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陽光養蜂場

主要品種の栽培スケジュール

1月2月 3月4月 5月6月 7月8月 9月10月 11月12月
山桜
フジ
アカシヤ
ウツギ
シイ
カラスザンショウ

Farmer Profile

大久保 真佑
(おおくぼ しんすけ)

大久保 真佑

1955年山梨県生まれ。大手百貨店の外商として勤務。取引先の社長から養蜂を薦められ、趣味で蜂を飼い始める。その後、養蜂が徐々に本格化し、百貨店を退職。以来、20年以上こだわりの国産ハチミツづくりを続けるベテラン養蜂家。現在は、山梨日本ミツバチ保存会の会長として日本ミツバチの保護に向けた活動も行っている。

本物のハチミツを届けたい

 くだもので有名な山梨県笛吹市にて、こだわりのハチミツづくりに勤しむ大久保さん。養蜂家として20年以上ミツバチと向き合って来た大久保さんの言葉の節々からは、ミツバチに対する敬意と愛情がひしひしと伝わってきました。そんなハチミツづくりの名人にハチミツや養蜂家という仕事についてお話を伺ってきました。

奥田

担当:奥田

ーー養蜂のお仕事は何年くらいやられているのですか?

 今年で21年になります。細々と養蜂家としてやってきましたが、気づいたらもう随分長い間やっています(笑)

ーー大久保さんは養蜂家になる前にはどのようなお仕事をされていたのでしょうか?

 百貨店の外商を甲府でやっていました。本店がある都内でも働いていたんですが、甲府店がオープンしたのをきっかけに甲府に移ることになりました。その後、早期退職制度を利用して百貨店を辞め、別の仕事もしていたんですが行き着いたのが養蜂業でした。

ーーふつうは、なかなか養蜂業を選ばないですよね。

 普通の人は選ばないでしょうね。僕が養蜂業を始めたのは・・・

趣味で日本ミツバチ飼い始めたのがきっかけでした。

ーーご自宅で日本ミツバチ飼われていたのですか?

 日本ミツバチを飼い始めたきっかけは前職の取引先の社長が飼っていて、ハチミツを頂くことがあったんですが、美味しかったから僕もやりたいと言ったら、ある日帰りに家に寄れって言われて、お邪魔したらもう自分の分の箱が用意してありました(笑)。これを持って行けと。

 自宅で普通に飼っていてハチミツが採れたんです。自分の家でハチミツが採れたのが嬉しくて。みんなに配って回ったんです。これ「自分ん家で採れたハチミツ!」なんて鼻を高くしながら(笑)。

 そうすると配った人の中にハチミツがすごい好きな人がいて、すごく美味しかったよって言ってもらったりして。そうした人には、その後も継続的にあげていたんですが、あげている内に、あっちこっち配るから無くなっちゃうんですよね。

 そうすると「あのハチミツある?」って聞かれるので、「そんな量が採れるもんじゃないんだよ」って説明すると、「日本ミツバチじゃなくてもいいから(加熱処理がされていない)ちゃんとしたハチミツ食べたい」と言う人が結構居たんですよ。

 それは、国産のハチミツがあんまり手に入らないからなんですよね。それで西洋ミツバチでもやってみることにしたんですが、そしたら今度はハチミツが余りはじめたんですよ。西洋ミツバチは日本ミツバチと比べてハチミツの採れる量が多くて。それで少しずつ直売所やネットを使って販売を始めました。

 そんな風にやっている内に来客数が増えてリピーターも出てきて、バンバン忙しくなってきて、最初のうちは良かったんですが忙しすぎて寝る時間も惜しむほどになってしまいました・・・。そうしたことが養蜂家となった経緯です。

ーー大久保さんの養蜂へのこだわりについて教えてください。

 西洋ミツバチのアカシアなら純粋性にこだわっています。日本ミツバチの百花蜜であれば、ミツバチに優しい採蜜方法を心がけています。それが要するに日本ミツバチを保存することになるから。

 実は僕にはもう一つの顔があって、山梨日本ミツバチ保存会の会長をやっているんですよ。

ーーその会は何名くらい会員がいらっしゃるのですか?

 今120名はいるかな。そうした会員に対して養蜂指導しているんです。

ーー保存会が運営されているということは、日本ミツバチは守らなきゃいけないという意識がみなさんの間であるのでしょうか?

 そうですね。昔は日本ミツバチのハチミツってミツバチを殺して採っていたんですよ。煙幕を入れて密閉させて死なせて、その後にハチミツを絞っていたんです。でも僕の場合はミツバチの群れを存続させながらハチミツだけを頂くというやり方をしていて、ミツバチに優しい採蜜方法をしていると思っていますね。

ーー蜜を採る作業は養蜂場とは違った場所で行われているのですか?

