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ゆいまる農園

主要品種の栽培スケジュール

1月2月 3月4月 5月6月 7月8月 9月10月 11月12月
亀の尾
ぶどう
ゆず

Farmer Profile

高橋 雄一郎
(たかはし ゆういちろう)

高橋 雄一郎

1975年埼玉県生まれ。大学を卒業後、大手電機器機メーカーに就職。9年間、山梨県甲府市の工業団地でエンジニアとして約10年間勤務するも、人と自然が調和して生きられる社会づくりに携わりたいと会社を退職。山梨県内の観光農家で研修した後、2009年に笛吹市にて果樹農家として新規就農。その後、北杜市に圃場を移し、自然栽培のぶどうとお米を中心に営農を行う。奥さんと娘さんの3人家族。

子どもたちに誇れる持続的な農業を目指して

 「次の世代へ健全で希望のある未来を繋いでいきたい」。穏やかな優しい表情で、そう語るゆいまる農園園主の高橋さん。元々は大手電機器機メーカーのエンジニア畑を歩んできた高橋さんは、定量的な側面と定性的な側面の両方をお持ちになられたバランスの取れた生産者さんです。少しお話するだけで、誠実さと真面目さが伝わって来る高橋さんに、農業に対する想いや自らのこだわりについて伺ってきました。

高島 勇志

担当:高島

ーー農業を始められる前はどのようなお仕事をされていたのでしょうか?

 元々は東京の武蔵野市に本社のある大手電機器機メーカーで働いてしました。本社は都内にあったのですが、私の所属していた開発部署が山梨にあって、そこに出向という形で赴任しました。

ーー前職ではエンジニアとして働かれていたということでしょうか?

 そうですね。甲府にある工業団地で9年ぐらい勤めていたのですが、考え方や価値観が少しずつ変わってきて農業をやりたいなと思うようになって。最初はどこでやろう(新規就農しよう)かなと日本全国いろいろと見て回ったのですが・・・

 やっぱり長年いた場所(山梨)に居着いてしまって今に至ります。

ーー山梨県は農業をする環境としては、とても恵まれた土地ですよね。

 そうですね。でも、ここ最近は徐々に温暖化の影響も感じていて、山梨に限らず、これからは国内の産地の状況も少しずつ変わってくるかもしれないなあという実感はあります。

ーー今の農地はどのように見つけられたのですか?

 最初は色々な不動産屋さんを回ってみたのですが、中々自分の希望と一致する場所を見つけることが出来なくて苦労しました。農業をやりたいという話を色々な所でして回っていたこともあって、気にかけてくれていた不動産屋さんから「近所の農家さんで土地を手放したいっていう方がいるから、ちょっと見に来ない?」とお声がけしてもらって、たまたまそのご縁で家と土地を見つけることが出来ました。

ーー空き家や農地については、貸す側にとっても、信頼できる人じゃないと中々貸しにくいのが実状で、地方では家や農地を借りたい新規就農者とのミスマッチが課題となっていますね。

 そうですね、特に地方だと空き家はたくさんあるんですけどね。山梨県は全国でも上位に入る空き家率が高い県だそうです。主な理由としては、地主さんが地域や周辺の方のことを大事にしているということ。もし借り手が地域の風紀を乱すようなことがあったら、その地域の方々に顔向けできない。そんな心配を抱えるくらいなら、空き家のままにしておきたい。という心理が働いているように思います。

 あとは空き家だけど仏壇があるので貸せないというのも理由にあるようです。年に1度、毎年帰ってお掃除をされている方もいらっしゃるようで、そういった課題をクリア出来るような提案を借り手側も出来れば、信頼を得ていけるのではないでしょうか。

ーー就農前にどこかで農業の勉強などはされたのでしょうか?

 近くに農業大学校があるのですが、そこの先生に相談したところ、とある観光農園をご紹介して頂いて。そこで農業の研修をさせて頂きました。そこの農園主さんにはすごく良くしてもらって。当時、技術もまだなかった自分のために農地を探してくれたり、色々と面倒を見て頂きました。

ーーゆいまる農園というユニークなお名前ですが、その由来は何でしょうか?

