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市原農園

主要品目の栽培スケジュール

1月2月 3月4月 5月6月 7月8月 9月10月 11月12月
きゅうり
トマト
ししとう
なす
とろネギ
白菜
ブロッコリー
キャベツ
かぶら
たまねぎ

Farmer Profile

市原 秀一
(いちはら しゅういち)

市原 秀一

兵庫県神戸市出身。24歳で父の地元であった徳島県に移住。吉野川の肥沃な土地で無肥料・無農薬野菜の栽培を始める。以後、約20年間、自家採種をベースに旬の野菜を栽培。アトピーや喘息持ちであった自身の経験から、農業の傍ら食の大切さを次世代にも伝える食育活動などにも従事。趣味はサックス。

こころやさしい情熱農家

 物腰やわらかで紳士のような雰囲気が漂う市原さん。農業や自身の野菜を通じて、食べる人が健康で生き生きとした人生を送ってほしい。そして何よりもこだわりの野菜で喜びや幸せを感じてもらいたい。そんな熱い想いを語る市原さんに農業の魅力や営農の想いについて聞いてきました。

高島 勇志

担当:高島

ーー農業を始めようと思ったキッカケは何ですか?

 元々は神戸出身の神戸育ちだったんですが、24歳くらいのときに父の地元であった徳島に移ってきました。神戸では建築の設計関係の仕事をしていたのですが、仕事が忙しくて体を壊してしまったんですね。その療養を兼ねて農業を始めたのが最初のきっかけです。

 あと、自分は小さい頃からアトピーと喘息を持っているので、食材を扱う農業の分野に携わることで、自分と同じような境遇に置かれている友だちがほしかったという気持ちもありました。当時はまだ今のようにインターネットも普及してなかったのでそういうコミュニティのようなものも殆どなかったので。

ーー市原さんの畑は、無肥料・無農薬でやられているのでしょうか?

 はい。完全に無肥料・無農薬でお野菜を育てています。この地域の土は野菜づくりに適していて、他の地域に比べると無肥料でも作物を育てやすい条件が整っていると思います。あと徳島は温暖な気候なので、比較的どんな作物でも作りやすいんですよ。冬場でも気温は結構高いので。

ーー農業を始められるにあたって、以前から自然農法はご存知だったのでしょうか?

 神戸にいたときから自然農法については知っていました。元々アトピー持ちだったこともあって、食には興味を持っていましたし、食の大切さを感じていたので。

 こっちに移ってきてからは、バイトをしながら農業をやっていたんですけど、あるときから突然、農業一本でやっていこうと思い出したんですね。そこからはお金をためながら、お金が貯まったら農耕機具を買うみたいなことを繰り返して、昨年やっと農業を行なっていく上で必要な器具が一式揃いました。12年かかりましたけど(笑)

ーーぶれない軸と地道な努力があったわけですね!

 その頃は今みたいに新規就農給付金※みたいなものがなかったので、全部自分でゼロから始めないとだめやったんですよ。

 でも大変やけどやっぱり畑は楽しいですよ。

 ※ 青年の就農意欲の喚起と就農後の定着を図るため、就農前の研修期間及び経営が不安定な就農後(5年以内)の所得確保を確保するために、自治体から給付金を受けられる制度。

ーー無肥料だと作物が極端に小さかったりすることも多いですが、市原さんのお野菜は立派できれいですね。

 徳島の恵まれた気候に加えて、これまでの経験、さらには種取りなどのこだわりなどがしっかりとした美味しい野菜の栽培へ繋がっているんだと思います。

 うちでは、原則F1(一代雑種)は使わないので、固定種で自家採種しています。初めの頃は計画的に種採りや種まきができずに、人参が全てとう立ち※してしまったりしたこともありました。品種をいろいろと試した結果、今は全て自家採種で栽培していますが、やっぱり結構大変ではあります。

 ※ 作物の花茎が伸びること。植物には、自分の体を大きくする栄養成長と、子孫(種)を残す生殖成長の、2つの生育段階があり、コマツナやハクサイなどの葉菜類の多くは、生殖成長が始まると栄養成長が止まり、葉が固くなって食味が落ちるそのため、葉菜類は生殖成長が始まる前(とう立ちする前)に収穫する必要がある。