 養蜂場とは別の場所でやっていますね。ここ数年でミツバチが減ってしまったというニュースがあったけど、ダニとか病気が原因なんです。うちも同様に病気になってしまって大打撃を被ったことがあったから。山の中にアカシアの群になって花を咲かせる場所があるんですが、今はそこでひっそりと飼っています。

ーー大久保さんにとって日本ミツバチの魅力はどういうところにあるのでしょう?

 野性味があるところですかね、環境が気に入らなかったら自ら逃げていく。20年やっていてもまだわからないことがたくさんあって、とても奥深いんです。

 保存会の会員達には養蜂に関して80%は教えているんです。飼い方とか管理の仕方については自分の失敗談と成功談があるから8割は話せるんだけど、あとの20%は分からないんだよって話をしています。

 野生の生態は奥深くて、分からないことが今でもあるから一生懸命やってるんだよって。残りの未知の部分は本で勉強しながら、実際にやってみて学んでいって欲しいです。

ーーハチミツはアカシアから採られているのですか?

 基本はアカシアですね。アカシア以外の花蜜は混ざり蜜になっていまうことが多いので、「純粋ハチミツ(単花蜜※)」と銘打って販売ができるのは山梨の場合だとアカシアしかないんですよ。

 ※単花蜜:一種類の花の蜜からなるハチミツ

ーーミツバチの一群は、同じ種類の植物からしか蜜を採らないと聞いことがあるのですが。

 何千匹何万匹というミツバチが飛びますからね、基本的に同じ種類の蜜源からしか採らない性質を持っていても、そういう仕掛けをしてやらないと、違う植物に浮気をするものもいるんです。そうすると違う花の蜜が入ってしまうので、百花蜜※になってしまう。

 ※百花蜜:数種類の花の蜜からなるハチミツ。

 僕のポリシーとして西洋ミツバチの百花蜜は売りたくないと思っているんです。日本ミツバチはその性質から百花蜜を作るから百花蜜については日本ミツバチが作るものと考えたい。西洋ミツバチの場合は、単花蜜って言ったらアカシアしかないんです。というのも集団でたくさん花が咲いていないとピュアなハチミツは採れないからで、この辺りだとたくさん花をつけるのはアカシアくらいなので。

ーー単花蜜の品質規格は決まっていないのですか?

 一応、公正取引委員会では一種類の蜜源の割合が全体の60%以上であれば良いということにはなってるけど、そういう形なので厳密に言ってしまうと純粋とは言えないんです。そのくらい今の日本には集団で纏まって花が咲いてる場所がないんですよ。

 あとは、ミツバチって半径2kmくらいしか飛ばないから、その地域によって味が違ってくる。だから面白いハチミツが採れる時もあるんです。7月~8月は野原の花が少なくなるので日本ミツバチも餌不足になる。

 その時期って丁度巨峰の出荷に重なってくるんですが、農家さんが出荷の時に粒抜きと言って、房になってるものの中で見栄えの悪い粒を重さを整えるために切って捨てるんです。その果汁を日本ミツバチが吸って蜜にするので、巣の中で巨峰の匂いがプンプンするということもあるんです。そういうハチミツはマルシェなんかで販売すると皆さん喜ばれますね。

ーー一般にミツバチが採蜜する植物が違うとハチミツの味が変わるということを知らない消費者が多いですよね。

 ほとんど知られていないですね。だから直販で販売する時はまずアカシアの単蜜を最初に食べてもらって、その後に(百花蜜の)日本ミツバチのハチミツを食べてもらうと皆驚きますね。味が全然違うって。でも、アカシアの味が良いって人もいれば、日本ミツバチが美味しいって言う人もいるんです。

ーー大久保さんの作るハチミツはどういった使い方をするのがオススメですか?

 一般的にハチミツはお菓子作りに使われることが多いですが、うちのアカシアのハチミツは本当に純粋なものなので料理にも使えるんです。花の香りが立たないから料理の邪魔をしない。オススメなのは魚の煮付けですね、あまりたくさん入れないで隠し味程度が良いです。

 ハチミツの生の酵素が生きてるから、魚の臭みがなくなる、身が柔らかくなって骨離れがよくなる、照りがよくなって食べやすくなる、と良いことづくめなんです。これでサバの味噌煮なんて作ったら美味過ぎて感動すると思います。

ーー和食でも使えるというのは斬新ですね!洋食には最近ハチミツがよく使われているという話は聞くのですが。

 甘いものが注目されてるから、スイーツにも使って欲しいという気持ちはありますね。アカシアが一番、クセがないので最適だと思うんです。

ーー今まで養蜂をやられてきて、失敗したことや大変だったことはありますか?