 ゆいまるは、沖縄の方言「ゆいまーる」から頂いた言葉で「結びつき」や「助け合い」を意味する言葉です。たくさんのお客様や地域の人々、農園で働く仲間たち、そして私達の命を育んでくれる地球。それぞれが互いにてを取り合い、助け合いながら共に成長していいきたいという想いを込め名付けました。

ーー高橋さんの人柄に合った素晴らしい農園名ですね!

ーー農業をやってみたいと思われた理由について教えてください。

 農業をやりたいと思ったのは、これからの社会で何をすれば自分が一番気持ち良く感じられて、次の世代にとっても良いかな、と考えたときに、大きなビジネスではなくて自然と共生出来るような生き方を子どもたちに提案したり、繋いでいったりすることが重要かなと思ったんです。それで農業を選びました。

 でも、実際に始めてみると農業の直面する課題なんかも同時に見えてきてしまって。これからの地球環境を考えたときに、農業って非常に重要な要素だなと思うようになりました。農業というのは未来に繋がる仕事の一つだなと。

 その中で、どんなやり方がいいかなと考えて選んだものが肥料や農薬を使わない自然栽培でした。ただ、私自身、自然栽培だけに拘っているわけではなくて・・・

自然栽培は自然栽培で素晴らしくてたくさん学ぶことがありますが、他にも良い方法があれば探っていきたいなとは思っています。

 やり方はたくさんあると思うのですが、「地球を汚さない農法を選ぶ」というのは自分の中で曲げたくない軸としてありますね。

ーーそうした考え方は前職の時からお持ちだったのでしょうか?

 いえ、徐々にそうした考えを持つようになりましたね。特に、こんな風に自分の考えを話せるようになったのは農業を始めて3、4年程経った頃からだと思います。

 それまでは、おぼろげながら将来独立したいなという気持ちを持っていたくらいでした。かみさんも同じ職場で働いていたのでお互いにそういう話をしていましたね。じゃあこの仕事を辞めたら具体的に何をしようかと考えたときに「次世代のためになること」を軸にすると農業だなと思うようになりました。

ーー大企業から農家へ転身することについて、皆さんからの反対はありませんでしたか?

 そうですね、大半の方が就農に対しては反対されていました。何人かの方は「そういう生き方も良いんじゃないか」って言ってくれて。ただ、どちらの意見も、自分の事を考えてくれて意見してくれていたと思うので感謝しています。

 実際に始めてみて農業というのは本当に気持ちの良い仕事だなと思いますね。たくさんお金が入ってくる仕事ではないかもしれませんが、自分の生き方を自分で選択できますし、食べるものも自分で調達出来るので、安心感というお金に変えられない価値を得られる仕事だと思っています。

ーー現在はどのような農作物を栽培されているのでしょうか?

 今は主にぶどうとお米を作っています。将来的にはワインを作りたいなと思っていて、今ワインの学校に通いながらワイナリーの準備を進めています。

ーーぶどうも自然栽培で作られているのでしょうか?

 ワイン用のぶどうを除いて、自然栽培でつくっています。ワイン用のぶどうについてはまだ自然栽培では難しい状況です。無農薬・無肥料で試してみているものもありますが、今のところワイン用ぶどうを有機栽培のレベル(無化学農薬、無肥料)で作っています。

 ぶどうも品種によって病気や虫への抵抗力が全然が違うんですよ。勉強をしていく中で、露地でのワイン用ぶどうの自然栽培は農業として(仕事として)やっていく上では少し難しいかなと感じ始めています。

ーー「ただつくる」ということと「農業としてつくる」というのは雲泥の差がありますよね。

 そうなんですよ。雨よけ施設の導入などで生食用ぶどうが自然栽培で安定して栽培出来るようになったら・・・

ワイン用ぶどうにも展開し、醸造も含めてナチュラルワイン・自然派ワインを目指していきたいと思っています。

 今はいろんな品種で試してみて、今後どのようにして上手く露地なり、施設なりで自然栽培のぶどうを栽培していけるかを研究しているところです。

ーーワイン用のぶどうの露地での栽培の難しさはどのようなところなのでしょうか?

