなると最低でも木が200、300本は必要になります。

ーーやはりハチミツを採るには、それだけの量の木(花の数)が必要になるんですね。

 しかも木を植えて育ちきるまでに4、5年かかりますし、十分な採蜜を行なえる木になるまでにやっぱり10年はかかるので、まだまだ先の夢ではありますね。