 今までで一番辛かったのはやっぱり病気ですね。病原菌は特定出来るんだけど拡がってしまって手持ちのミツバチがガクンと少なくなっちゃった時が本当に困りました。生活を支えるためのハチミツがないと・・・。

 一度蜂がいなくなってしまったらそこから数年間は過去に採れた数量が見込めないから、お客さんは居るのに商品が出せない、という状況に陥ったときは辛かったですね。

 でもね、生き物相手だからしょうがないですよね。養蜂が農作物と違うのは・・・

自分の意志で動き回る生き物が相手だということですよね。

ーー現在、養蜂の作業についてはどのような体制で行われているのでしょうか?

 ミツバチの管理から始まり、ハチミツの収穫、瓶詰めまでは僕一人でやっていて、直売所や道の駅などでの販売などについてはパートの方に手伝ってもらっています。養蜂家については、僕のような零細農家が多いと思います。ちなみに養蜂業というのは畜産業になるから、管轄は県の畜産課になるんですが、実際にやっているのはそれぞれが小さい農家なんですよ。

ーー実際に国内の養蜂家さんについては、高齢化なども相まって生産者さんの数が減っていると聞いています。

 その通り。だから僕のところも注文がキャパを超えちゃうと対応できない。とは言っても繊細なミツバチの面倒を見るということは生き物を相手にするということだから、単純に人を雇って世話をしてもらうというわけにもいかなくて、どうしても自分でやらなきゃいけない。

 そうすると、周りの人から、瓶詰め作業などは人に任せちゃえばって言われるんだけど、個人的に、品質管理から経営者が目を背けるわけにはいかないなと思うんです。なので、大変ではありますが、瓶詰めも全て自分でやることにしています。

ーー奥さんも養蜂の仕事をお手伝いされているのでしょうか?

 かみさんは看護師をやっていて、彼女は彼女で仕事があるので僕の事業に関してはまるっきりノータッチです。かみさんは手伝うよって言ってくれるけど、人間って手伝ってもらうとそれに甘えちゃうんですよね、一度手伝ってもらうと期待してしまうようになる。彼女は看護師として働いているのに、迷惑をかけてしまうから一切手伝わなくてもいいよと言っています。

ーー将来息子さんに養蜂業を継いでもらうことは考えられているのですか?

 本人がやりたいんだったら反対はしないけど、強要もしないですね。自分自身もやりたいことやってきたので。

 事業の規模はそこそこにしたいけど、今は自分の体のこともあるから現状はこのままでいいかなと思っています。もし倅が継ぐということになったら、僕が生きている間にもうちょっと経営を上向きな状態にしてから渡したいですね。

ーー輸入物と国産のハチミツの違いはどのようなところでしょうか?

 まずは安全性が一番大きいですね。今はISOを取ってるところは日本人が入ってしっかりした生産体制を取って生産していると聞くものの、そうでなくて現地のローカルルールで作っているところは生産過程での安全性の問題が多いです。

 あとは、海外の養蜂業者は夕採りしているところが多いんです。夕方に採るということは昼間に採ってきたハチミツがまだ濃縮されてないんです。だから水分が多い。

 水分が多いと発酵してしまうので水分を飛ばす作業が必要になるんです。それを海外では加熱処理することで水分を飛ばすのですが・・・

加熱することで風味や蜜源独自の味まで飛んでしまいます。

 日本の場合は朝採りをする。朝採りするってことは一晩蜂によって自然に濃縮されたハチミツを採るわけで、この違いは大きいですね。

ーー養蜂をやられている方々は皆さん朝が早いのはそうした理由なんですね。

 朝は本当に早いです。5月なんてアカシアの花蜜が一番採れる時期だから一年分そこで採ってしまうんです。そういう時は3時とか暗い時間に起きて、明るくなった頃にはもう養蜂場に着いて、蜜の分離作業を始めてしますね。

ーー5月頃が一番のピークになるのですか?

 うちは5月がピークなので、その時に一年分採っていますね。

ーーハチミツを作る難しさは中々一般的には知られていないように思います。

 そうですね。例えば5月のピークの時期に雨がたくさん降ってしまうと、ミツバチは飛んでくれないし、アカシアなんてすごく正直な植物で、梅雨に入った瞬間に蜜を吹かなくなるかから。梅雨入りが宣言される前から、アカシアが蜜を吹かなくなって箱に蜜が入らなくなるから分かるんです。

 養蜂をやってると自然というものを肌で感じるようになりますね、季節の移ろいとか。こういうところは本当に魅力だと思います。季節の移ろいを肌身で感じられるなんて他の仕事だとなかなかない。

 あとミツバチの蜜ってのは無駄になるところがないんです。ハチミツもプロポリスもローヤルゼリーもそうだし、蜂針液っていう鉢毒も蜂針治療というものに利用されている。刺して患部の痛みを取るんです。

ーー蜂に刺されたりしないのですか?