 やはり一番は雨ですね。雨に当たると腐敗や病気になりやすくなるので。ぶどうの栽培に関しては屋根があるかないかで大きく変わりますね。

 本来欧州系のぶどうは乾燥した気候で育つので、日本の環境にあまり合っていないんです。雨に当たればすぐに病気になってしまいます。

ーー作物は本来原産地の気候に適した性質をもっているので、環境が全く異なる土地での栽培は難しい面があるのかもしれませんね。

 そういった意味では一番良いのは適地適作だと思っているんです。僕自身、その土地に適していないものを人間の都合で作るには、農薬などが必要になってくるのであまり好ましくないと思っていて。

 なので、例えば自生している山ぶどうでワインを作るという方向性もあるのかなと思っています。ただ、正式には欧州系のぶどうで作ったものしかワインとして世界的には認められていないんですが・・・

ーーワインづくりを目指されている理由はなぜでしょうか?

 僕自身、お酒は人生を豊かにする一つの要素だとは思っています。あまり飲みすぎるのは良くないですが・・・

ーー同感です(笑)ワイン用のぶどうを栽培しようと思ったきっかけはどのようなことだったのでしょうか?

 ワイン用ぶどうは栽培にしても、植物としての研究にしてもすごく進んでて、勉強を始めるとどんどんハマっていってしまいました。ワインには哲学がたくさん含まれていて、恐らく一生かかっても計りきれない奥深さがあると思うんです。そうした部分に惹かれたのがきっかけですね。

 まずは生食用のぶどうを栽培することから始めたのですが、いろいろ勉強し始めると日本は8割が生食用ぶどうを栽培していて、残り2割がワイン用だけど、世界を見ると逆で、ワイン用が8割ということが分かってきて。

 ワイン用のぶどうは世界中でたくさん栽培されているので研究もすごく進んでるんです。もしかすると植物の中で一番研究されてるものかもしれないな、と思っているくらいです。

ーーお話を聞いていると、物事の真理の追求を目指す、理系の方に比較的多い考えを持たれているのかなという印象を受けます。

 大学時代は生物とは関係のない、電気回路だとかプログラミング、システムの自動制御などを勉強していましたが、そういう根底の部分の考え方はあるかもしれないですね。

 折角やるなら知りたいなという知識欲が人間にはあると思うので、それに従っているという感じです。勉強するうちにどんどん面白くなってきて、これからも美味しいワインを作るにはどうしたらいいかを追及していけたらなと思っています。

ーーぶどうに加えて、ゆいまる農園さんはお米の栽培にも力を入れられていると伺ったのですが、お米づくりについてはどちらで学ばれたのでしょうか?

 自然栽培の勉強会があるのですが、一番最初は、その中で稲作部会をやっていた方から教わりましたね。

ーーお米は現在どのくらいの面積でつくられているのでしょうか?

 約3反ほどです。自然栽培でやっているのですが、面積もそれほど大きくないので、去年は収量ベースで約1トンほどでした。

ーー自然栽培で作られたお米は、どういったところに販売されているのでしょうか?

 販売先は個人のお客様ですね。この地域の方々からも多く買って頂いています。ありがたいことに、年間で購入したいというお客様が多くて、個人のお客様でも年間となると家庭が食べる量って結構あるんですよ。

 そうすると10〜20世帯に販売するだけで量が足りなくなってしまっているような状況なので、今後はもう少し面積も広げていきたいと思っています。

ーーお米はどのような品種をつくられているのですか?

 「亀の尾※1」という品種を栽培しています。実際に栽培をしてみて思うことですが、この亀の尾という品種は、無肥料・無農薬の自然栽培に向いた品種なんじゃないかなと。この品種は品種改良が進む前の、昔からあったものなんです。明治時代ぐらいまで作られていて、関東より北の代表品種として昔はよく作られていたんですよ。

 その時代は、お米も肥料なんかも今みたいにたくさん入れないで作っていたので、そういったもの(肥料)をほとんど必要としないお米なんです。なので自然栽培と非常に親和性があって、しっかりと育ってくれます。

 今の品種というのは背が低いものが多いんです。台風が来たときに倒れないようにするために背を低くしてきたんですよね。一方で、昔の品種って背丈が今のものの1.5倍くらいあるんですよ。

 亀の尾も背丈が現在の一般的な品種の1.5倍くらいあって倒れやすいかもしれないんですが、その代わり肥料が必要ありません。むしろ肥料を入れるとさらに背丈が伸びてしまい自立できなく(収穫できなく)なってしまうんです。

 一方、現在主流の品種は肥料を沢山入れても背丈の伸びない(倒れにくい)矮性※2の性質を持ったものが多く、肥料を入れることで多収量を目指すように品種改良(肥料ありきの設計)されているんです。そうした背景から僕個人としては、品種改良される前の品種のお米が好きですね。

 ※1 明治時代に山形県の篤農家・阿部亀治により育成された日本のイネ品種。
 ※2 成長遺伝子(ジベレリン生成遺伝子)に欠陥がある等の原因で、背丈の伸びない性質をもつ。

ーー「亀の尾」の食感や食味はどのようなものなのでしょうか?