ーー自家採種は本当に大変だと思います・・・

 自家採種の場合、種の採り方(方法)を確立できればある程度大丈夫なんですけどね。ただ、それまでが結構大変で。例えば、徳島は7、8月に天候的に台風が徳島は多かったり、雨の影響で種がやられてしまったりするんですよ。

 あとは経験上、種を採って、その種を一年間おかないと発芽率がわるいということも分かりました。それまでは、採った種をすぐに撒いていたんですけど、中々芽が出てこなくて。うーん、生えん、生えんとずっと悩んでいたんですよ(笑)

 そんなときに、試しに昨年採った種を撒いたらどうなるんやろうとふと思って撒いてみたら、見事に殆ど全て発芽したんですよ。

ーーそれは大発見ですね。

 ホントに、ちょっとしたことが分からなかったりすることも結構多いんですよね。いろいろ試してやってみて、それで出来たときなんかはもう大発見です。

 そんな感じで、経験を積むうちに、品種や種の最適な採取時期が全て分かるようになってきました。

ーーなるほど。試行錯誤の連続ということですね!

 やっぱり必ずで同じタイミングで、同じような作物が出来るF1(一代雑種)とは違って、何年か試しながらやっていかないといけないところは、自家採種の難しいところなんですね。そういう部分では、近隣で(自分と)同じような理念で自家採種をしながら畑をしている生産者さんと情報交換をしながらやっています。

 よく一粒の種から1万粒採れると言われるんですけど、種ってすごい神秘なんですよ。そして、その種というのは記憶する力が合って、例えば台風であったり、寒さであったり、そういったその土地の気候風土を全部記憶して、それで花を咲かせて、という一連の循環を繰り返すことで、その土地の風土や気候に合った作物に徐々に変わっていくんですよ。

ーーそういう意味では一般には知られていないですが、農家にとって種は結構大切な要素なんですね。

 その通りです。今はお店や種屋さんで種を買えば、一応どんな作物でもつくることはできるのですが、そうした人的に培養された種で育った作物は、ちょっとした環境の変化に弱かったり、毎年種を購入しなければなりません。そういう意味でも、やっぱり消費者の方の意識というか、種の本当の存在価値(自家採種の価値)を分かってもらえたら良いなと。

 不思議やと思いませんか?これだけ小さな種からあれだけの野菜ができるんですよ。

ーー本当に不思議だと思います!

ーー自然栽培を始められた当初は大変だったんじゃないですか?

 はじめは大変でしたね。栽培技術もないし、種のこともよく分からなかったので、全部手探りでやっていた感じでした。しかも、失敗して、次試してみて、失敗して、試してみてのサイクルが一年に一回しかできないので。

 今でも新しい野菜などを試すときは同じような感じになりますけどね(笑)

ーーやはり農薬を使わないと虫などにやられたりするんじゃないですか?

 やられますね。なので例えば虫にやられない時期に転植するとか・・・

 早植を避けるとかそういった形で工夫をしながら調整するんですが、雨がずっと続いて最適なタイミングで転職ができないなど、その辺は毎年状況が違うので難しいところなのではあります。

 ただ、そこは長年の経験でいろいろと予測をしながら、大体これくらいの時期にこれを植えたらこうなるやろうなと。特に宅配の野菜(定期ボックス)を切らさないように、それぞれの品目や品種の栽培時期などをしっかりと考えながら予測、予測の中でやっていますね。

ーーお野菜は周年で作られているのですか?

 はい。ただ、徳島の場合、台風が来たりする7-8月などは野菜が台風の影響で出荷出来なくなったりするんですよ。そういうときは、お客さんに助けてもらっていますね。

ーーその辺はお客さんとの信頼関係ができてるんですね。

 ずっとお付き合いをさせて頂いているお客さんはこちらの状況をある程度、分かってくれるんですけどね。例えば、新規で買ってくれるようなお客さんの中には、そうした産地の状況を理解して頂けないときもあるので、最近は7-8月時期は台風などで出せない場合もありますということは予め断った上で、お客さんに購入してもらうようにしています。

 ただ、殆どのお客さんはそうした畑の状況を理解して買ってくれているので、本当にありがたく、感謝しながらお付き合いさせて頂いていますね。

ーー市原さんの野菜と一般的な野菜の違いはどういうところでしょうか?