 女王蜂は体も大きいし刺されたら痛いんです。徐々に慣れるけど最初の頃は腫れました。ミツバチは興奮するとお尻を上げるんです。お尻を上げるときはお尻から攻撃フェロモンを出して部下にそれを伝えている。怒るときは自分の身に危険が迫ったときだから、怒らせないようにします。

ーー作業中は刺されない様に防護服は着けられるのですか?

 ミツバチが落ち着いてたら着けないです。荒れている時と荒れていない時があるんですよ。あまり手荒く扱うと蜂も荒れる蜂になっちゃう。優しく扱っていれば大人しい蜂になります。

ーー消費者に伝えたい、知ってもらいたいことはありますか?

 人によってはハチミツが結晶化するから本物だ、偽物だって言う方もいるのですが、それはハチミツの糖の種類が違うから発生する現象であって、その認識は間違っていますよというのは伝えたいですね。

 ちょっと細かい話になるのですが、花の蜜は、砂糖と同じショ糖なんです。一方で、ハチミツはミツバチの酵素の働きで単糖類に分解されて果糖かブドウ糖になっています。

 例えば一つの瓶の中に果糖とブドウ糖が一緒に混ざった瓶があったとします。そうすると一冬越すと、ブドウ糖の方が比重が重いから下に沈んで・・・

結晶化するんです。上の部分は果糖だから結晶化しない。

 アカシアのハチミツは果糖が主成分なので、冬のとても寒い日だと白くなることはあっても、結晶化はせずにトロトロします。日本ミツバチの場合はブドウ糖がすごく多いから、下の方がガチガチに固まって上の方は結晶化しない。そういった糖の性質の違いであって、本物かどうかを見分けるものではないんですよ。

ーー陽光養蜂場さんはハチミツの加工品も販売されていると伺いました。

 今うちではナッツのハチミツ漬け、クランベリーのハチミツ漬け、ブルーベリーのハチミツ漬け、アプリコットのハチミツ漬け、ジンジャーのハチミツ漬け、この5つがよく売れています。

 対面販売の際に、「食べてみたいハチミツあります?」ってお客さんに聞いてみて、そこからお客さんの好みを探っていきます。ナッツだとクルミとかアーモンドが食べてみたいといった反応があると自分の想像力も膨らむんです。

 販売については、例えばお客さんに「これにブルーチーズ乗せて食べるとすごく美味しいですよ」って言って、お客さんにご自身で想像してもらうんです。そうすると美味しそうねって買ってくれるんですよ。

ーーお客さんの想像力を搔き立てるセールストークは前職時代のご経験が関係してそうですね。

 それはあるかもしれないですね。あと、商品知識はこの20年間かけて身に付けたものだから、ハチミツに関してはどんな質問されても正しく答えることができる。それが自分の強みだなと思っています。

 僕にとって直販が一番面白いんです。基本的に直販は販売員のスタッフと自分で行っています。お客さんは観光客の方が多いけど、マルシェなんかのお客さんは結構手強くて。かなり専門的なこと突っ込んで聞いてくる。そういう方々との会話は手応えがあって面白いですけどね。

ーー(試食してみて)生姜のハチミツ漬けはまた格別に美味しいですね。

 生姜のハチミツ漬けってよくスライスにしてあるものが多いんですが、うちのはジンジャーエールにするためにペースト状にしています。スライス状にしているとストローで飲もうとすると繊維が引っかかっちゃうんです。

 これだとお湯割りにしてもジンジャーエールにしても、全部体の中に取り入れられます。柚子が出る時期から3月頃まで、柚子のハチミツ漬けも作っています。

 あと、ナッツはチーズとか、塩味の効いたクラッカーとかに乗せると美味しいです。よくパンケーキに乗せてと紹介があるけど、お酒のつまみが一番合うんじゃないですかね。つまみが美味しいから飲みすぎちゃうと思います(笑)。

 クランベリーは酸味がすごく強いんだけどその酸味とハチミツの甘さが合うんです。ブルーベリーを漬けようって思ったのは誰もやってなかったからなんです。人がやっていないことをやるのが楽しいですね。

ーー逆にハチミツに合わないものもあるのですか?

 ハチミツは生の果実と相性が悪いんです。クランベリーとかブルーベリー、ブラックベリーで試してみたんですが、生の果実を入れると水分が出てきて糖度が落ちてしまうし、発酵もしてしまう。

 だから完全ドライじゃなくて、ハーフドライのフルーツを使っています。ハチミツの中にも水分が含まれているので、その水分をどう使って保存すれば販売出来る商品になるのか、試行錯誤して商品化しましたね。