 亀の尾の味は結構さっぱりとして食べやすいお米になっています。ただ、この亀の尾の魅力の一つとして調理の仕方で食味や食感が大きく変わることがあげられます。例えば、玄米で圧力を掛けて炊くと食感や食味が変わったりします。

 酵素玄米というのを聞いたことがあるでしょうか。寝かせ玄米とも言われていて、炊きたてを食べるのではなくて3日ほど保温し続けることで、酵素の働きを活性化させる方法です。

 この方法だとモチモチとしてコクが出て、さっぱりと言うよりねっとりとしたしっかり味のあるお米になるのですが、亀の尾はそうした調理にもすごく適している品種です。

ーー高橋さんのご家庭ではお米は玄米で食べられていると伺いました。

 玄米が中心ですね。今お話した寝かせ玄米をよく食べています。圧力釜や専用の釜で炊くのですが、もち米みたいな食感に炊き上がるんです。玄米って普通に炊くと結構芯を感じることが多いですが、亀の尾の寝かせ玄米はモチモチになるんですよ。

ーー釜で炊かれているのですね!

 いろいろと試してみたのですが、今のところ一番美味しく炊けるのは、圧力釜の中に土鍋を入れて土鍋にお米と水を入れて炊く方法かなと思っています。

 圧力鍋に直接お米を入れて炊くと、鍋の中の水分がどんどん戻ってきてべちゃべちゃしてしまうことが多いんです。その中にもう一つ土鍋を入れると水分が戻ってこないので、土鍋の中に湿気が丁度よく溜まってくれてもち米みたいに炊き上がります。

ーー農業をされていて一番大変だったことは何でしょうか?

 最初に苦労したのは人間関係ですかね。どんなに自然栽培がいいものだとしても、それぞれの農家さんによって価値観は違うじゃないですか。その中で、いくら自分が自然栽培の良さを推したとしても中々理解してもらうのは難しい。

 自分の主義を他の農家さんに主張すること自体がおかしな話かな、と気が付くまでは嫌な思いを何度かしました。ただ、そうじゃないんだ、地域の方との人間関係の方が大切なんだ、それがあるからこそ自然栽培をやらせてもらえるんだということが分かってくると、そうした悩みも消えていきました。

ーー農家さん同士の集まりのような場でもコミュニケーションに苦労されたのでしょうか?

 そんな風に悩んでいたのは、ここに引っ越してくる前の地域での話なのですが、自然栽培のように草をたくさん生やしている栽培方法は、草刈りもきちんとせず綺麗に出来ていないダメな農家、と見なされていました。近所の農家の方から草の手入れをしていないことを指摘されて、渋々刈るというような状況でした。

 でも、そういう関係性の中で過ごしていると、やっぱり接する時にお互い良い気持ちがしないんですよね。作物が出来ないってことも大変でしたけど、地域の方々と上手く関係が築けていないことの方が僕としては何よりも辛い。何してるんだろう、地域の皆さんに嫌がられながら農業をやっているんじゃないかと思う時期もありました。

ーーそうしたご経験から今の地域に移られてこられた際に心掛けたことなどはあるのでしょうか?

 はい。以前の地域でそういうことがあったので、徐々に自分の考えも改めるようになりましたね。この場所で家を買って住もうと思っているわけですから、地域の方々との関係をまずは大事にしたい。この地域でずっと住んでいた人の心を乱すようなことは避けるようにして、その中で自分がやりたいことをやろうと思うようになりました。

 ここに引っ越して来て2年目に、たまたま地区長という地域運営の役割が回ってきたんですよ。地区長という役割は地域の組織の中のトップにあたって、一年間地区全体を取り纏まることが仕事でした。

 最初は地域の中でも揉めたみたいです。地域について何も分からない奴に任せて良いのかって。ただ、別の人に代わってもらう選択肢がない状況だったので、「やらせてください」とお願いして精一杯出来ることをやりました。そうすると、周りの反応が大きく変化してきて。周囲の方々がどんどん自分に気にかけてくれるようになりました。

 周囲の方々との関係性が出来て初めて、自分がやっていることも少しは理解してもらえるようになることが分かりましたね。自分の主義主張ももちろん大切ですが、やはり農業という仕事においては、地域の方々との人間関係が何より大切だと思っています。

ーー都会とは違った地域ならではのルールといったものもあるのでしょうか?