 甘みがまず違うと思います。あとは味が濃いと思います。 一般的にスーパーなどの量販店で売られている野菜は、人間の都合に合わせて2、3ヶ月とかでガーっと大きくして収穫するんですけど、自然農法って作物のペースでゆっくり、じっくりと育てていくので、その分栄養が締まってきて、美味しい野菜が出来るように思っています。

 ただ、野菜の味というのはやっぱり実際に食べてもらわないと分からないなっていうのが僕の中ではあるので、とにかく一度食べてもらいたいですね。

 僕たち生産者はやっぱり、実際に消費者の方に作物を食べてもらって、その良さを伝えていくしかないと思っています。

ーー今の人たちは、化学調味料など人工的な味覚に慣れてしまっているので、中々、本物の味を知るというのも難しいところがありますね。

 なので僕は80%は本物の、健康的な食材を食べて、あとの20%は楽しみとしてどんなものでも食べたら良いと思うんですよ。でないと食の楽しみって限られて来ると思うんですよ。100%を求めちゃうと外食もできないし、他のものが何も食べられないというのはどうかなと思うので。

 最近子どもたちの食育に携わったりもしていて、例えば、白砂糖や小麦は、あまり日本人の体質に合わないということとかも分かってくるんですけど、個人的には20%は許容範囲として許して、あとの80%はそれぞれの土地に根付いた健康的な食材を食べたら良いんじゃないかなと感じていますね。かくいう自分も結構甘党なんで、ケーキとかは食べたいので(笑)

ーーなるほど。食や健康にこだわり過ぎるあまり、食の楽しさが失われるのは少しもったいないということですね。

 そうですね。あと、うちのこだわりとして、野菜はあえて水で洗わずに土付きで送っています>

ーーそれは何か理由があるんですか?

 水で洗うと見た目は綺麗になるんですが、どうしても鮮度が落ちたり栄養が流れたりするので。なので、土は出来るだけ落としますが、水洗いはせずに新鮮なまま送るようにしています。

ーー市原さんの栽培にあたってのこだわりや理念について教えて頂けますか?

 やっぱり自分の作った野菜を食べて元気になってほしい。食べた人が美味しいってことを幸せに感じてほしいというんですかね。そこが根本的な理念としてあります。そういう考えはやっぱり自分がアトピーであったりするところから来ているんですけど。

 ただ、例えば自然農法の食材というのは一般的には買いにくいし・・・

 中々売っていなかったりするので、毎日は難しくてもたまに食卓に自然農法の野菜がお皿に乗っていて、今日はこういう野菜があるんだねとか、玉ねぎが甘いねとか、家族の団らんで食材のことで話題ができたり、会話に出てきたりしたら、やっぱり家族の仲も良くなって幸せになっていくじゃないですか。

 そういうことがあちこちに広がっていけば、みんな幸せになっていくんじゃないかなというのが、農業をやっていく上での当初からの想いですね。

ーー市原さんの人柄からもそうした想いがすごく伝わってきます!農業や食が持つパワーでみんなを幸せにしたいということですね。

 あとは、農業の栽培という意味では、例えば精神的に疾患がある人などが農業で土に触れたら精神的な病が治っていくというか、精神が落ち着くというのがデータ的にも実際にあるみたいなんですね。なので、心の病などにかかっている人が、栽培に携わることで(土を触ったりすることで)元気になっていけるような場や機会を提供していければなぁとも思っています。現代の人ってすごく疲れてるじゃないですか。

ーー本当にそうですよ(笑)

 僕も神戸で働いていたことがあるので。朝起きて、パソコンを触って、終電で帰って、家では寝るだけっていう。やっぱりそういう生活を続けているとどこかで心が病んじゃいますよ。

ーー前の職場ではやっぱり仕事漬けという感じだったんですか?

 とにかく日々仕事がどんどん溜まっていって、家に帰りたくても帰れなかったですね(笑)それでどうしても無理をしてしまうんですよね。

 農業ももちろん無理をしなければならない場面はあるのですが、やっぱり都会の無理の仕方とまたちょっと違うんですよ。

ーーそんな農業を通して、市原さんが実現していきたいことはありますか?

 次世代というか、こども達に自然の恵みを受けて育った美味しい野菜を食べてもらって、健康になってもらって、その人らしい生き方をしてほしいという想いがあります。

 やっぱり食というのは生きる力というか、生活のベースにあるものじゃないですか。そのベースをしっかりと固めた上で、それぞれの趣味だとか仕事とか、楽しみとかを過ごしてもらって、生き生きと生活してほしいなという気持ちはありますし、自分がそのお手伝いが出来ればなぁと思ったりはしていますね。

ーーこの辺は農業の盛んな町なんですか?