 そうですね、やはり元々から地域に住んでいる方々が大事にされている習慣というのはあります。そういったものをきちんと知って、尊重していくことが大事だということをこの何年間で実感しましたね。

 必死でやっていれば周りの皆さんも段々理解してくださって、溶け込んでいけるんですよ。中々最初はそういったところまで考えが至らなかったりしたのですが、少しずつ身をもって学んでいくことが出来ましたね。

ーー地区長のお仕事は今も続けられているのでしょうか?

 今年で任期が満了し、次の方に交替しました。今は別の役割をいただいていて、運動会を仕来ったり、消防団に入って活動していく予定です。もちろん、地方に引っ越したからといってそうした活動を必ずやらなければならない訳ではありません。一方で、農業をしている自分にとってはこういった活動を通じて地域と繋がる意味というものをとても感じていますね。

ーーゆいまる農園さんの栽培におけるこだわりはどのようなところでしょうか。

 まずは第一に土づくりにこだわっています。健康で豊かな土壌とは、微生物や虫、ミミズやモグラなど生き物がたくさんいる土だと考えています。そんな生き物たちは、お互いが食物連鎖の関係を保って共存しています。健康で豊かな土壌は、こうした生き物たちの食物連鎖の中で育まれていきます。

ーー多様な生き物が存在する土壌ということですね。

 そうですね。生き物たちの営みによって自然に耕やされた土は、空気と水分をたっぷり含んだフカフカの土(団粒構造)となります。また、生態系のバランスが保たれているため、外から病原菌や害虫が入り込んでも抵抗する力を備えています。農薬を減らしたり使わなくても、土が樹を健康に保ってくれるのです。

 そして、このような土から養分を吸い上げて育った作物たちは・・・

様々な成分を取り込んでいるため栄養価が高く、自然の恵みがギュッと詰まった滋味豊かな味わいとなります。

ーー農業を実際に始められてみて感じている面白さや魅力を教えてください。

 農業の面白さはやっぱり、地球上のいち動物として自然に還る感覚が得られることでしょうかね。解放される感覚はやっぱり気持ちいいなって思います。

ーーその感覚というのは、人間社会の中で人が無意識に制御しているものを取っ払っていくといった感覚でしょうか?

 そうですね、現代社会とか周囲の目が気にならなくなる感じでしょうか。農業をやっていると自然を知る面白さを感じますね。自然が織りなす仕組みがひとつ見えると、自分にとっては大きな発見になる。

 こういった発見や日々の変化が分かると、去年と比べて今年はどうだとかいうことも積み上げていくことが出来て、その中でまた発見があったりするんですよね。

ーーその分、農業というのは自然環境という条件の変数が多い非常に難しい仕事だなと思うのですが・・・。

 もちろん、データをしっかりと取りつつも、それを真理だと決めつけてしまわない心構えも大切にしています。数字も大事にしながらも、実際に土や畑に触れて感じる自分の勘も大事にするというんでしょうか。

ーー営農における高橋さんの一番のこだわりは何でしょうか?

 やっぱり環境を汚さないということです。その部分には強くこだわっていて。それ以外は逆にこだわり過ぎないようにしています。あとは適地適作も大事にしています。無理してやりすぎずに固執しすぎないようにしています。

 農業というより自然と接してそれを仕事にする、というこのライフスタイルが気に入っています。こういう生き方が豊かだなと思うし、お金だけではない社会を作るヒントになっている気がしています。

ーー今後目指されている生き方や営農のスタイルなどはありますか?

 ワインについては自分のライフワークとして生涯携わって追及してみたいなと思っていますね。あとは自然の中で慎ましく生きられたらいいかなと思っています。

 幸せかどうかって自分の感じ方次第だと思うので、自然の中で幸せを感じられるんだったらそれを維持して、慎ましく生きることが一番いいのかなって思いますね。そのことを人に押し付けるんじゃなくて、まずは自分がそうであれば良いのかなと思っています。