 慣行栽培の農家さんが多いですが、農業は盛んな地域ですね。

ーー自然農法だと、周りの農家さんなどから特異な目で見られたりすることもあるんじゃないですか?

 20年くらい前は、周りの農家さんから手厳しく言われたことは結構ありましたね。

 「そんなやり方で作物が育つか」みたいな。当時は僕も若かったので、自然農法じゃないとあかんとこだわってやっていたため、慣行農法などに対してある種の敵対心みたいなものがあったんですけど、ある時期から変わったんですよね。

 結局のところ、どんな農法であっても農家は皆一生懸命美味しいものを作ろうとか、お客さんのために良いものを作ろうと思ってやってるんですよね。

 たまに慣行農家さんの中にも「お前んとこみたいに(無農薬・無肥料)でやりたいんやけど農協以外に売り先もないし、自分達の生活もかかってるからやっぱり難しいよ」とかって言う方もいて。

 農家さんそれぞれが想いを持ってやっているから、やり方が違うだけで他の人をけなしたりしてはいけないなと思い出してから考え方が変わったんですよね。

 先代からやってきた人たちを尊敬、尊重しながら、自分たちは自分たちのやり方でやっていけば良いのかなと。こだわりを持つのも大切なんですけど、あまり持ち過ぎて協調性をなくしてしまうのもいけないなぁとここ数年は思っているんですよね。まぁ、そんな偉そうなことを言える立場ではないんですけどね(笑)

 実際、今耕している土地も、自分が長年自然農法でやって来た姿を周りの農家さんが見ていてくれて、土地を使ってもいいぞって貸してくれた土地なんですよ。

 そんな関係性が農家は大切だなって思っていますね。

ーー(大根や高菜の収穫、プチ農業体験を終えて)やっぱり農作業は気持ちいいですね!

 気持ちいいし、楽しいでしょ?やっぱり少しの時間でもお客さん自身で土に触れてもらって、収穫などを体験してもらいたいんですよ。

ーー食べるときにも、自分が採った作物というので愛着が湧きますね!

 そうなんですよ!やっぱり自分で栽培したり、収穫したりしたものっていうのは・・・

 愛着が湧くんですよ。作物を大切にしたいっていう心になると思います。

ーー一方で、天候を考慮し、出荷する予定の作物を考えながら、これを毎日こなすのはかなり大変だなとも思いました・・・

 実際やっていもらうと農業の大変な部分も見えてきますよね。楽しいのと大変さっていう両方を理解して頂く意味でもやっぱり農業体験は大切なのかなと思っているんですよ。

 実際にお客さんに畑の作物を触ったり、食べてもらって、五感で感じてもらうのが大切なのかなと思っています。

ーー市原さんの生き方や営農における想いやポリシーはありますか?

 農業で幸せを。

 うちの野菜や農業に携わってもらって、大根を抜くときのワクワクだとか、収穫の楽しさとか、宅配の箱が届いたときに中に何が入ってるんだろうとか、そういう小さな感動や心の喜びみたいなものを感じてもらいたいという想いがありますね。

 あとは野菜で人を繋げたり、人とのコミュニケーションを作れたりしたらうれしいなとも思っています。

ーーオススメのお野菜などはありますか?

 今の時期(1月)だとトロねぎですね。

 日本三大ねぎの一つで、兵庫県朝来市の地域限定野菜で、岩津ネギっていうネギがあるんですよ。そのネギの種をもらってきてここで栽培しているんですけど、めっちゃトロッとして美味しいですよ!

 ただ、すでに岩津ネギという名で商品登録がされているので、僕たちは食べたらトロトロなので、トロねぎと名付けて出荷しています。九条ねぎとはまた違う味、食感で、美味しいですよ。

ーーネーミングだけで食欲がそそられますね・・・笑

(その後、市原さんのお母さんにトロねぎの塩こしょう焼きを料理して頂き、早速試食させて頂きました!)

ーーネーミングの通り、トロトロの食感に自然栽培で育てたねぎの甘さと塩こしょうが絶妙のハーモニーを奏でる絶品でした!!